リモート死刑

たかぎりょう

4人目(脚本)

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〇大会議室
刑務官「4人目の被害者は、和久井政義さんです」
刑務官「和久井さんは、事件が起きる約2か月半前に浦宮警察署を退職した元刑事でした」
刑務官「それでは、ご覧ください」

〇シックな玄関
和久井光代「どうしても今日行かなきゃいけないの?」
和久井政義「大きいヤマが片付いてちょうどいま落ち着いてる頃だろうから、今日がいいんだ」
和久井光代「それなら仕方ないけど、映画に遅れないように来てよ」
和久井政義「わかってるよ」
和久井政義「浦宮駅東口の改札出たところでいいんだよな?」
和久井光代「うん」
和久井政義「じゃあ行ってくる」

〇警察署の入口
和久井政義(まだふた月ちょっとしか経ってないが、なんかもう懐かしいな)

〇警察署のロビー
青嶋侑司「ワクさん! お久しぶりです」
青嶋侑司「今日はどうしたんですか?」
和久井政義「連続強盗の件は落ち着いたか?」
青嶋侑司「はい、やっとホシを挙げることができました」
青嶋侑司「いま取り調べしてますが、順調に進んでいます」
和久井政義「そうか、良かった」
青嶋侑司「今日はそれを聞きに?」
和久井政義「いや、お前さんにこれを渡しておこうと思って」
青嶋侑司「これは?」
和久井政義「俺が長年刑事しながら重要だと感じたことなんかをメモしてある」
青嶋侑司「え、そんな大事なものを僕に?」
和久井政義「そんな大層なもんじゃないよ」
和久井政義「良かったら参考にしてくれ」
青嶋侑司「ありがとうございます! 僕も和久井さんみたいな刑事になれるように頑張ります」
和久井政義「それじゃ、邪魔したな」
青嶋侑司「はい、今度ゆっくり酒でも吞みましょう!」
和久井政義「ああ、そうだ」
和久井政義「青嶋、お前確か新婚だったよな?」
青嶋侑司「はい、もうすぐ1年になりますが」
和久井政義「俺が言えたことじゃないが」
和久井政義「奥さんのこと、大事にしてやれよ」
和久井政義「俺は仕事に夢中で、ずいぶんと家内に寂しい思いをさせてしまった」
青嶋侑司「仕方ないですよ、刑事なんですから」
青嶋侑司「うちのも覚悟はしていると思います」
和久井政義「それでも、休めるときは休んで、たまには外で一緒に飯食うとかしてやれ」
和久井政義「それだけでもだいぶ違うと思う」
和久井政義「くれぐれも、うちのように冷え切った関係にならないようにな」
青嶋侑司「わかりました」
青嶋侑司「肝に銘じておきます」
和久井政義「それじゃな」
青嶋侑司「ありがとうございました!」

〇広い改札
和久井光代(警察辞めても待たされるのかしら・・・)
和久井政義「悪い、待たせた」
和久井光代「あら、珍しいー」
和久井光代「あなたが時間通りに来るなんて」
和久井政義「悪かったな」
和久井光代「え?」
和久井政義「今まで苦労かけて済まなかった」
和久井光代「どうしたの急に」
和久井政義「これからは待たせないように努力するし」
和久井政義「お前の行きたいところにも連れて行くようにする」
和久井光代「あなた・・・」
和久井政義「行くぞ」
  歩き出すふたり
和久井政義「映画までどれくらい時間があるんだ?」
和久井光代「あと30分くらいね」
和久井政義「じゅうぶん間に合うな」
  キャー!
和久井政義「!」
和久井光代「どうしたの?」
和久井政義「いま悲鳴が聞こえなかったか?」
  キャー! ワーッ!
和久井政義「ロータリーの方が騒がしい」
和久井政義「行ってみよう」

〇駅前広場
和久井政義「これは・・・」
  多くの人々が悲鳴を挙げ、必死の形相で和久井たちの方に向かって走ってくる
和久井政義「何が起きてるんだ」
和久井光代「あなた、あれ!」
  光代が指さした方を見る和久井
  男が少女の胸をナイフで刺していた
和久井政義「これはまずい」
和久井政義「光代、お前もここから離れなさい」
和久井光代「あなた!」
和久井政義「奴を拘束しないと」
和久井光代「あなたはもう警察官じゃないのよ!」
和久井光代「これ以上、私をひとりにしないで」
和久井政義「光代・・・」
和久井政義「すまない」
和久井光代「あなた!!」

〇大会議室

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