12むらむら『オレンジ色の気持ち』(脚本)
〇空っぽの部屋
中邑 ゆうり(もうすぐ文化祭・・・)
中邑 ゆうり(こうなったらどんな手段を使ってでも 呪いを解いてみせる!!)
宇多邑 苑江「稽古始めるよー!」
宇多邑 苑江「『シーン6、書斎』用意──」
中邑 ゆうり「『私、あなたの腕になりたい』」
中邑 ゆうり「『あなたが笑う時、泣く時、怒る時、喜ぶ時・・・』」
中邑 ゆうり「『あなたの隣で、同じ時間を過ごしたい』」
中邑 ゆうり「『ずっとルカードのそばにいたいの』」
仲村 柊「『エリゼ・・・!』」
中邑 ゆうり(好機・・・!)
中邑 ゆうり(狙うは柊の唇!! つまずいたフリしてキスを──)
仲村 柊「『ずっと、きみをこうして抱きしめたかった』」
中邑 ゆうり「・・・ッ!」
中邑 ゆうり「~~~~ッ!!」
中邑 ゆうり「・・・・・・」
中邑 ゆうり「ギャーッ!!」
宇多邑 苑江「はい、ストップ」
宇多邑 苑江「ゆうりちゃん、毎回ここで変身するね」
中邑 ゆうり「あ"あ"あ"あ"・・・」
仲村 柊「よく飽きないな」
中邑 ゆうり「これは決して柊に──」
仲村 柊「はいはい、シチュエーションに "むらむら"したんだよな」
中邑 ゆうり「うう・・・」
宇多邑 苑江「そうだ!」
宇多邑 苑江「このシーン、ルカードがエリゼを 抱きしめたあとキスするのはどう?」
中邑 ゆうり「キッ・・・!?」
宇多邑 苑江「ゆうりちゃんが事故を装って 呪いを解こうとしてるのは分かった」
宇多邑 苑江「でもこのままじゃ埒が明かない。 かくなる上は──」
宇多邑 苑江「キスシーンを入れて 合法的に呪いを解こう!!」
中邑 ゆうり「分かりました!!」
仲村 柊「無しですね」
「えっ!?」
仲村 柊「ここでキスするの変ですよ」
宇多邑 苑江「そっ、そう?」
宇多邑 苑江「ハッピーエンド! って感じでよくない?」
仲村 柊「ルカードのキャラと 合わないと思うんですよね」
宇多邑 苑江「それは・・・たしかに」
仲村 柊「入れるなら決戦の── いや、でもなぁ・・・」
中邑 ゆうり「作戦失敗・・・」
宇多邑 苑江「頑張って変身しないようにするしかないね」
中邑 ゆうり「そんなぁ~」
〇大きな木のある校舎
〇教室
壱邑 一貴「おーい、中邑〜?」
中邑 ゆうり「・・・何?」
壱邑 一貴「え、不機嫌」
中邑 ゆうり「ごめん、疲れてるだけ」
中邑 ゆうり「朝練うまくいかなくて」
壱邑 一貴「昼練はないんだろ? 図書室行くぞ」
中邑 ゆうり「あっ、今日カウンター当番だっけ!?」
壱邑 一貴「思い出したな」
中邑 ゆうり「ごめん、行こっ!」
〇大きい施設の階段
壱邑 一貴「てか、演劇部って朝練あんだな」
中邑 ゆうり「文化系と見せかけて 体育会系の部活だからね」
中邑 ゆうり「はぁ〜・・・」
壱邑 一貴「練習、うまくいってないのか?」
中邑 ゆうり「まぁね」
中邑 ゆうり「どうしても照れちゃって、 "はなむらむら"に変身しちゃうんだよねぇ」
壱邑 一貴「・・・・・・・・・」
中邑 ゆうり「いっちー?」
壱邑 一貴「お前、仲村が好きなんだよな」
中邑 ゆうり「え"!? ちょ、それは・・・っ」
壱邑 一貴「それでも・・・」
壱邑 一貴「それでも俺は、お前が好きだ」
中邑 ゆうり「え・・・」
壱邑 一貴「ひたむきでまっすぐで」
壱邑 一貴「時々すげーアホだけど、 お前がいるとその場の空気が明るくなる」
壱邑 一貴「お前が笑ってるだけで、 こっちまで嬉しい気持ちになるんだ」
中邑 ゆうり「いっちー・・・」
中邑 ゆうり「・・・・・・・・・」
中邑 ゆうり「正気?」
壱邑 一貴「お前っ──」
壱邑 一貴「人の告白を何だと思ってんだ!?」
中邑 ゆうり「ごめん、ちょっと驚いて!!」
中邑 ゆうり「えっと、その、私──」
壱邑 一貴「危ないっ!!」
中邑 ゆうり「・・・っ」
壱邑 一貴「ちゃんと足元見ろ! 階段から落ちるぞ!!」
中邑 ゆうり「ごめ・・・」
中邑 ゆうり「いっちーが突然あんなこと言うから・・・」
壱邑 一貴「あっ」
中邑 ゆうり「わっ!?」
壱邑 一貴「中邑っ!!」
中邑 ゆうり「わぁああっ!!」
中邑 ゆうり「痛ったぁ〜・・・」
壱邑 一貴「大丈夫か!?」
壱邑 一貴「悪い! 変身したせいで 手、放しちまった!!」
壱邑 一貴「ケガないか!?」
中邑 ゆうり「落ちたのは数段だし、大丈──」
中邑 ゆうり「・・・・・・・・・」
中邑 ゆうり「・・・足捻ったかも」
壱邑 一貴「なっ・・・!?」
壱邑 一貴「誰か呼んでくる!!」
中邑 ゆうり「えっ・・・」
中邑 ゆうり「にんじんが走ったらまずいってー!!」
中邑 ゆうり「・・・行っちゃった」
中邑 ゆうり「・・・・・・・・・」
中邑 ゆうり「いっちーが、私のことを・・・?」
仲村 柊「・・・ゆうり?」
仲村 柊「そんなところで何して──」
中邑 ゆうり「ギャーーーー!!」
仲村 柊「雄叫びを上げるな」
中邑 ゆうり「ビックリしたぁ・・・」
中邑 ゆうり「何してんの?」
仲村 柊「こっちが聞いてるんだけど」
中邑 ゆうり「あー・・・」
中邑 ゆうり「ちょっと休憩中?」
仲村 柊「ふーん・・・」
中邑 ゆうり「・・・・・・」
仲村 柊「で、本当のところは?」
中邑 ゆうり「階段から落ちました」
仲村 柊「はあ!? 何やってんだ!!」
中邑 ゆうり「ちょっとした不注意で・・・」
仲村 柊「もしかして、足傷めたのか?」
中邑 ゆうり「あ、うん・・・」
仲村 柊「掴まれ」
仲村 柊「肩貸すから、保健室行くぞ」
中邑 ゆうり「いいよ。少しすれば 動けるようになるだろうし」
中邑 ゆうり「それに、いっちーが 誰か呼びに行ってくれて──」
中邑 ゆうり「ギャア!?」
仲村 柊「さっきから奇声発してばっかだな。 喉やられるぞ」
中邑 ゆうり「だっ、だって・・・ お姫さま抱っこ」
仲村 柊「壱邑にもされてただろ」
中邑 ゆうり「何で知ってるの」
仲村 柊「教室の窓から、お前が 華麗な顔面トラップ決めたとこ見てた」
中邑 ゆうり「うわ、見られてたんだ」
仲村 柊「壱邑はよくて 俺はダメってことないだろ?」
中邑 ゆうり「そうだけど・・・重いだろうし」
仲村 柊「いや、羽のように軽い──」
仲村 柊「──訳ないだろ」
中邑 ゆうり「知ってるよ!!」
仲村 柊「ははっ」
中邑 ゆうり「あ・・・」
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わー、いっちー頑張ったけど脈なしだったw w w
「正気?」ってゆうりちゃんw w w
「なんで私なんかを?」って意味なのか、
「頭大丈夫?」って意味なのかw w w
終わると寂しいですね。
文化祭の後のようです・・・
何だか学生気分を味わえる素敵な作品でした!!
『いわく鑑定士』の方は作品になるのでしょう?おめでとうございます‼
私は力不足だったので、観客として遠くから応援しております。
またよろしくお願いしますm(_ _)m
急な告白とか! 三角関係とか! 予想以上にむらm…… もとい、ドキドキしている自分に驚いています。笑
呪いを解くだけじゃ終わらない…… ?