リモート死刑

たかぎりょう

3人目(脚本)

リモート死刑

たかぎりょう

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〇大会議室
刑務官「3人目の被害者は、当時、浦宮東中学校の2年生だった清水香音さんです」
刑務官「ドラマは、クラスメイトがいじめに遭っていると思われる場面を香音さんが見かけるところから始まります」
刑務官「それでは、ご覧ください」

〇体育館裏
清水香音「もう先生ってば、人使いが荒いんだから」
  もう、いいかげんにして!
清水香音「えっ?」
  大きな声に驚いて立ち止まり、声のした方に静かに向かう香音
白川唯「おい、大声を出すなよ!」
白川唯「今月、ちょっと足りないんだ」
白川唯「だから、ね、もう少し」
柳沢ひかり「私だってもうないよ・・・」
白川唯「もし、本当にないんだったら」
白川唯「弘毅の先輩が、いい仕事紹介してくれるって」
白川唯「な、弘毅」
山田弘毅「うん、かなりおいしい仕事みたいだよー」
山田弘毅「でへへ・・・」
白川唯「うわー、お前気持ち悪っ!」
柳沢ひかり「も、もう許して・・・」
清水香音(あれは柳沢さん・・・)
清水香音「いい仕事?」
清水香音「やばい匂いがプンプンする」
白川唯「どうする?」
白川唯「明日までに用意するか仕事するか」
白川唯「いまここで決めてよ」
柳沢ひかり「・・・」
  その時、何かが倒れたような大きな物音が響く
山田弘毅「人が来た!?」
白川唯「チッ」
白川唯「今夜、いつもの公園に来いよ」
白川唯「来なかったらわかってるよな?」
柳沢ひかり「もう、どうしたらいいの・・・」

〇教室
清水香音(カバン持ってなかったから戻ってくるはず)
柳沢ひかり「あ、清水さん」
柳沢ひかり「まだ帰ってなかったんだ?」
清水香音「うん・・・」
清水香音「柳沢さん」
柳沢ひかり「ん?」
清水香音「大丈夫?」
柳沢ひかり「え、何が?」
清水香音「大丈夫じゃないよね・・・」
柳沢ひかり「何が・・・」
柳沢ひかり「え、もしかして!?」
清水香音「うん・・・さっき体育館裏で見ちゃった」
柳沢ひかり「そっか・・・」
清水香音「私で良ければ話きくけど?」
柳沢ひかり「ありがとう」
柳沢ひかり「でも、清水さんに迷惑がかかるから」
柳沢ひかり「私、帰るね」
清水香音「あー、柳沢さん!」
柳沢ひかり「?」
清水香音「お腹空かない?」

〇ファストフード店の席
清水香音「さっき一緒にいた2人は誰?」
柳沢ひかり「1組の白川さんと4組の山田君」
柳沢ひかり「2人とも小学校が同じだったんだ」
清水香音「話しの内容からすると、お金を要求されてたみたいだけど」
清水香音「いつからそんな事されてるの?」
柳沢ひかり「半年くらい前かな・・・」
清水香音「そんなに前から?」
清水香音「さっきの様子だと頻繁に取られてるっぽいけど」
清水香音「そのお金は柳沢さんの小遣いから出してるの?」
柳沢ひかり「・・・」
清水香音「まさかやばい事してないよね?」
柳沢ひかり「清水さんには関係ない・・・」
清水香音「ううん、関係あるよ、柳沢さん」
柳沢ひかり「え?」
清水香音「私が見たところ、あの2人は柳沢さんがどうなろうと知ったこっちゃないって感じだったから」
清水香音「このままだとどんどん要求はエスカレートするよ」
清水香音「いま限界って感じの柳沢さんが、これ以上耐えられるとは思えない」
清水香音「このまま私が何もせず、この先柳沢さんに万が一の事があったら」
清水香音「私はこの先ずっと後悔して生きなきゃならないんだよ?」
清水香音「だから、もう無関係じゃない」
柳沢ひかり「・・・」
清水香音「もし、それでも無関係だって言うなら」
清水香音「私の記憶を、さっきの出来事を目撃する前に戻してくれるかな?」
柳沢ひかり「そんなの無理・・・」
清水香音「だったら私に話して、これからどうするかを一緒に考えようよ」
清水香音「私たちまだ14歳だよ?」
清水香音「この歳で、一生を後悔するような経験をしちゃダメだって」
柳沢ひかり「そっか、そうだよね」
清水香音「半年前からってことは、あるきっかけがあって」
清水香音「きっと、その時にあいつらに弱みを握られたんだよね?」
柳沢ひかり「すごい、清水さん!」
柳沢ひかり「良くわかったね」
清水香音「いや、だって昔からいじめられてたわけじゃないとしたら」
清水香音「無理な要求を断れない理由って、それしかないんじゃない?」
柳沢ひかり「ああ、そっか・・・」
清水香音「大丈夫、話してみて」
清水香音「私にちょっと考えがあるから」

〇広い公園
白川唯「もし来なかったらわかってるよね?」
山田弘毅「先輩に頼んで、二度と断れないような弱みを作ればいいんだよね?」
白川唯「そうそう、お利口さん」
山田弘毅「でへへ・・・」
白川唯「だから気持ち悪いっつーの」
山田弘毅「そんなぁ・・・」
白川唯「あいつの親金持ちだからさ」
白川唯「搾り取れるだけ搾り取らないと」
白川唯「よく来たね、感心感心」
白川唯「で、金は持ってきた?」
柳沢ひかり「もう唯にお金は渡さない」
白川唯「は?」
白川唯「どういうこと、どういうこと?」
白川唯「お前が万引きしたのバラされてもいいの?」
白川唯「きっとご両親、がっかりするだろうなー」
白川唯「弟も学校でいじめられるんだろうな」
白川唯「お前の姉ちゃん泥棒だって」
澤村美帆「なるほど中学生にしては悪質だ」
白川唯「何だ? 誰だお前ら」
清水香音「初めまして」
清水香音「私は、柳沢さんのクラスメイトの清水です」
清水香音「こちらは私の従妹で、弁護士の澤村美帆さんです」
澤村美帆「まだパラリーガルな」
白川唯「べ、弁護士・・・」
澤村美帆「いや、だからパラリーガルだって」
白川唯「ひかり、てめー」
白川唯「いいんだな? 家族にばらしてもいいんだな?」
澤村美帆「何をばらすんですか?」
白川唯「だから、こいつが本屋で万引きしたことだよ」
澤村美帆「ほう・・・」
澤村美帆「万引きしたんですか、ひかりさん」
柳沢ひかり「いえ、してません」
白川唯「な、なんだって!? お前、ふざけるなよ!」
白川唯「参考書盗んだろうが!」
澤村美帆「その証拠は?」
白川唯「証拠?」
澤村美帆「ええ、証拠がないなら、それはあなたのただの絵空事です」
白川唯「そんなの、私たちの言いなりになってたのが確かな証拠じゃないの!」
澤村美帆「ひかりさんは、身に覚えのない罪で家族が心を痛めるのが嫌で」
澤村美帆「それであなたたちの言う事を聞いていたんですよ」
白川唯「ふざけるなよ」
白川唯「そんな話、誰が信じるんだ」
澤村美帆「その点、ひかりさんがここに来てからの会話は録音させてもらってるので」
澤村美帆「こっちには確たる証拠があります」
澤村美帆「あなたたちの行為は、恐喝罪に当たります」
白川唯「未成年だから刑罰は受けないもん」
澤村美帆「あくまでも成人のような刑罰は受けないってことです」
澤村美帆「あなたはもう14歳らしいから、刑事責任も問われるし逮捕される可能性もあります」
澤村美帆「逮捕されて起訴されれば刑事裁判が開かれ」
澤村美帆「執行猶予がつかない有罪判決が出れば少年院行きです」
澤村美帆「また、行為が悪質でかなりの金額をひかりさんから脅し取ってるので」
澤村美帆「慰謝料の支払いも必要になるでしょうね」
白川唯「慰謝料って、マジかよ・・・」
清水香音「美帆さん、ご説明ありがとうございました」
澤村美帆「いいえー、お役に立てた?」
清水香音「はい、もちろんです!」
清水香音「それで、どうするの?」
清水香音「証拠を持って、私たちが警察に行ってもいい?」
白川唯「クッ・・・」
清水香音「私たちがそうしたら、いま美帆さんが説明した事に加えて、学校も退学になるでしょうね」
白川唯「すみませんでした・・・」
清水香音「いや、謝る相手違うでしょ」
白川唯「・・・」
白川唯「ごめん、ひかり」
白川唯「今まで悪かった」
柳沢ひかり「うん・・・」
清水香音「よし!」
清水香音「それじゃ、今後二度と脅迫や恐喝はしないということと」
清水香音「ひかりから取ったお金は返済すると記載したこの誓約書にサインをしてください」
白川唯「そんなの書かなくても、二度としないしお金も返すよ」
清水香音「まだ自分たちがやってたことの重大さをわかってないの?」
清水香音「それとも、本当は謝罪の気持ちも返済する気もないとか?」

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