むらむらしちゃだめっ!

大河内 りさ

8むらむら『演劇部』(脚本)

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〇大きな木のある校舎

〇ディベート会場(モニター無し)
宇多邑 苑江「──と、いう訳で」
宇多邑 苑江「照明に入ってくれることになった 2年の壱邑くんです」
壱邑 一貴「どうも・・・」
中邑 ゆうり「いっちーって呼んでね!」
演劇部員A「いっちー先輩!」
「よろしくお願いしまーす!」
仲村 柊「よく引き受けてくれたな、いっちー」
壱邑 一貴「いっちー言うな」
壱邑 一貴「てか、仲村も演劇部だったんだな」
壱邑 一貴「・・・お前、演技できんの?」
仲村 柊「一応ね」
仲村 柊「それよりこれ、台本」
宇多邑 苑江「骨折した照明スタッフも サポートにつくから安心して」
壱邑 一貴「って言われても」
壱邑 一貴「俺、演劇なんも分かんないっすよ?」
宇多邑 苑江「大丈夫だって」
宇多邑 苑江「とりあえず今日は全シーン 半立ちするから、観てみてよ」
壱邑 一貴「半立ち?」
仲村 柊「台本を持ったまま、おおよその 動きをつけて稽古することだ」
宇多邑 苑江「じゃ、始めるよー!」
宇多邑 苑江「ト書きは私が読むね」
宇多邑 苑江「台詞覚えてる人は台本外していいよ」
宇多邑 苑江「飛んでもプロンプ入れるから」
宇多邑 苑江「それじゃあ──」
宇多邑 苑江「『シーン1、魔界、回想』」

〇ディベート会場(モニター無し)
宇多邑 苑江「用意──」

〇魔界

〇魔界
仲村 柊「『ヴィエリゼ』」
仲村 柊「『きみの話が真実なら、俺が人間界の歪みを正してみせる!』」
中邑 ゆうり「『本当に・・・?』」
仲村 柊「『うん、本当に』」
仲村 柊「『約束だ!』」
中邑 ゆうり「『ルカード・・・』」
中邑 ゆうり「『うん。約束・・・』」

〇貴族の部屋
宇多邑 苑江「『回想が終わりルカード退場。明転、引割幕が開くとヴィエリゼの部屋』」
宇多邑 苑江「『上手からガスタイン登場』」

〇貴族の部屋
演劇部員A「『おはようございます、お嬢様』」
中邑 ゆうり「『ガスタイン・・・』」
演劇部員A「『どうかなさいましたか?』」
中邑 ゆうり「『懐かしい夢を見たの』」
中邑 ゆうり「『きっと昨日、勇者の一行が城に近付いていると報告を受けたからね』」
演劇部員A「『お嬢様・・・』」
中邑 ゆうり「『お嬢様、じゃないでしょ』」
演劇部員A「『失礼いたしました。──魔王様』」
中邑 ゆうり「『ふふ。よろしい』」
中邑 ゆうり「『そうだわ!』」
中邑 ゆうり「『今こそあれを書く時だと思わない?』」
演劇部員A「『あれ、とは?』」
中邑 ゆうり「『子供の頃、人間界で拾ったあの本──』」
中邑 ゆうり「『エンディングノート!!』」

〇貴族の部屋

〇ディベート会場(モニター無し)
宇多邑 苑江「そこまで!」

〇ディベート会場(モニター無し)
中邑 ゆうり「ふふ・・・」
仲村 柊「ゆうり?」
中邑 ゆうり「何度やっても 回想シーンの柊が面白くて」
仲村 柊「笑うな。無理があるのは承知の上だ」
中邑 ゆうり「あははっ」
壱邑 一貴「・・・・・・」
宇多邑 苑江「・・・どう?」
壱邑 一貴「えっと、なんつーか・・・」
壱邑 一貴「すげーっ!!」
壱邑 一貴「お前ら別人みたいだったぞ!?」
中邑 ゆうり「別人演じてるんだから そう見えなきゃ困るよ」
壱邑 一貴「特に仲村!」
壱邑 一貴「お前、ちゃんと表情筋あったんだな!?」
仲村 柊「何その感想」
壱邑 一貴「いや、マジですげーって!」
壱邑 一貴「ジャージなのに 何かそれっぽく見えたもん!」
中邑 ゆうり「よかったねー、柊」
仲村 柊「はいはい、どーも」
宇多邑 苑江「ルカード、回想だけど 子供だって意識しなくていいよ」
宇多邑 苑江「演技があざとくなってる」
仲村 柊「はい」
宇多邑 苑江「ヴィエリゼはもう少し声を大きく」
宇多邑 苑江「『エンディングノート!!』は キッカケ台詞だからもっとハッキリと」
中邑 ゆうり「はいっ」
宇多邑 苑江「ガスタインは爺やだけど 現役の執事だから腰は曲げないで」
演劇部員A「分かりました!」
壱邑 一貴「へー、こうやって作ってくんだな」
壱邑 一貴「宇多邑先輩は出ねーの?」
中邑 ゆうり「先輩は演出家、兼、舞台監督だから」
壱邑 一貴「総支配人的な?」
中邑 ゆうり「そうそう」
宇多邑 苑江「続けるよ!」
宇多邑 苑江「オープニングのダンスは飛ばそうかと思ったけど、いっちーに雰囲気伝えるためにやっとこう」
宇多邑 苑江「全員立ち位置について」

〇ディベート会場(モニター無し)
中邑 ゆうり「振り付け、まだちゃんと 覚えてないんだけど・・・」
仲村 柊「とりあえずそれっぽく動いとけ」
中邑 ゆうり「ええ〜っ!?」
宇多邑 苑江「用意──」

〇黒背景

〇魔界
  ──終活魔王のエンディングノート──

〇ディベート会場(モニター無し)

〇ディベート会場(モニター無し)
壱邑 一貴「おぉ〜!」
壱邑 一貴「アニメのオープニングみたい!」
宇多邑 苑江「まさに狙いはそれ」
宇多邑 苑江「この台本、ネット小説が原作だから」
宇多邑 苑江「2.5路線で演出つけるから、 音響も照明もバリバリやるよ」
壱邑 一貴「ちゃんとできっかなぁ」
宇多邑 苑江「お、やる気になってくれた?」
壱邑 一貴「面白そうなんで」
宇多邑 苑江「ふふ、ありがと。よろしくね」
中邑 ゆうり「あ〜、振り間違えたぁ〜」
壱邑 一貴「お疲れ。ダンス良かったぞ」
中邑 ゆうり「でもミスっちゃったよ」
壱邑 一貴「分かんなかったから大丈夫」
中邑 ゆうり「あはは、ありがとー」
壱邑 一貴「すげーカッコよかった!」
壱邑 一貴「それに、可愛かった!」
中邑 ゆうり「かわっ・・・」
「やばっ────」
演劇部員A「・・・スライディング土下寝?」
演劇部員A「先輩、どうしたんですか?」
仲村 柊「ぐわー、もーれつに腹が痛いー」
演劇部員A「驚きの棒読み!!」
演劇部員B「大丈夫ですか?」
仲村 柊「悪いけど俺抜きで稽古してくれ。 ついでに中邑と壱邑も借りていく」
仲村 柊「では!」
「ええ~っ!?」
演劇部員A「宇多邑先輩、 止めなくていいんですか!?」

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コメント

  • これまでの演劇部がらみのシーンで「もしやっ」と思っていたら、やはり『終活魔王のエンディングノート』でしたか😂
    2.5次元舞台でぜひ見てみたいですねー😊

  • 演目としてエンディングノートが出てきてびっくりしました……ダンスシーンはミュージカル的な感じなのかな?
    全員図書委員で一部演劇部員だったんですね
    やると思ったけど返信からの回収と誤魔化しの流れが理想的で笑いました。と思ったけど拗れて……ひゃー三角関係が大変そう……にしてもなんの迷いもなく先輩を水責めにしようとする後輩然りみんな呪いへの慣れがすごいですね……

  • なんかこのお芝居知ってるなぁ…… と思ったら!😆
    しかもメッチャ気合入ってますね。見るだけならあっという間ですが、かなり作り込んでる感じ。思い入れが伝わります。

    あ…… 本編の感想が……

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