第6話 伝説のスナイパー現る!③(脚本)
〇商店街
俺はメイ・チュウ
俺のライフル『リンダ』での一撃命中、それが俺のポリシーだ・・・
メイ・チュウ「・・・ッフ」
メイ・チュウの視線の先に、お弁当屋『にこにこ弁当』の看板が見えた。
〇お弁当屋のレジ(店名あり)
高原みこ「ねえ、アテナ。 そうやって立ってるだけなら手伝ってよ~」
アテナ「立っているだけではありません。警戒中です」
高原みこ「とかいっちゃって~、そんなにしょっちゅう刺客なんか来ないってば!」
みこはアテナの後ろに回り込むと、アテナの体に手を回してエプロンを着せた。
高原みこ「お~! 似合う!」
アテナ「御主人(マスター)、これは・・・」
高原みこ「だって、アテナは私を助けに来てくれたんでしょ?」
アテナ「そうですが、今は──」
高原みこ「いいからいいから、こっち来て!」
〇商店街
一撃命中の秘訣?
・・・聞きたいなら教えてやろう
メイ・チュウ「・・・ッフッフッフッフッフ」
綿密な下調べ、これに尽きる。
素人はおろそかにしがちだがな・・・
メイ・チュウは素早く『にこにこ弁当』の前にある電柱の陰に身を隠した。
メイ・チュウ「なるべく近くでターゲットの動きを見ること。 これが重要だ」
〇お弁当屋のレジ(店名あり)
高原みこ「唐揚げ1個増量キャンペーン中でーす! お得ですよー!」
〇商店街
メイ・チュウ「ターゲットだけか? あの人間離れした、もう一人は・・・」
メイ・チュウ「まさか・・・いないのか!?」
メイ・チュウ「今なら・・・! 待っていろリン──」
高原みこ「真っ黒いお客さん! お弁当いかがですかー?」
メイ・チュウ「なっ! い、いつの間に俺の背後に・・・」
高原みこ「お店覗いてるだけじゃ、お弁当は買えませんよー、さあさあ!」
〇お弁当屋のレジ(店名あり)
メイ・チュウ「違う、俺は・・・」
高原みこ「唐揚げ1個増量中ですよ?」
メイ・チュウ(いや、ここまで来たら慎重に・・・まずは、客のふりをして情報収集だ)
メイ・チュウ「それじゃお嬢さん・・・その例のやつをひとつ・・・」
高原みこ「はーい、400円でーす! アテナ、唐揚げ弁当一つ入ったよーー!」
メイ・チュウ「それから一つ聞いてもいいかい? この店は、お嬢さんの他に誰が働いて──」
アテナ「御主人(マスター)。 いい加減、自分の任務に戻りたいのですが」
メイ・チュウ「ヒィッ!?!!!?」
高原みこ「真っ黒いお客さん・・・?」
アテナ「・・・・・・」
メイ・チュウ「ヒ、ヒ、ヒィイ・・・ッ!」
高原みこ「あっ! お弁当忘れてますよー!?」
〇商店街
高原みこ「真っ黒いお客さーん! お弁当!」
アテナは黙ってみこの手から唐揚げ弁当の袋を取りあげた。
高原みこ「あ、アテナ! あのお客さんに、お弁当届けてくれるの?」
アテナ「はい」
高原みこ「さっすがアテナ! 助かる~!」
〇商店街
メイ・チュウ「はぁ、はぁ、見られたか・・・!?」
メイ・チュウ「いや、奴は俺の顔を一瞬しか確認できていないはず・・・大丈夫だ!」
〇ビルの屋上
転がるように屋上に入ってきたメイ・チュウは、背後を振り返りニヤリと笑った。
メイ・チュウ「フ、フッフッフ・・・! まいてやったぜ!」
ライフルを取り出しスコープの中を覗く。
お弁当屋の店内で笑顔のみこがカウンターに立っていた。
メイ・チュウ「もう一人は・・・」
スコープを動かして店内の様子を探るが、そこにアテナの姿はない。
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