むらむらしちゃだめっ!

大河内 りさ

11むらむら『野菜泥棒』(脚本)

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〇教室
中邑 ゆうり「おはよ〜」
笹倉 浩「はよーっす」
壱邑 一貴「お、おはよう」
壱邑 一貴「ゆっ、ゆうり・・・!」
中邑 ゆうり「いっちー後ろ寝癖すごいよ?」
壱邑 一貴「え!?」
クラスメイト「ゆうりー!」
中邑 ゆうり「あっ」
中邑 ゆうり「ねぇ、昨日のドラマ見た!? 長内朔耶、爆イケだったよね!!」
壱邑 一貴「・・・完全スルー」
笹倉 浩「何やってんのお前」
中邑 ゆうり「あ、そーだ」
中邑 ゆうり「今日の放課後 演劇部の練習あるからよろしくね」
壱邑 一貴「お、おう」
中邑 ゆうり「それだけー」
壱邑 一貴「ちょっと待った!」
中邑 ゆうり「いっちー?」
壱邑 一貴「何でもねえ・・・」
中邑 ゆうり「じゃ、放課後よろしくね」
壱邑 一貴「・・・・・・」
壱邑 一貴「名前呼びも腕ぐいも効果なくね!?」
笹倉 浩「・・・何の話?」

〇大きな木のある校舎

〇ディベート会場(モニター無し)
宇多邑 苑江「今日はシーン5の 殺陣をメインに稽古するよ!」
「はい!」
宇多邑 苑江「ゆうりちゃん、大丈夫そ?」
中邑 ゆうり「殺陣の振り追うのに必死で 変身してる余裕なんてないですよ」
宇多邑 苑江「頼むよ〜?」
宇多邑 苑江「全員立ち位置について!」
宇多邑 苑江「『シーン5、魔王城』用意──」
演劇部員D「『勇者よ! 魔王を止めたければその首を刎ねろ!!』」
仲村 柊「『貴様・・・ッ』」
演劇部員B「『そんなことできるわけないじゃない!!』」
演劇部員B「『やあっ!!』」
宇多邑 苑江「このシーンはアクションの山場だから、 照明と音響も一番大変なところだよ」
壱邑 一貴「このピンスポって何すか?」
宇多邑 苑江「キャットウォークの所に置く スポットライトで──」
宇多邑 苑江「あ、待って」
宇多邑 苑江「ここから良いシーンだから ちゃんと見させて」
壱邑 一貴「操られた中邑が仲間を攻撃して、 それを仲村が止めるんでしたっけ?」
宇多邑 苑江「そうそう」
宇多邑 苑江「エリゼを倒すフリをして、 ルカードが自分の腕を犠牲にするの」
演劇部員E「『ぐあっ!!』」
中邑 ゆうり「『・・・あぁっ』」
演劇部員E「『すまねえ、嬢ちゃん・・・』」
中邑 ゆうり「『ゲンティム・・・いや・・・ッ』」
中邑 ゆうり「『嫌!! もう嫌!! もうやめて──』」
仲村 柊「『エリゼ!!』」
中邑 ゆうり「『・・・ッ』」
仲村 柊「『ごめん、来るのが遅くなって』」
中邑 ゆうり「『ううん、ルカードは悪くない』」
仲村 柊「『ごめん、きみに剣を向けて』」
中邑 ゆうり「『ううん、私が悪いの・・・』」
仲村 柊「『ごめん・・・』」
中邑 ゆうり「『そっか・・・』」
中邑 ゆうり「『終わらせてくれるんだね』」
中邑 ゆうり「『あなたの・・・っ』」
中邑 ゆうり「『あなたのっ、手っ・・・』ぐすっ」
宇多邑 苑江「ストーップ!!」
宇多邑 苑江「ヴィエリゼ、そこで泣いちゃダメ!!」
中邑 ゆうり「え〜ん、すみません〜!!」
宇多邑 苑江「感情移入するのは悪いことじゃないけど」
宇多邑 苑江「ここのエリゼはまだ操られてる状態だから、もう少し抑えた表現をして欲しいな」
中邑 ゆうり「だってこの2人、可哀想で・・・」
仲村 柊「先輩」
仲村 柊「俺、別室でこいつ泣き止ませてきます」
仲村 柊「このままだと変身しかねないんで」
宇多邑 苑江「たしかに」
宇多邑 苑江「ルカードとヴィエリゼは 個別稽古に切り替え」
宇多邑 苑江「こっちは対ラフェルの殺陣をやるよ」

〇空っぽの部屋
中邑 ゆうり「うぅ、ぐすっ」
仲村 柊「落ち着け」
仲村 柊「あんま興奮すると "はなむらむら"になっちゃうぞ」
中邑 ゆうり「うわぁ〜! それはイヤ〜!!」
仲村 柊「感情移入しすぎ」
中邑 ゆうり「だって悲しいじゃん」
中邑 ゆうり「せっかく再会できたのに、 こんな形で戦うことになるなんて」
仲村 柊「最後はハッピーエンドだからよくない?」
中邑 ゆうり「情緒がない!!」
中邑 ゆうり「ルカードだってあのシーンは しんどいでしょ!?」
仲村 柊「ルカードは、絶対にエリゼを助けるって 信念に基づいて行動してる」
仲村 柊「だから、さっきのシーンでは むしろ絶対に泣いたりしない」
中邑 ゆうり「・・・・・・」
仲村 柊「目の前の大切な人を・・・」
仲村 柊「大切な幼なじみを絶対に助ける、 守ってみせる──」
仲村 柊「そう決めてるから・・・」
中邑 ゆうり「柊・・・」
仲村 柊「ルカード! ルカードの話!!」
仲村 柊「俺はそういう気持ちで演じてるってこと!!」
中邑 ゆうり「あの2人、幼なじみじゃないよね?」
仲村 柊「あっ、ええと── 幼友達って意味だよ!!」
中邑 ゆうり「あはは、そういう──」
中邑 ゆうり「だぁーーーー!?」
中邑 ゆうり(柊の演技プランに自分たちを重ねて きゅんとしてしまった・・・)
中邑 ゆうり(何て誤魔化そう)
中邑 ゆうり「えっと、あのっ、これはですね!?」
仲村 柊「・・・・・・」
仲村 柊「はぁー」
中邑 ゆうり「うっわ、当てつけがましいため息」
中邑 ゆうり「ちょっ、無造作に掴まないでって──」
中邑 ゆうり「ぎゃあ!! 何すんの!?」

〇ストレートグレー
仲村 柊「動くな、足が刺さってチクチクする」
中邑 ゆうり(私、柊に抱きしめられて・・・)
中邑 ゆうり(──いや、懐に入れられている!?)
中邑 ゆうり「えっ? えっ!?」
中邑 ゆうり「何!? 野菜泥棒!?」
仲村 柊「お前なぁ・・・ いい加減じっとしてろ」
中邑 ゆうり「そんなこと言ったって・・・」
仲村 柊「芝居でも、ルカードがエリゼを 抱きしめるシーンあるだろ?」
仲村 柊「あれの練習だよ」
中邑 ゆうり「練習って・・・」
仲村 柊「お前チョロくてすぐ変身するから、 これで耐性つけろ」
中邑 ゆうり「チョロいとは失礼な」
中邑 ゆうり「・・・でも」
中邑 ゆうり「エリゼの役はやっぱり誰にも譲りたくないから、変身しないように頑張るね」
中邑 ゆうり「だから、もう少しこのまま──」

〇空っぽの部屋
「──わあっ!?」
仲村 柊「〜〜ッ、急に戻るな!!」
中邑 ゆうり「変身するなって言ったり 戻るなって言ったり、何なの!!」
中邑 ゆうり「・・・っ」
中邑 ゆうり(唇、あたりそうだった・・・)
中邑 ゆうり(・・・ん?)
中邑 ゆうり(あたれば呪い解けたじゃん!!)
中邑 ゆうり(しまったぁあー!!)
仲村 柊「・・・っ」
仲村 柊「部室に戻ろう」

〇ディベート会場(モニター無し)

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コメント

  • メーカー立ち絵だけあって演劇シーンですっと衣装チェンジできるの馴染みやすくていいですね……あと野菜泥棒?!はめちゃくちゃ笑いました。同学年三角関係、いっちー無限に望み薄ですけどどうなるんでしょうか……

  • イッチー、空振りかあ。残念。女子にはドキドキする仕草はある、ただしイケメンとか好きな人に限る。
    とはいえ、イッチーもう少しずるいやり方あるだろうに、思い付かないところに好感が持てますね。グレー背景のポケット表現は流石です。

  • 芝居稽古シーンがすっごいリアルですね😂
    抱きしめる=野菜を懐に入れる=野菜泥棒、その発想は🤣🤣
    ドキドキ感と笑いのミックス具合が、もうヤミツキです😆

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