むらむらしちゃだめっ!

大河内 りさ

閑話『むらまつり 後編』(脚本)

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〇大きな木のある校舎

〇通学路
壱邑 一貴「──ったく、もっと早く助けろよ!」
中邑 ゆうり「女子に囲まれて嬉しそうだったから 邪魔しない方がいいかと思って」
壱邑 一貴「元に戻ったらどうすんだ!」
仲村 柊「"むらむら"しっぱなしだったなら 大丈夫だろ」
中邑 ゆうり「たしかに、変身解けなかったもんね」
壱邑 一貴「しっぱなしじゃねえ!! 変なこと言うな!!」
中邑 ゆうり「てか、柊は全然変身しないね」
壱邑 一貴「もしかして呪いを解いたのか!?」
中邑 ゆうり「えっ!? ちゅーしたの!? 誰と!?」
仲村 柊「誰とも何もしてない」
仲村 柊「変身したのは 偶然だったんじゃないか?」
中邑 ゆうり「そうなのかなぁ・・・」
中邑 ゆうり「厨二力、足りなかったかぁ~」
壱邑 一貴「ちぇ、つまんねーの」
仲村 柊「お前ら・・・」
壱邑 一貴「っと、俺こっちだ」
壱邑 一貴「じゃ、また明日なー」
中邑 ゆうり「ばいばーい」
中邑 ゆうり「・・・そういえば」
中邑 ゆうり「これ、天邑くんに渡し忘れちゃった」
仲村 柊「呪物を持ち歩くな!」
中邑 ゆうり「忘れてただけだって」
中邑 ゆうり「あっ!」
中邑 ゆうり「枝村先輩!」
枝村 誠「きみか。よく会うな」
仲村 柊「・・・誰?」
中邑 ゆうり「宮高の枝村先輩」
仲村 柊「むら・・・」
中邑 ゆうり「先輩、こっちは──」
仲村 柊「仲村です」
枝村 誠「なかむら? 兄妹か?」
中邑 ゆうり「"むら"違いの幼なじみです」
枝村 誠「ああ・・・ 天邑くんが言っていた彼か」
枝村 誠「その様子なら、 仲直りは済んだみたいだな」
仲村 柊「あいつそんなこと話してるんですか」
中邑 ゆうり「──そうだ!」
中邑 ゆうり「先輩、この本預かってもらえません?」
仲村 柊「あっ、こら!」
枝村 誠「これは?」
中邑 ゆうり「図書委員の活動日誌です。 天邑くんに渡してください」
枝村 誠「直接渡した方が早いだろう」
中邑 ゆうり「先輩から天邑くんに渡して欲しいんです!」
枝村 誠「何か事情があるのか?」
中邑 ゆうり「ちょっと色々と・・・」
枝村 誠「分かった、預かろう」
中邑 ゆうり「お願いします」
中邑 ゆうり「・・・・・・」
中邑 ゆうり「本に触ったのに呪いが発動しない!!」
仲村 柊「愉快犯やめろ!!」
枝村 誠「どうかしたのか?」
中邑 ゆうり「何でもないです!」
中邑 ゆうり「あ、中身は読んでも大丈夫ですから。 というか、むしろ読んでください!!」
枝村 誠「まぁ、気が向いたら」
中邑 ゆうり「よろしくお願いします!」
枝村 誠「では、また」
中邑 ゆうり「・・・よっしゃ、任務完了!」
仲村 柊「他校生まで巻き込むな」
中邑 ゆうり「でも、先輩変身しなかったじゃん」
中邑 ゆうり「もっと厨二力を込めておけばよかった」
中邑 ゆうり「そういえば──」
中邑 ゆうり「久々に兄妹かって聞かれたね」
仲村 柊「子供の頃はしょっちゅう 言われてたもんな」
中邑 ゆうり「なかむら夫婦って からかわれたりもしたよね」
中邑 ゆうり「でも、そっか」
中邑 ゆうり「柊と結婚すれば苗字変わらないから 楽でいいかも~」
仲村 柊「字が違うんだから、印鑑や身分証とか 名義変更はどっちにしろ必要だろ」
中邑 ゆうり「それもそうだ」
中邑 ゆうり「──って何の話!?」
仲村 柊「そっちから言い出したんだろ!?」
「・・・・・・」
仲村 柊「・・・このあとケンタの 散歩に行くけど、ゆうりも来る?」
中邑 ゆうり「いいの?」
仲村 柊「ケンタも喜ぶ」
中邑 ゆうり「行くっ!」

〇昔ながらの一軒家
仲村 柊「ただいまー」
ケンタ「ワンッ」
仲村 柊「おー、よしよし」
仲村 柊「すぐ散歩行くからな」
中邑 ゆうり「ほんと、ケンちゃんにはデレるよね~」
仲村 柊「だって可愛いもんな? な、ケン──」
仲村 柊「何故だ!?」
中邑 ゆうり「ケンちゃんに"むらむら"・・・?」
中邑 ゆうり「・・・ケモナー?」
中邑 ゆうり「いやでもケモの定義が・・・」
仲村 柊「何ブツブツ言って──」
ケンタ「ワンワンッ!」
仲村 柊「まずい!」
中邑 ゆうり「ケンちゃん待て! おすわり! おあずけ! お手!」
ケンタ「バウッ」
仲村 柊「ギャーーーーッ!!」
中邑 ゆうり「あぁっ、いっちーの二の舞に・・・」
中邑 ゆうり「柊、気をたしかに! 大丈夫! ちゃんと生えてくるから!」
ケンタ「ワフッ」
中邑 ゆうり「ケンちゃん! 全部は食べちゃダメ!!」
ケンタ「クゥ~ン」
中邑 ゆうり「そんな顔したって・・・」
ケンタ「キャウ〜ン」
中邑 ゆうり「もう一口くらいなら大丈夫かな?」
中邑 ゆうり「やっぱりダメっ!」
中邑 ゆうり「これは私のです! 分かった?」
ケンタ「ワフ」
中邑 ゆうり「よし、いい子だから ちょっと向こうで待ってて」
中邑 ゆうり「そろそろ生えるか、それとも戻るか・・・」
仲村 柊「・・・・・・」
中邑 ゆうり「・・・・・・」
中邑 ゆうり「・・・まだ?」
中邑 ゆうり「もしかして、私に抱っこされてるから "むらむら"が収まらない・・・とか?」
仲村 柊「・・・・・・」
中邑 ゆうり「なぜ萎れる!?」
仲村 柊「〜〜〜〜!」
中邑 ゆうり「え? ちょっと離れろって?」
中邑 ゆうり「じゃあ地面に置くよ?」
仲村 柊「・・・っ」
仲村 柊「はぁ、まさか自分ちの犬に 食われるなんて・・・」
中邑 ゆうり「柊・・・」
中邑 ゆうり「ねぇ、もしかして本当に 私が抱っこしてたから戻れなかったの?」
仲村 柊「違っ──」
ケンタ「バウワウッ」
仲村 柊「わっ、ケンタ! 飛びかかるなよ」
仲村 柊「ははっ、顔舐めるなって──」
中邑 ゆうり「あはは、熱烈キスだねぇ」
仲村 柊「・・・・・・」
中邑 ゆうり「どうしたの?」
仲村 柊「何か、解呪されたっぽい・・・」
中邑 ゆうり「え"っ!?」
中邑 ゆうり「今のケンちゃんとのキス? で解けたってこと!?」
仲村 柊「うん、多分・・・」
仲村 柊「うまく説明できないけど、 そんな気がする」
中邑 ゆうり「そんなのアリ!?」
仲村 柊「俺たち両想いだもんなー?」
ケンタ「ワンッ」
中邑 ゆうり「くっ・・・」
中邑 ゆうり(ケンちゃんに負けた・・・っ!!)
仲村 柊「──別に」
仲村 柊「水縹先生は、"いちばん好きな人"と キスしないとダメとは言ってないだろ?」
中邑 ゆうり「そうだけど」
中邑 ゆうり「それってどういう・・・」
仲村 柊「さっ、早く散歩に行こう!」
中邑 ゆうり「ちょっと、柊!」
中邑 ゆうり「どういう意味なの!?」
仲村 柊「俺や宇多邑先輩は ケンタやブロマイドで解けたけど」
仲村 柊「ゆうりは"むらむら"が強すぎるから」
仲村 柊「本当に好きな相手とキスしないと 解けないんじゃない?」
中邑 ゆうり「なっ・・・」
中邑 ゆうり「人を欲求不満みたく言わないでっ!」
仲村 柊「さぁケンタ、 今日はどこを歩こうか~?」
中邑 ゆうり「ちょっ──」
中邑 ゆうり「話を逸らすなーっ!」

〇黒背景

〇大きな木のある校舎

〇役所のオフィス
中邑 ゆうり「あぁっ、ぐちゃった!」
壱邑 一貴「ブッカーがもったいないから お前もうカバー貼りやるな」
天邑 遥斗「先輩!」
中邑 ゆうり「どしたの?」
天邑 遥斗「これっ!」
天邑 遥斗「枝村先輩に渡しましたね!?」
中邑 ゆうり「あ、もう受け取ったんだ」
中邑 ゆうり「で、効果のほどは?」
天邑 遥斗「何も起こらなかったそうですよ」
中邑 ゆうり「やっぱダメだったかぁ〜」
中邑 ゆうり「どうする? 厨二力入れ直す?」
壱邑 一貴「よし、任せろ!」
壱邑 一貴「うぉぉおおおーっ!!」
天邑 遥斗「わー! ストップ!!」
壱邑 一貴「何で止める!?」
天邑 遥斗「正直、昨日の先輩たち見て引いたので」
中邑 ゆうり「枝村先輩が変身するところは 見たくない、と」
天邑 遥斗「そういうことです」
壱邑 一貴「んだよ、自分は呪い解けてるからって 余裕ぶりやがって」
天邑 遥斗「八つ当たりしないでください」
天邑 遥斗「そういえば、 仲村先輩はどうなったんですか?」
壱邑 一貴「あいつは結局、 変身1回きりだったんだろ?」
中邑 ゆうり「それが、あのあと また変身しちゃって」
壱邑 一貴「なっ──」
壱邑 一貴「何か"むらむら"するような 出来事が・・・!?」
中邑 ゆうり「自分ちの犬に"むらむら"して 変身したあげく」
中邑 ゆうり「自分ちの犬とキスして解呪してたよ」
「え"・・・」
仲村 柊「おい! 変な言い方するな!!」
壱邑 一貴「まぁ、趣味── 癖は人それぞれだしな?」
壱邑 一貴「俺はいいと思うぞ? うん・・・」
仲村 柊「気を遣ってる風やめろ!!」
中邑 ゆうり「あははっ」
中邑 ゆうり「・・・・・・」
中邑 ゆうり(・・・少しは自惚れてもいいのかな?)

次のエピソード:12むらむら『オレンジ色の気持ち』

コメント

  • たくさんの人物を描き分けてまとめていくのって、相当な筆力ですね!!
    ちゃんと笑いもあって、素晴らしいです。

  • ケンちゃん……最高👍
    期待以上のご活躍を見せるケンちゃん、もう大好きです🥰
    そして、「・・・ケモナー?」の一言に、呼吸困難を起こしかけました🤣🤣

  • ナチュラルに犠牲者を増やそうとするユウリがとんでもない奴で笑いました😂
    好きな相手が人限定でなかったのが盲点でした🤔それともたんに厨二パワーが足りなかったのか…

    ユウリと柊はもうすでに付き合ってるような距離感ですが、その近さが2人の関係を余計にややこしくしているのかな?笑
    どっちかが折れて告白すればすぐにでも解呪できそうですが、いつになるのか…😂

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