人体模型の早瀬ハルは、飛び降り自殺を図った女子高生・君島カオリの闇を受け継ぐ。猫の妖・アキトによって人の姿を手にしたハルは、魂の浄化を目的とした殺人に日夜繰り出していた。――僕は悪人を殺す。この魂を返すために――。人間と妖、二つの世界のどちらにも属さない、ハルの新しい暮らしがはじまる。

1865年･西部開拓時代のアメリカ、『南北戦争』が終結を迎えた頃。自らの『未来を察知する力』を乱用し楽して『勝ち組』の仲間入りをした女『ヘレナ』は、刺激を求めて賭場に入り浸る毎日を送っていた。ある日、彼女は大統領夫妻と親睦を深める時間を送るが、その最中、自分達がテロリストに襲われる未来を察知した。必死に、しかし簡単に死の未来を潜り抜けた先で、彼女は価値観を変革する出来事に遭遇する──。

「あれ？　魔王を封印しちゃった？」 　ライラは弟のルークが勇者に選ばれたことで、寂しさを感じながらも魔王討伐の旅に送りだす準備をしていた。しかし、まだ弟の出発前だというのに、不慮の事故から魔王を封印してしまう。 「このままじゃ、弟の冒険物語が１ページにも満たずに終わっちゃう！」 　果たして、ライラは弟の英雄譚を守ることはできるのかーー。

先天的な優位性をAIに診断される2X世紀。 出生時に0～5のステージに割り振られ、その優位性に応じた「平等化措置」が取られる。 システム運用から数年後、異能者が生まれるようになるも、診断アルゴリズムは見直されていない。 不遇にもめげずに弟を育て、明るく生きてきた異能者の姉：梓咲を待っていた残酷な顛末に、弟：梓真が覚醒する。 そつなく生きてきた彼は受け継ぎし異能で何を選択するのか――

東京郊外の山奥で自然に身を委ねる裸族・ネイキッド。児童養護施設時代の数少ない仲間達からは心をほどく名探偵と親しまれる一方、助手イノからは探偵らしからぬ言動に苦言を呈されている。心の支えはペットのハダカデバネズミ・デバ君だけ。そんなネイキッドの元に、施設仲間の殺害を予告する怪文書が届く。そこに書かれていた「着ぶくれた道化師」の文字。それはネイキッドが蓋をしていた過去の事件をこじ開ける鍵となる…

東京に住む高校生のユウトは『自分のために生きる』のが信条の少年。現代では失われた魔法の力を使い、自分勝手に生きてきた。ある日、『誰かのために生きる』のが信条の少女イツカと出会い、千年の封印から目覚めた魔王へ戦いを挑むことになる。圧倒的な魔力を持つ魔王に対し、ユウトにたくされたのは、千年前の勇者の装備から造られし兵器。それこそが、対魔王決戦用強化外骨格――『ロール・プレイング・ギア』である。

マカロンが好きなだけのOLである堂島泉はどんな怪奇現象が起きても動じない事が取り柄である。ある日、友人に頼まれて事故物件に泊まる事になるが、そこに現れたのはまさに生まれたての怪異だった。生まれたての怪異は最初に決められたターゲットを恐怖に陥れる事で真の姿が決まる。生まれたての怪異は自分の姿を見つけるために堂島に様々な怪奇アプローチをするが……？！堂島と怪異新が織りなす感覚ホラーコメディ。

ボヌール王国の姫、アルルは隣国の騎士団長“ガブ様”を熱心に推すオタク。ある夜、彼に一目会いたいと城を抜け出したアルルだったが、向かった先で魔物に襲われ気絶してしまう。さらに、運ばれた隣国騎士団本部で、“ガブ様”の死を告げられる。 「推しの敵は私が討つ！」そう意気込むアルルだったが、アルルには“魔物”を見る能力がなくて――。 (物理的に)見えない敵に立ち向かう、アルル姫のとんでも推し活ストーリー！

成功を収める若き女流画家がスランプに苦しみ、突然現れた怪異にそそのかされて取引をしてしまう。取引の結果、さらなる画力を与えられたが、対価として視力を奪われてしまった。二度と絵が描けなくなり、茫然自失となった彼女のもとへ一通の手紙が届き…。読めない手紙をきっかけに動き出す、盲目の神絵師と怪異のお話。はたして彼女は視力を取り戻せるのか。

大怪人時代――怪人が現れ人間と対立を始めてから50余年。川渡シシオは人間でありながら怪人側に付き、持ち前の卑怯さでライバルは蹴落とし上には媚びへつらい、遂には怪人組織で唯一の人間幹部にまで昇りつめていた。そんなある日、大幹部から少女の処刑任務を言い渡されたシシオ。遠くの街まで少女を連れ出す道中で、シシオは忘れていた何かを思い出し始める――地位と金が全ての卑怯なオッサンの、少女との逃走劇が今始まる！