9むらむら『尊みフィールド』(脚本)
〇大きい施設の階段
壱邑 一貴「おい、中邑!」
壱邑 一貴「おいってば!」
中邑 ゆうり「あ・・・」
壱邑 一貴「大丈夫か?」
中邑 ゆうり「・・・ごめん」
中邑 ゆうり「部室に戻ろっか」
壱邑 一貴「でも・・・」
中邑 ゆうり「苑江先輩からだ・・・」
中邑 ゆうり「『今日はもう帰っていい』だって」
中邑 ゆうり「あぁ〜」
中邑 ゆうり「ホントに役降ろされちゃったら どうしよう・・・」
壱邑 一貴「悪い、俺のせいだよな」
中邑 ゆうり「ううん。動揺して変身した私が悪いの」
壱邑 一貴「動揺って、何で──」
中邑 ゆうり「カッコいいとか、可愛いとか・・・」
中邑 ゆうり「役のこととはいえ 普段言われないから嬉しくなっちゃって」
壱邑 一貴「役のことっつーか・・・」
中邑 ゆうり「そうだ!」
中邑 ゆうり「いっちー、これから毎日 私に『可愛い』って言って!」
壱邑 一貴「はぁ!?」
中邑 ゆうり「言われ慣れれば免疫機能が高まって 変身しなくなると思わない!?」
壱邑 一貴「免疫機能って、ウイルスかよ」
中邑 ゆうり「もしくはドキドキさせようとして!」
壱邑 一貴「ドキドキ?」
中邑 ゆうり「何が起こっても変身しないように 心身を鍛えるの!」
中邑 ゆうり「もし私が"はなむらむら"に 変身しちゃった場合は」
中邑 ゆうり「いっちーの勝ちってことで ジュース奢ったげる」
壱邑 一貴「要するに"むらむら"させればいいんだな?」
中邑 ゆうり「"ドキドキ"だよ!!」
壱邑 一貴「いいぜ、その勝負乗った!」
中邑 ゆうり「決まりね!」
中邑 ゆうり「いっちーに何言われても 絶対ドキドキしないようにするから!!」
壱邑 一貴(・・・ん?)
壱邑 一貴(ドキドキしないようにするって──)
壱邑 一貴(ダメじゃね!?)
中邑 ゆうり「いっちー! お腹すいたから何か食べ行こー!」
壱邑 一貴「ちょ、待っ──」
〇黒背景
〇テーブル席
天邑 遥斗「──と、いう訳なんです」
枝村 誠「なるほど」
枝村 誠「しかし、外野がとやかく 言うようなことでもないだろう」
天邑 遥斗「そうかもしれませんけど・・・」
中邑 ゆうり「あれっ?」
中邑 ゆうり「天邑くんに枝村先輩!」
枝村 誠「噂をすれば・・・」
天邑 遥斗「ですね」
中邑 ゆうり「図書委員の仕事はもういいの?」
天邑 遥斗「はい。今日はカバー貼りの作業とかも なかったので早く終わりました」
中邑 ゆうり「そっかー」
中邑 ゆうり「んじゃ、邪魔しては悪いので 私たちはこれで・・・」
天邑 遥斗「あっ、先輩──」
枝村 誠「丁度いい。 きみたちここに座りたまえ」
壱邑 一貴「何だこの偉そうなメガネは──」
壱邑 一貴「って、あれ?」
壱邑 一貴「こないだ天邑救出作戦の時に 一緒にいたヤツじゃん」
中邑 ゆうり「宮高の枝村先輩! 説明したよね!?」
壱邑 一貴「あん時は色々ありすぎて 覚えてねーよ!!」
枝村 誠「いいから早く座りなさい」
壱邑 一貴「先生かよ」
枝村 誠「きみたちケンカをしているそうだが、 早く仲直りしたまえ」
枝村 誠「天邑くんが心配している」
天邑 遥斗「先輩、違います!」
枝村 誠「この2人じゃないのか?」
天邑 遥斗「こっちの人は壱邑先輩って言って、 モブみたいなものです!」
壱邑 一貴「おいコラ」
枝村 誠「失礼。てっきりきみが仲村くんなのかと」
枝村 誠「壱邑・・・ということは、きみも 「花邑くんの呪い」にかかった1人か」
壱邑 一貴「何で知ってんだ!?」
天邑 遥斗「この前、助けてもらった時に 全部説明したんです」
枝村 誠「人間が根菜類に変身するなんて非科学的なこと、普段なら絶対に信じないが・・・」
枝村 誠「この目で見てしまったからな」
枝村 誠「しかし、解呪方法は判っているのだから」
枝村 誠「こう言ってはなんだが、さっさと キスしてしまえばいいだろう」
壱邑 一貴「簡単に言うけど、 好きなヤツとじゃないと解け──」
天邑 遥斗「わぁーーーーっ!!」
壱邑 一貴「何だよ天邑」
天邑 遥斗「いえその、えーっと・・・」
枝村 誠「天邑くんはすでに呪いを解いているぞ」
天邑 遥斗「あっ、それは──」
壱邑 一貴「お前、いつの間に!」
中邑 ゆうり「どういうこと!? 何があったの!?」
天邑 遥斗「今度話しますから!」
壱邑 一貴「ちぇー、まさか天邑に先越されるとは」
中邑 ゆうり「だっていっちー、 好きな人いないって言ってたじゃん」
壱邑 一貴「いや、いなくもないっつーか・・・」
中邑 ゆうり「えっ、いるの!? 誰っ!? 同じクラス!?」
壱邑 一貴「何でそんな食いつくんだよ」
中邑 ゆうり「だって恋バナ楽しいじゃん。 応援するからね、いっちー!」
壱邑 一貴「・・・・・・」
壱邑 一貴「おう、気持ちだけ受け取っとくわ」
枝村 誠「・・・呪いを解くための キスの相手は誰でもいいのだろう?」
天邑 遥斗「はっ、はい!」
天邑 遥斗(ホントは嘘だけど・・・)
枝村 誠「それでもやはり、 好きな人の方がいいのか」
枝村 誠「フッ。 天邑くんは俺が相手で災難だったな」
天邑 遥斗「・・・いえ」
天邑 遥斗「先輩でよかったです」
枝村 誠「そうか?」
中邑 ゆうり「・・・!!」
壱邑 一貴「うわっ! 何変身してんだ!?」
中邑 ゆうり「ごめ・・・尊すぎて・・・」
壱邑 一貴「はあ!?」
枝村 誠「分かっていても見慣れないな」
枝村 誠「というか人の多い場所で変身するな」
枝村 誠「いったい何に"むらむら"したんだ」
中邑 ゆうり「ごちそうさまでした」
天邑 遥斗「先輩・・・」
壱邑 一貴「中邑、帰るぞ」
中邑 ゆうり「えっ、もう少し この尊みフィールドにいたい」
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尊みフィールドーーーーー!!!!!!!✨✨✨✨
どういう状況でキスしちゃったんでしょうか☺️
こういうBLは大好きですよ。
尊みフィールド。いいですね。
他意はないーーーー!ありありのありですよ!
たまらんですな。そしてイッチーのドキドキさせる試みも楽しみです。そしてそちらの方が楽しみです。メインカップル破壊なるか。そして白大根は現れるのか。楽しみが多い。
めちゃくちゃ楽しかったです!ナチュラルにいちゃつく2人は置いといてメイン学年トリオ……てか後輩くんもう呪い解いてるしさつまいもと人参と1人呪われなかったやつだけ残っている……!気楽な友達枠扱いだからこそのいっちーの不憫さめちゃくちゃ好きです。好きな子にドキドキさせてね!ドキドキしなくならないようにしたいから!は普通ない詰み状況でほんと笑っちゃう
そして2人とも変身状態で会っちゃうと言う危機感……