いつか日の目を見る太郎11~目覚める薄幸の女編~

もりのてるは

目覚める薄幸の女編(脚本)

いつか日の目を見る太郎11~目覚める薄幸の女編~

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〇オフィスのフロア
幸野薄子「はぁ、今日も残業かぁ・・・」
  午前1時。ポク電公社。パソコン画面に明かり。
  無機質なキーボードを打つ音。諸行無常の響きあり。
幸野薄子「仕事、全然終わらないや・・・」
  この女、ポク電公社の従業員。
  名を幸野薄子。生まれながらに幸薄き女。
  サトイモとかぼちゃの葉で育った女。
  まるで戦時下の暮らし。貧しき田舎暮らし。
  されど、両親仲睦まじく、貧しき家庭に愛在り。
  愛。それはどんな不幸をも吹き飛ばす強固なる楯。
幸野薄子「なんで、あたしだけ、こんなに仕事しなくちゃいけないんだろう・・・」
  零れる愚痴は積もらずに消えゆく。

〇田園風景
  薄子、生まれながらに押しに弱い女。
  NOと言えない女。ゆえに、様々な不幸に巻き込まれた。
  小学校で押し付けられた係、生き物係。
  なぜか毎日、給食当番。
  なぜか毎日、黒板消し。
  なぜか毎日、便所掃除。
  悪知恵の働く女友達によって押し付けられた雑務。
  されど、薄子。たくましき愛に支えられた女。
  家での家事、薄子の役目。
幸野薄子(幼少期)「パパとママのために、美味しいごはん、作る!」
  両親は共働き。必然、家で一人ぼっちの毎日。夜遅く返ってくる両親のために料理を作る。
  幼き頃から、家事、家の掃除、鶏の世話、なんでもやった。
  生まれながらに健気。両親の自慢の娘。
  それでも、周囲の友達の家庭、裕福にして富む者ばかり。ありとあらゆる雑務を金で避ける者ばかり。
富豪の娘1「金魚と~うさぎさんと~亀のお世話よろしくね~」
幸野薄子(幼少期)「う、うん!任せて!」
富豪の娘2「あたし汚いの苦手~! トイレ掃除、薄子ちゃんやってぇ~」
幸野薄子(幼少期)「わかった!あたしに任せて!」
  必然、その意識は子にも移る。
  その意識を受け継いだ子供たち、学校でも同じ振る舞い。
  雑務を押し付け、避け、自分たちはおままごとに興じる。
  それでも、薄子はめげない。
幸野薄子(幼少期)「お世話、お世話。お掃除、お掃除!」
  いつか、いつか、自分にもあんな幸せが来るだろうと、自分にも、彼女たちと同じような楽しみを味わう日が来るだろうと、
  信じて、信じて、信じ続けて幾年月が過ぎ、気が付けば、オフィスで一人、パソコンと向き合い、
  終わらない仕事を終わらせるために指を動かす毎日。

〇オフィスのフロア
幸野薄子「あたし、何やってんだろう・・・」
  いつまでも鳴る気配の無い幸福の楽器の音色を待つ日々。
  幸福のメロディ。幻のメロディが聞こえるも、そのメロディの刻むリズムは、今、自分の指が鳴らすキーを打つ音か、否か。
幸野薄子「あたしがいなくなったら、みんな、悲しんでくれるのかな・・・」
  努力をしても、与えられる言葉は上辺だけの「ありがとう」
  心の底から自分に感謝する人間がいなかったわけではない。
  それでも、一人でオフィスで仕事をしていると虚しさが募る。
  押し付けられた仕事を消費する自分。
  仕事を押し付けて、余った時間で遊ぶ同僚たち。
  必然、距離が生まれる。仕事を押し付けられることが常態化する。
幸野薄子「よし、お笑いターイム!」
  一人きりのオフィス。楽しみと言えば、お笑い芸人のコント。
  一押しのコンビ、サスペンペンダーズのコントを見る。

〇コンビニのレジ
  『寄せ書き』と題されたコント。
  新川と伊東のコンビ。
  コントの設定は、新川が寄せ書きを書くことを依頼される。
新川省吾「え、あ、寄せ書き?伊東さんの?」
  それはバイトを辞める伊東の寄せ書きなのだが、バイト仲間の信頼は薄く、寄せ書きにはたくさんの空白。
  気を使って空白を埋める新川。そこにやってきた伊東。
  伊東はぶつくさと文句を言いながら、新川の文章を貶す。
伊東たかゆき「んだよっ!このテキトーに埋めた感じ!ま、新川って、そういうとこあるよなぁ~」
  そこで、新川は我慢ができなくなりぶち切れる。
新川省吾「なんですとぉ!」
  そこから新川の逆転劇が始まる。

〇オフィスのフロア
幸野薄子「はぁ~!この新川さんが言い返す言葉が最高なのよぉ~!」
  大好きなコントを聴いてご満悦の薄子
  心の支えの一つ、お笑い愛。
  これがあるから、強く生きていける。
幸野薄子「あんたの人生の縮図が、この寄せ書きに表れているんじゃ~!」
幸野薄子「って、私もいつか言ってみたいなぁ」
  ふふふと笑いながら、再び仕事に没頭する薄子。
  結局、家に帰宅したのは五時。
  軽くシャワーを浴びて、三時間の仮眠ののち、出社の準備
  タフな女。幸野薄子。

〇オフィスのフロア
  午前九時。全社員出社のポク電公社。
  あわただしいオフィスで、奇声をあげる女たち。
  自分で自分の首を絞めていることに気づかずに鳴く鳥のごとく。
高比斜那音「もうっ!もうっ!ありえない!ありえない!ありえナイチンゲール!」
  時代遅れのギャグを放つも、一周回って最先端と勘違いした女。
  名を高比斜那音(たかびしゃ・なおん)ポク電公社に八年勤務。
  自慢できることと言えば爪が綺麗なことくらいの女。自称医者の男と付き合って二年になる女。
  我慢の閾値が低い女。我慢のダムが即決壊して、下層の村々を水没させるような感情を持つ危ない女。
高比斜那音「キーボードが汚いのっ!あたしの!ネイリストが絶賛する爪が!汚れるの!無理!もう無理!あたし仕事できない!帰る!」
  子供が生まれても、爪の美しさを保つことを優先しかねない女。爪のプライド、バベルの塔のごとく高く積みあがった女。
幸野薄子「す、すぐに綺麗にしますね!」
  掃除係の薄子。那音のキーボードを拭く。
高比斜那音「もうっ!あんたが汚したんでしょ!汚いキーボード!あんたのフケとか、ばい菌とか、全部付いてんのよ!」
幸野薄子「そ・・・そんな・・・」
都手茂院シツミ「あらららららららら!汚らしいキーボードを放置するなんて、薄子さんはどんなゴミ屋敷に住んでいらっしゃるのかしら!」
  素っ頓狂な声で間に入り込んできた女。ありとあらゆる人間の会話に無遠慮に入ってくる厚顔無恥な性格の持ち主。
  名を都手茂院シツナ(とてもいん・シツナ)。集中力がプランクトンと同レベルの女。知らぬ間に鯨に食われても気が付かぬ神経の女
  人のミスを執拗に攻め込み続け、精神を破壊させて成り上がった都手茂院一族の令嬢にして、幼少の頃から人を罠に嵌める才に長け、
  ありとあらゆる人間を嵌めて、貶めて現在の地位を確立した女。ポク電公社にうってつけの女。シツナ、ポク電公社の爆弾設置班。
  ポク電公社の社長、万歳田山椒の47人の秘書のうち、人を罠に嵌めて陥れる存在はシツナのみ。時代が時代なら甲賀伊賀を凌ぐ存在
都手茂院シツミ「あなた、ひょっとしてシャワーしか浴びない生活をしてるんじゃないかしら?」
幸野薄子「え、いや、そんな・・・」
高比斜那音「あなた!きっと湯シャンが主流とか言って、シャンプー使わないんでしょ!そでしょ!お湯だけで頭洗うんでしょ!?ひぃいい汚物ぅ」
幸野薄子「ち、違います!ちゃんと、シャンプーも使います!」
都手茂院シツミ「ふふふ!使ってもどうせリンスインシャンプーでしょ。それも銭湯のリンスインシャンプーね!」
高比斜那音「もうっ!もうっ!ありえなさすぎ!ゴワゴワになるじゃない!髪もゴワゴワ、心もゴワゴワ。ゴワゴワの実の能力者じゃないの?」
幸野薄子「そ、そんな・・・違うもん、違うもん・・・」
都手茂院シツミ「もういいわ!あなた。手を洗ってきなさい。それと、消毒液持って、今から全社員のキーボードを掃除するのよ!」
幸野薄子「え・・・そんな・・・」
高比斜那音「きゃああ!?何!?もしかして薄子さん。歯向かう気?嘘よね。ありえないわ。自分よりも上の人の命令が聞けないなんて!人非人!」
幸野薄子「いえ・・・やります・・・すみません・・・」
都手茂院シツミ「そうよね?素直に従うのよ。薄子さん。あなた、影が薄いんだから、仕事に邪魔にはならないはずよ。はいっ!さっさと動く!」
幸野薄子「ううう・・・」

〇オフィスのフロア
  押し付けられて薄子。キーボードの掃除。
  周りの社員からの冷たい目。クスクスという声。
幸野薄子(もう・・・辞めたい・・・)
  まるで自分が機械にでもなったかのように、無表情でキーボードを掃除する。
喜多奈良真一「あれあれ、どうしたのかわいこちゃん。何してんの?」
幸野薄子「あ、あの・・・キーボードのお掃除を・・・」
喜多奈良真一「へぇ~偉いね。じゃあ、俺のここも掃除してよぉ~」
幸野薄子「え?」
  見れば、男性社員。自らの下半身を指で指し示す。
喜多奈良真一「けへへ。かわいこちゃん。あとで名前と連絡先教えてね」
  鳥肌が立ち、何も言えない薄子。
幸野薄子(もう無理だ・・・耐えられない・・・)
  男性社員のセクハラを受け流し、無心でキーボードを掃除する薄子。
  やけに眩しい机の前についた。キーボードが信じられないほど輝いている。
幸野薄子(え、何この人のキーボード。凄い綺麗・・・)
  思わず、掃除をする手を止めると、机に座っていた男が満面の笑顔で声をかけてきた。
いつか日の目を見る太郎「あっ!これはこれは!幸野薄子さん!こんにちは!」
  張りのある声。あらゆる闇を照らして消滅させるかのような力のある声。底抜けに純粋な笑顔。
  あらゆる苦難を乗り越えて、顔に二つの太陽を宿し、あらゆる困難を打ち砕き希望へと変えてきた男。
  努力の大地に咲く向日葵のような男。
  我らが、いつか日の目を見る太郎。
幸野薄子「え、ああ・・・」
幸野薄子(私の名前、しかもフルネームで覚えてくれているんだ)
  幸野薄子。胸のときめきを感じる。目の前の男、謎に明るく、一点の曇りもない男。傍にある物全てが輝いているようにさえ見える男
幸野薄子(っていうか、この人、誰だっけ・・・)
  薄子。いつか日の目を見る太郎のことを知らず。それもそのはず、この男、ほとんど会社にいない男。この瞬間が、初対面。
いつか日の目を見る太郎「はっ!これは失礼いたしました!初対面でしたな。おいら、いつか日の目を見る太郎を申しまして!下総の国——-」
  いつも通りの口上を並べ立てるも、薄子の頭に残らず。それよりも、今、薄子の目の前で輝く男。その瞳の輝きに心奪われて。
幸野薄子(な、何この人・・・かわいい・・・)
いつか日の目を見る太郎「というわけでございまして!」
幸野薄子「へっ!?あっ、ごめんなさい!ちょっとボーっとしてて!」
いつか日の目を見る太郎「むむっ!寝不足ですかな!寝たいとき、寝ときや!」
幸野薄子「あ、は、はい・・・ふふふ」
  薄子。思わず笑み。自分でも驚くほどの笑みが零れた。
いつか日の目を見る太郎「そ、それで、薄子さんはどうしてこちらに!?」
幸野薄子「あ!ごめんなさい!実は、キーボードのお掃除を!」
いつか日の目を見る太郎「へっ!?キーボードのお掃除ですとな!なんと、そんなお仕事がおありだとは・・・」
  いつか日の目を見る太郎の机の周り。信じられないほど綺麗。全く使われた様子がないほどの美しさ。
  事実。入社してから一度もキーボードの使用無し。いつか日の目を見る太郎、デスク仕事とは無縁の男。しかし、たまたま今日に限り
  パソコンの電源をONにしろという上司の命令。ただそれだけを任された男。そのほかの命令は一つ。
  ウイルスメールが来たら、開くな。
  しかし、いつか日の目を見る太郎、パソコンの使い方分からず。メールの確認方法知らず。ゆえに、ウイルス、そもそも確認できず
  途方に暮れながらも、パソコンの電源はONにした。それで満足。それで今日の仕事、終わり。
幸野薄子「いえ、違うんです・・・その・・・」
  勇気を振り絞って、いつか日の目を見る太郎に囁く薄子。
幸野薄子「ちょっとお話、聞いてもらえませんか?」
いつか日の目を見る太郎「お任せあれですな!」
  いつか日の目を見る太郎、ただただ暇だったのである。

〇高い屋上
  屋上。その名の響き、極上。いつか日の目を見る太郎、なぜか気分、高揚。
いつか日の目を見る太郎「お、お話とは、なんですかな・・・」
  ドキドキのいつか日の目を見る太郎。何の勘違い。一体、何の勘違いをしているのか。
幸野薄子「実はあたし、会社を辞めようと思っているんです」
いつか日の目を見る太郎「なんですとっ!?」
  驚天動地。思わず、腰を抜かすいつか日の目を見る太郎。
幸野薄子(な、何か私、変なことを言ったのかしら・・・)
いつか日の目を見る太郎「そ、そうですか・・・会社を退社されるということですな。告白じゃなかったんですな」
幸野薄子「え?なんですか?こくはく?」
いつか日の目を見る太郎「ごっほん、ごっほん!これは失礼。なんでもないですな。こちらの話の、あちらの話の、お国の話で」
幸野薄子「ふふふ、見る太郎さんは明るくていいですね」
いつか日の目を見る太郎「それだけが取り柄なもので・・・」
幸野薄子「わたしね、疲れちゃったんです。色んな仕事を押し付けられて、社内でも雰囲気が悪くって」
幸野薄子「誰も私がいなくなっても悲しまない。だったら、私がここにいる必要なんて、無いと思ったんです」
  じっと、いつか日の目を見る太郎、薄子の目を見る。
いつか日の目を見る太郎「何か、嫌なことでもあったんですな」
幸野薄子「分かりますよね。だって、もう私、我慢できないんです」
  幸子の声、震え、涙、瞳から零れ。
幸野薄子「辛いんです。小さい頃からずっと、人のために一所懸命に努力してきました。でも、もう限界。おかしくなりそうなの」
幸野薄子「どれだけ相手のためを思っても、実らないことばっかり。なんか、バカバカしくなっちゃった。残業しても、誰も褒めてくれない」
幸野薄子「どんなことも、私のせいにされて。今日なんて、キーボードの汚れを私のせいにされて、私が湯シャンしてるとまで言われて・・・」
いつか日の目を見る太郎「マ、マルセール・・・」
幸野薄子「それはデュシャン。急に現代アートの芸術家の名前なんて言わないでよ」
いつか日の目を見る太郎「タブラ奏者の・・・」
幸野薄子「それはユザーン。って、誰がそんなマニアックなアーティストを知ってるというの?」
いつか日の目を見る太郎(こ、この人、知識ありますな・・・)
幸野薄子「ともかく!わたし、辞めるの!辞めてやるの!わたしがいなくなっても、あの人たちは困らないわ」
いつか日の目を見る太郎「悔しく、ないんですかな?」
幸野薄子「えっ?」
いつか日の目を見る太郎「色んな人に押し付けられて、嘲笑いの目にあって、せっかくの居場所を奪われて、悔しくないのですかな」
幸野薄子「く、悔しくないと言ったら、嘘になるわね。でも、いいの。わたしは争いたくない」
いつか日の目を見る太郎「戦わずに去るよりも、戦って去る方が、人生の輝きには必要なときもありますな」
幸野薄子「ふふ、いつか日の目を見る太郎さん。あなた、そんな強いことが言える人なの?わたし、あなたのこと何も知らないのよ」
いつか日の目を見る太郎「おいらの好きな作家は、こんなことを言っていますな」
いつか日の目を見る太郎「君にも咲かせるべき花があって、蒔くべき種があって、与えるべき水があるのだと教えてくれる春の教室」
幸野薄子「春から学ぶものなんて、温かくて陽気くらいのものなのよ・・・」
いつか日の目を見る太郎「おいらも、色んな酷い目に会いましたが、逃げるときは前に逃げてきました。目の前を立ち塞がれても、まっすぐに逃げました」
いつか日の目を見る太郎「気づけば、おいらが乗り越えた人々が、おいらの壁になっていた人が、今はおいらを守る楯になってくれています」
いつか日の目を見る太郎「戦うとか戦わないとかは置いといて、きちんと向き合えば、きっと物事は前を向くんじゃないかと思うんですな」
いつか日の目を見る太郎「おいらは、生まれてから両親の顔を知りません。でも、両親が与えてくれた体、魂、そして心は、たとえ両親の顔を知らなくてもある」
いつか日の目を見る太郎「ここに確かに感じる。だから、おいらは、恥じずに、何事にも恥じずに、まっすぐに生きたいんです。それがおいらの使命だから」
いつか日の目を見る太郎「どんなに苦しい状況の中にあっても、おいらはそれを全部乗り越えたい。おいらの成すべきことは、この苦難の状況の中にある」
いつか日の目を見る太郎「黒で埋め尽くされたオセロの盤上を、全部白にひっくり返す。ポク電公社で、おいらはそれがやりたいんです」
いつか日の目を見る太郎「はっ!すみませんですな。自分のことばかり話してしまって・・・」
幸野薄子「ふふふ・・・うふふ・・・ううう、ぐすんっ、ぐすん・・・」
いつか日の目を見る太郎「ど、どうして泣いているんですかな!?」
幸野薄子「いつか日の目を見る太郎さん。なんだか、今日初めて会った気がしない。あなたって、本当に強い人ね」
幸野薄子「あたしね。ずっと幸が薄いの。みんなが普通に感じるような幸福を感じてこなかった気がするわ」
幸野薄子「でもね、両親は私を励ましてくれた。故郷を出るときも、立派になれって応援してくれた。この会社で心折れたけどね」
幸野薄子「それでも、あなたの言葉を聞いて、もう一度、向き合ってみようって思ったわ」
幸野薄子「どんな理不尽な目に会っても、ひどい仕打ちを受けても、色んな不幸を押し付けられても、私はあきらめちゃいけないのね」
幸野薄子「私が諦めたら、私を信じてくれた両親に申し訳が立たない。それに、私自身もこれからずっと、諦め続ける人生になっちゃう」
幸野薄子「だから、あなたの言葉を聞いて決めたわ」
幸野薄子「私も、黒で埋め尽くされたオセロの番、全部、白にひっくり返してやるわ!」
いつか日の目を見る太郎「む。無茶はしませんように・・・」
幸野薄子「ふふふ。いつか日の目を見る太郎さん」
幸野薄子「あなたのおかげで決心がついたわ。 あなたに相談して、本当に良かった」
幸野薄子「自分の心の、悔しいっていう気持ちを誤魔化してた。逃げようとしてた。でも、私、心の底から思うわ」
幸野薄子「悔しい!悔しい!悔しい!悔しい!」
  貞子と伽椰子も腰を抜かすほどの怨念を吐き出す薄子。
幸野薄子「薄い幸を、濃い幸に変えてみせるわ!」

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コメント

  • めっちゃかっこいいじゃないですか!
    ちょっと気弱そうに見えて、やるときはやる男なんですよね!
    しかし太郎シリーズは最近の流行りネタも、昔のネタも織り交ぜてて読んでいて飽きないです。

  • 太郎さんかっこいいですよね!
    それにしても、気弱な人につけ込む人って最悪だなぁと。
    断れない人を見つけるの上手いですよね、ああいう人達。
    でも最後はスッキリしました!楽しかったです!

  • 今回も爽快に悪を倒し善を務めてくれた見る太郎さん、さすがです! 幸子さんと太郎さんの不幸度はさておきながら、彼は生まれながらにして強靭な精神力の持ち主だということが強調されましたね。幸子さんは天職を得られたようで本当によかった・・・。

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