メイン「星売りのメテオシスター」(脚本)
〇諜報機関
じいや「ようこそ、メインディッシュへ」
じいや「恐れ入りますが、引き続き “じいや”でお送りいたします」
じいや「前回は違う・・? いえ、サラダもわたくしが サーブしたと記憶しておりますが」
じいや「ええ、まさかのジジイ6連勤 ・・今回を含めれば7連勤ですね」
じいや「わたくしは一向に構いませんが、 見飽きられていないか案じております」
じいや「ところで、メインディッシュを お楽しみ頂く前に・・」
じいや「「星売りのメテオシスター」第1話の 感想はご持参致しましたか?」
じいや「審査員によるフィードバックは 本メニューの終盤にございますので」
じいや「食べ比べを楽しみたい方は 是非お持ち頂ければ幸いです」
じいや「では、コンテストの概要から ご説明いたします」
じいや「メイン「星売りのメテオシスター」は 2022年5〜6月に開催したコンテスト」
じいや「第1回『第1話でエントリーする 長編ゲーム小説大賞』」
じいや「通称「長編コン」に投稿した作品です」
じいや「このコンテストはあらゆる面で タップノベルのターニングポイント となりました」
じいや「まず募集作品は短編ではなく長編 10話以上の物語です」
じいや「読切を募集してきた従来コンテストから 大きく異なります」
じいや「ちなみに文字数の上限も2000字から 3000字に拡大、さらに今回は 「募集テーマ」もありません」
じいや(編集長)「『タップノベルは面白ければいいんだ』 『面白いものは連載される、当たり前だ』」
「面白さ」絶対主義!!
じいや「──と、言わんばかりの内容です」
じいや「さらに今回、魅力的な賞品が 目白押しでした」
じいや「ひとつ、完走賞の存在」
じいや「結果発表の9月15日までに 「10話以上かつ2万字以上」投稿 していればアマギフ1000円をゲット」
じいや「達成者全員サービスですね さらに審査時の個別フィードバックも 後日メールで頂けるオマケ付きです」
じいや「ふたつ、予選通過作品には 個別プロモーションを実施!」
じいや「・・これには驚きました 受賞ではなく予選通過時点で 特典がございます」
じいや「しかも運営は 「100人の読者を連れて来る」と豪語」
じいや「実際に、コンテスト終了後の 9月には多くの目撃情報が」
じいや「いわゆるバナー広告のような形で タップすれば作品ページに飛ぶような・・」
じいや「結局広告に出会えなかったため あくまで「ような」としか言えませんが」
じいや「実際、分析ツールを確認すると 「作品ページ参照数」は急増しました」
じいや「ただ、その広告が悲劇を生むのですが ・・それは後ほどご紹介しましょう」
じいや「そして3つ目にして最大の特典」
じいや「それこそが 「プロの絵師による表紙制作」です!」
じいや「実質、公式作品と同じ恩恵を 受けられるようなものですからね」
じいや「もはや賞金以上に価値があることは 言うまでもありません」
じいや「さて、そんな長編コンテスト 背景には「ライターのスキルアップ」も 狙っていたのでしょう」
じいや「編集長自らがキャラとなり タップノベル形式でコンテストの 趣旨を解説」
じいや「参加ライターの殆どが読むため 一時はランキング上位を編集長が独占し」
じいや「通称「編集長の壁」ができる 事態にもなりました」
じいや「通称というか、オカリ氏が勝手に そう呼んだだけかと思いますが」
じいや「そんな長編コンテスト 明確な評価基準がございまして」
じいや「①イントロに魅力があるか ②主人公の行動線は明確か ③主人公に感情移入できるか ④引きが作れているか」
じいや「大きく分けてこの4項目 特に「行動線」については口酸っぱく 発信していたように記憶しております」
じいや「続いては内容・・ どのように作られたか、です」
〇病室のベッド
じいや「メテオシスターは どのようにしてできたか」
じいや「これまでオカリ氏は実体験ベースで 制作する傾向がありました」
じいや「「卒論」や「モミの木」 あと「雪道スタック」が顕著な例ですね」
じいや「当然今回も隕石に実家を 破壊された経験が──・・」
じいや「あるハズもなく、なので本作は 妄想ベースになります」
じいや「実はオカリ氏、メテオシスターに至るまで かなり迷走を繰り返したらしく・・ 当時のメモを紐解くとですね」
じいや「「父母兄弟全員分の臓器を 移植して生きながらえた主人公が 家族全員の人格を持っちゃう話」や」
じいや「「祖父と孫の精神が入れ替わって それぞれの苦境を切り開く話」など」
じいや「あと真剣に検討した候補案の中に 「異世界ではなくインカ帝国に 転生してしまう話」がございました」
じいや「肌色の変更機能が無いため 断念したそうですが・・」
じいや「「いつか何かで形にしたい」と 脳内でたまに思い返しているそうです」
じいや「苦戦する中、参考にならないか かつて興味を持った出来事や ニュースを探したところ・・」
じいや「ようやく・・ あることを思い出しました」
じいや「温め過ぎて忘却の彼方に 置き去りにしていたネタ」
じいや「それこそが2017年10月、 ハワイの天文台で発見された天体」
じいや「──「オウムアムア」です」
〇落下する隕石
天体観測史上初めての
「太陽系の外から来た」恒星間天体
現地言葉で「遠方からの初めての使者」
と呼ばれたソレは一時話題になりました
というのもこの天体・・
太陽系に入った後も太陽などの
重力に囚われず脱出できた天体で
その間に「不自然な加速」が
確認されたことから本気で
「地球外文明の探査船」説も出るなど
某ウルトラなマン的要素もあり
「いつか何かでテーマにしたい!」
と思っていたそうです
〇テーブル席
じいや「さて、テーマは決めました 続いてシナリオです」
じいや「隕石が落ちてくる物語は 古来より多くございます」
じいや「地球の危機であったり、 何か超常の力を得たり、 エイリアンの侵略であったり・・」
じいや「そんな中、オカリ氏が 思い付いたのは・・」
じいや「「隕石を使って稼ぐ」ことでした」
じいや「「売って」ではなく「使って」です 当時のメモ書きを振り返ってみましょう」
じいや「そう、実はメテオシスターの初期案は」
じいや「隕石使って新興宗教を開いて 不労所得で大儲け!」
じいや「という、何とも悪どい主人公でした」
じいや「この方向性を修正して、 なぜ金が必要かを掘り下げます」
じいや「切羽詰まった状況などを 列挙していますが・・」
じいや「「基本的にはウ○ジマくんとク○サギ」 とか危険なことも書いてますね」
じいや「そんな危うい初期案と共に 乱雑に構成を練り始めます」
じいや「一応、最大のテーマは 「家族のためなら鬼にも悪魔にもなる」 に定めたそうですが・・」
じいや「さすがに「人を騙して稼ぐ主人公」を 応援できるか・・?と疑問符が」
じいや「審査項目に ③主人公に感情移入できるか (主人公のやることに共感できるか) ・・ともありますし」
じいや「方向性を修正、エセ科学も無しです 純粋に「オークションに出して稼ぐ」 へとアイデアをシフトします」
じいや「続いては1話の構成です」
じいや「この時期はオススメされるがままに 「シナ○オの基礎技術」などを読み、 長編に取り入れようとしたそうですが」
じいや「オカリ氏が最も参考になったと 語るものは他にあります」
じいや「新○誠監督がTwitter(X)にて お蔵出しした画像・・」
じいや「『天気○子』プロット段階における 物語構成表です」
じいや「ストーリー内の各イベントに対する “視聴者”の感情を想定したもので」
じいや「『天○の子』における感情曲線とも 呼ばれております」
じいや「ソレを参考にオカリ氏作、メテオシスター 第1話の感情曲線がございます」
じいや「こちらです ※ネタバレに関わる部分は 黒塗り致しました」
じいや「見るに耐えない字の汚さには 目を瞑って頂くとして」
じいや「冒頭部など細やかな違いこそあれど、 ストーリーラインは概ね同じですね」
じいや「初期案では3億ではなく 10億稼ぐつもりだったとは・・」
じいや「さて、プロットが上がったので 次はタイトル決めです」
じいや「話の筋に沿って何個か候補を 挙げてまいります」
じいや「こちらですね」
じいや「解読不能であるとお察しします 僭越ながら通訳いたしますと・・」
じいや「・オウムアムアの卵 ・方舟の卵 ・星を売る姉貴 ・星売りの少女」
じいや「・メテオ売りの少女 ・メテオ売りのアネキ ・メテオシスター! ・メテオシスター 星を売る ・星売りのメテオシスター」
じいや「あと、黒塗りした2個を合わせて 計11個のタイトル案候補がございました」
じいや「選んだのは「星売りのメテオシスター」 選出理由は「語感」と「伏線」です」
じいや「ついでに他候補だった 「オウムアムアの卵」は 第1話のサブタイトルに採用しました」
じいや「さて、シナリオ準備はできました いよいよ制作に入りますが・・」
じいや「とある“大災害”がコンテスト中に 勃発します」
〇荒廃した街
長編コン「準大賞」受賞
2022.05.31
Dickinsonさんの“初投稿”作品
カタストロフィ・メモリーズ
じいや「ハッキリ申し上げます タップライター激震の日です」
じいや「例えるならそうですね・・ 「演出の暴力」とでも呼びましょうか」
じいや「実はタップノベル 本コンテスト開催中に機能が増加」
じいや「2022年の5月から ・効果音(サウンド) ・BGM ・スチル挿入機能 などを立て続けに実装」
じいや「従来の無音の制作環境から 音が加わった環境へ変貌しました」
じいや「その結果、生まれたのが 従来作品とは一線を画す「演出」」
じいや「適切なエフェクトに適切なタイミングで 視点を変え、見せ方を変え、 音楽と合わせ感情を揺さぶる──・・」
じいや「「読む」ではなく「観る」へ 捉え方が決定的に変わる瞬間だったかと」
じいや「当時のオカリ氏の感想がこちら」
じいや「ええ、参ってます 「どないせぇっちゅうねん」状態」
じいや「色々とカタストロフされた模様です」
じいや「そんな経緯でオカリ氏も頭を悩ませ、 演出面をイチから考え直すのでした」
じいや「逆に言うならカタストロフのお陰で 作品としてのクオリティ向上に 繋がった訳ですね」
じいや「今思い返せば、良い刺激だったのでしょう」
〇源泉
じいや「では、演出にどの様な工夫を施したか」
じいや「特徴的な要素は ・視点変更による印象付け ・同一シーンの3分割演出、など」
じいや「3分割、1カメ2カメ3カメの演出ですね」
じいや「・・といった様な」
じいや「あと当時アイテムに「望遠鏡」はなく、 コチラで代用しましたが・・」
じいや「察しの良い方に即看破されたので 急きょスチルを用意し、差し替えました」
じいや「ええ、今思っても 差し替えたのは正解でした」
じいや「以上の発想・執筆・衝撃・制作を経て 「星売りのメテオシスター」が完成」
じいや「・・いまだ完結できないまま 現在に至る訳ですね」
じいや「ちなみに第13話でやっと オークションが開幕したとか」
じいや「さて、内容はここまで」
じいや「次は予選通過後に起きた・・ 個別プロモーションの悲劇について ご紹介いたします」
〇SNSの画面
じいや「2022年8月9日・・ 公式が予選通過者を発表」
じいや「予選通過作には個別にPRが付く 未だかつて無い異例の副賞でしょう」
じいや「さらに公式からはこの様な 心強いお言葉もありました」
じいや「最低でも100人もの読者!? 言い切ってしまって大丈夫なの!!?」
じいや「・・と、当時オカリ氏は驚き あることを思い付きました」
じいや「「そうだ、検証しよう」・・と」
じいや「疑り深いというか何というか」
じいや「そこでまず、広告が始まる直前の 9月7日時点の数値を保存いたしました」
じいや「作品ページ参照数:1715回(229人) 閲覧数:396回(124人) 閲覧率は54.1%」
じいや「まずまずの数字です カテゴリ平均と比べて 「やや平均以上」の閲覧率ですね」
じいや「ここから何人増えるのか 広告が出るまで待つこと1週間」
じいや「ついに、その時が訪れます」
じいや「こちら、9月15日に確認した 「1日分」のデータです」
じいや「来ました、なんとたった1日で 46回(42人)の参照数です!」
じいや「初回投稿から3カ月経過・・ 最新話を更新した訳でもないのに この数は異常です」
じいや「「ついに始まったか!」と思いつつ 横に目を映すと・・」
じいや「────────────── ───────────ふたり?」
じいや「1日で42人が観に来て・・」
じいや「実際に読んだ人は────2人?」
じいや「ええ、オカリ氏 胸中に嫌な予感が浮かびます」
じいや「そして予感は的中 こちら、広告開始から1週間後」
じいや「2022年9月23日までの データになります」
じいや「お分かり頂けたでしょうか」
じいや「作品ページ参照数:2175回(449人) 閲覧数:475回(133人) 閲覧率は29.6%」
じいや「2週間前の9月7日に比べて 作品ページ参照数は220人増えましたが」
じいや「肝心の閲覧者数の増加はわずか9人 ・・・たったの4%でした」
じいや「しかも、しかもですね その9人のうち読了者は1人のみ」
じいや「手元に残った閲覧率は 55.1%から29.6%に急減し」
じいや「広告を経て増えた読了者数は わずか1人という結果に終わりました」
じいや「はっきり申し上げます 大惨事です」
じいや「ですが、実はこの大惨事・・ システム面における明確な理由が ございました」
じいや「こちらをご覧ください」
じいや「こちらの画面、 ご覧になったことはございますか?」
じいや「実はこちら、非会員のみに 表示される画面でして」
じいや「いわゆる会員登録していない 「ゲスト」端末から読もうとした際に 表示される案内です」
じいや「ですがこの表示・・ 当初はありませんでした」
じいや「断言は出来ませんが、おそらく 2022年の7月頃を境に 実装されたと推測いたします」
じいや「根拠はオカリ氏の自作における リアクションのゲスト(非会員)比率」
じいや「例えば2022年1月投稿の 「ハチ公の憂鬱」では頂いた 総リアクション数は108個」
じいや「うち非会員のゲストによる評価は38個 ゲスト率は35.2%です」
じいや「大小差はございますが、この傾向は 卒論やモミの木でも同様でして」
じいや「卒論のゲスト率は39.3% モミの木も同じく39.4%」
じいや「2022年3月投稿の「雪道スタック」 においては23.2%がゲストでした」
じいや「しかし、同年8月末に投稿した 「怪視病」を数えますと」
じいや「総リアクション数は雪道と同等の 47個ですが、うちゲストは4個 ゲスト率は8.5%です」
じいや「蠱毒の方もゲスト率は8.1% これまでの傾向から打って変わって 急減しております」
じいや「そして、その理由こそが この表示の導入」
じいや「会員登録への誘導でしょう」
じいや「初見の方はきっとこう思われました 「なんだ、会員登録しないと 読めないのか」・・と」
じいや「個人情報に注意が必要な時代 無用な会員登録は誰であれ警戒致します」
じいや「この改変によって非会員の流入が激減し 「長編コン予選通過PRの悲劇」が 起きてしまった────・・」
じいや「・・・・と、オカリ氏は 考えているそうです」
じいや「ただ、運営側の戦略も理解できます」
じいや「サービス存続や収益化に向けて 会員登録者数は必須」
じいや「ましてや、長編コンの場合は わざわざ広告費をかけてまで 宣伝いたします」
じいや「少しでも会員登録を増やすには 明確な導線が必要 ゆえにこの表示を加えたのでしょう」
じいや「・・・・・・・・・ただ、願わくば」
じいや「せめて長編コンのPRが全て終わってから 表示を変えて欲しかったと」
じいや「思わずにはいられない オカリ氏でありました──・・」
〇オーディション会場(物無し)
じいや「さて、余談はここまで」
じいや「皆さまお待ちかねの──・・ 「審査員による個別フィードバック」です」
じいや「まずは公になっているコメントから 振り返りましょう」
じいや「メテオシスターはお陰様で 最終候補に選ばれた作品」
じいや「コンテストの選評では このように評されておりました」
じいや「意外性のあるアイデアとそれをテンポよく 語るストーリーテリングが魅力の オカリさんの『星売りのメテオシスター』」
じいや「意外性、とは隕石を売る展開ですね テンポよく、もわかります」
じいや「「ストーリーテリング」とは 「Story telling」・・つまり 「物語を伝えること」の直訳ですね」
じいや「要は ・意外なアイデア ・物語を伝える構成 この2点が評価された形です」
じいや「では次に、フィードバックコメントを ご紹介いたします」
じいや「こちらは当初予定していなかった副賞 指定期間内に10話投稿した希望者のうち」
じいや「内部情報である審査時の評価を開示する 長編コン独自の取り組みです」
じいや「完走賞の「アマギフ1000円分」が 届いた際に希望方法が書かれておりました」
じいや「当時受け取ったメールです」
じいや「オカリ氏はこの通りに 申請しようといたしますが」
じいや「公式アカウントから気になる 発信を見つけました」
じいや「「ネガティブは丸く」・・? ここに引っ掛かりを覚えた訳ですね」
じいや「どうせなら素の意見が欲しいものです それに、仮にも最終候補作品」
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メテオシスター、完結まで楽しみにしてます!
1話読んでから読ませていただきました!!✨☺️本編の続きも気になるのと、デザートも気になります!!✨
もう本当に素晴らしいフルコースですね✨😆こんなに素敵なフルコースをありがとうございます✨😆
メインディッシュの匂いにつられて来ました!メテオシスターはメテオネキだったかもしれないのか!今度からメテオネキって呼ぼう!フィードバックは興味深いですね。楽しませる、うーん、もっと分かりやすく!ってことですかね……?「読み手に親切に」ってどこかで言われたことあるかもしれない。意図を汲み取らせるのではなく、意図を伝える、この伝え方が難しいんですよね。私はどうしても「察して」ほしくなるし、察したい!