むらむらしちゃだめっ!

大河内 りさ

7むらむら『自覚症状』(脚本)

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〇大きな木のある校舎

〇図書館

〇役所のオフィス
水縹 慧「・・・・・・」
壱邑 一貴「・・・・・・」
水縹 慧「いい加減、保健室登校ならぬ 図書準備室登校やめない?」
壱邑 一貴「好きで来てんじゃねーよ!!」
水縹 慧「よくまぁ毎日"むらむら"できるねぇ」
水縹 慧「恐るべき男子高校生の性欲・・・」
壱邑 一貴「少しはオブラートに包めえええっ!!」
壱邑 一貴「やっと戻った・・・」
水縹 慧「次の授業は出られるね」
壱邑 一貴「4時間目はたしか・・・体育だ!」
壱邑 一貴「よっしゃ! 体育なら男女別だし 動いてりゃ"むらむら"しないで済む!」
壱邑 一貴「いってきまーす!」
水縹 慧「・・・はたして、そう上手くいくかな?」

〇白い校舎
壱邑 一貴「────何で」
壱邑 一貴「何で今日に限って合同授業!?」
笹倉 浩「あっちの先生が休みなんだってさ」
笹倉 浩「女子の体育着姿・・・新鮮ですなぁ」
壱邑 一貴「体育着・・・」
壱邑 一貴「ワ"ァーーーーッ!!」
壱邑 一貴「笹倉、俺を殴ってくれ!!」
笹倉 浩「急にどうした!?」
中邑 ゆうり「いっちー!」
壱邑 一貴「ギャーーーーッ!!」
中邑 ゆうり「話しかけただけで悲鳴あげるって何!?」
笹倉 浩「情緒不安定!!」
笹倉 浩「そういや3時間目までいなかったもんな」
笹倉 浩「調子悪いのか?」
壱邑 一貴「すこぶる悪い!!」
笹倉 浩「そんな元気に言われても・・・」
中邑 ゆうり「大丈夫?」
中邑 ゆうり「もしかして呪いの影響?」
壱邑 一貴「ちょ、近──」
クラスメイト「ボールいった! 避けろー!!」
「え・・・」
中邑 ゆうり「うぶっ」
壱邑 一貴「大丈夫か!?」
壱邑 一貴「おい、中邑!?」
笹倉 浩「ナイス顔面トラップ・・・」
笹倉 浩「保健委員ー! 中邑がやられたぞー!」
壱邑 一貴「よっ・・・と」
笹倉 浩「あ、おい」
壱邑 一貴「保健室行ってくる!」
笹倉 浩「あれが噂のお姫さま抱っこ・・・!!」

〇警察署の医務室
壱邑 一貴「失礼しまーす」
壱邑 一貴「・・・って、誰もいねえ」
壱邑 一貴「とりあえずベッドに寝かせとくか」
壱邑 一貴「よいしょ」
壱邑 一貴「鼻赤くなってんな」
壱邑 一貴「何か冷やす物・・・」
中邑 ゆうり「んぅ・・・」
壱邑 一貴「起き──」
中邑 ゆうり「・・・・・・」
壱邑 一貴「──てない」
壱邑 一貴「こういう場合って起こした方がいいのか?」
壱邑 一貴「中邑〜・・・?」
中邑 ゆうり「んんっ・・・」
壱邑 一貴(そういえば俺、さっき こいつのこと姫抱きして──)
壱邑 一貴「っしゃあ!」
壱邑 一貴「さっきのは救護活動!! 下心なんか一切──」
壱邑 一貴「ない・・・よな?」
壱邑 一貴「・・・・・・」
壱邑 一貴「そういえば俺、こいつが関わってる時だけ "はなむらむら"になってるような気がする」
壱邑 一貴「え?」
壱邑 一貴「もしかして俺、こいつのこと好──」
壱邑 一貴「・・・マジかよ」
壱邑 一貴「えっ? そうなの!? そうなのか!?」
中邑 ゆうり「んっ・・・」
中邑 ゆうり「柊・・・」
壱邑 一貴「・・・・・・」
壱邑 一貴「自覚した瞬間に失恋確定!?」
養護教諭「あら、誰か来てる」
養護教諭「たしか2年生の・・・ 中邑さん? 起きられる?」
中邑 ゆうり「あれっ、私・・・」
養護教諭「席外しててごめんなさい。 具合悪くて来たのよね?」
中邑 ゆうり「サッカーボールが顔に当たって・・・」
中邑 ゆうり「あの、誰が運んでくれたんですか?」
養護教諭「えっ、自力で来たんじゃないの?」
中邑 ゆうり「はい・・・」
養護教諭「やだ、脳しんとう? 意識は──しっかりしてるわね」
養護教諭「頭痛や吐き気は?」
中邑 ゆうり「ありません。 それより鼻が痛いです」
養護教諭「氷嚢用意するからちょっと待ってて」
中邑 ゆうり(いっちーが運んでくれたのかな?)

〇学校の廊下
壱邑 一貴(逃げてきたはいいけど)
壱邑 一貴(この後どうすっかな)
水縹 慧「なに平然と歩いてるの!?」
壱邑 一貴「そっちこそ何やってんだよ」
水縹 慧「新しく購入した本が届いたから 事務室に取りに行ってたんだよ」
水縹 慧「壱邑くんも運ぶの手伝──」
壱邑 一貴「ムリ!」
水縹 慧「だよねぇー」
壱邑 一貴「むしろ俺のこともついでに運んで」
水縹 慧「仕方ないなぁ。箱の上に乗って」
壱邑 一貴「はーい」

〇大きい施設の階段

〇図書館
水縹 慧「よいしょ・・・っと あー疲れた」
壱邑 一貴「・・・っと」
水縹 慧「どうせならもっと早く戻ってよ」
水縹 慧「ていうか、体育でも "むらむら"してるじゃん」
壱邑 一貴「色々あったんだよ!」
壱邑 一貴「なぁ、この呪いキス以外で解けねーの?」
水縹 慧「壱邑くんキスする自信ないのぉ?」
壱邑 一貴「ニヤニヤすんな!!」
壱邑 一貴「自信も何も、 相手に好きなヤツいたら無理だろ」
水縹 慧「そこはホラ・・・」
水縹 慧「俺の魅力で振り向かせてみせるぜ!!」
水縹 慧「──みたいな」
壱邑 一貴「あ、4時間目終わった。 ダルイし今日はもう帰ろっかな」
水縹 慧「スルーやめよう?」
中邑 ゆうり「失礼しまーす」
中邑 ゆうり「いっちー!」
中邑 ゆうり「よかった、ここにいた」
壱邑 一貴「中邑・・・」
中邑 ゆうり「笹倉に聞いたよ。 保健室運んでくれてありがとう」
中邑 ゆうり「あとこれ、制服預かってきた」
壱邑 一貴「えっ、悪い」
水縹 慧「準備室で着替えていいよ」
中邑 ゆうり「先生、ついでにお昼ご飯 準備室で食べてってもいいですか?」
水縹 慧「ご自由にどーぞ」
中邑 ゆうり「いっちーお昼ある?」
壱邑 一貴「ないけど午後は帰──」
中邑 ゆうり「じゃーん」
中邑 ゆうり「早く購買行けたから選び放題だったんだ」
中邑 ゆうり「さっきのお礼ってことで」
中邑 ゆうり「あと賄賂」
壱邑 一貴「え?」
中邑 ゆうり「いいから、はい」
壱邑 一貴「え、あ・・・」
中邑 ゆうり「早く着替えてきなよ。 準備室で一緒に食べよ?」
壱邑 一貴「お、おう・・・」

〇役所のオフィス
壱邑 一貴(何だ? 急に中邑の距離感が縮まったぞ?)
壱邑 一貴(さっきの姫抱きで好感度が急上昇!?)
壱邑 一貴(いやいやギャルゲーじゃあるまいし)
壱邑 一貴(そもそも中邑は気絶してたんだから、 どうやって運んだかなんて──)
中邑 ゆうり「もう入っていーい?」
壱邑 一貴「おー、大丈夫だぞ」
宇多邑 苑江「お邪魔しまーっす」
壱邑 一貴「宇多邑先輩?」
宇多邑 苑江「さー、お昼食べよー! お腹すいちゃったぁ」
壱邑 一貴「えっ」
宇多邑 苑江「私が一緒じゃご不満かな?」
壱邑 一貴「いやそういう訳じゃ」

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コメント

  • 受難続き、悶々続きのいっちー、強く生きて……😂
    このお年頃感、いっちーが可愛くて仕方ないです😊 彼の解呪シーンって、と想像するとドキドキです😳

  • いっちーがゆうりとキスするの見たいような、見たくないような。間接キスくらいなんとかできませんかねぇ。
    正カップルがいて横恋慕しか道が残されていないキャラクターの切なさよ…。

  • いっちー不憫さが天元突破してますね……いっちーカラー人参はなむらむらがいつも可愛いです。運んで→ムリ!むしろ俺運んでの流れが可愛すぎる
    あんなにど安定幼馴染の男子にフレンドリーな中邑に片想いしてるけど全然そうと思われてなさそうな気楽なフレンズ位置のいっちーどうなるんですかね……正直いっちー1番先が気になる面白い子すぎる……

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