3 ヴィダール(脚本)
〇魔王城の部屋
数時間後。
シュトラ「ダルク様!例の少年をお連れしました!」
ダルク「おぉ、此奴が例の・・・待ちわびたぞ・・・」
ダルク「シュトラ、後は私がやる・・・お前は下がれ・・・」
シュトラ「畏まりました・・・」
ヴィダール「(こ、これが本物の魔王!?初めて見た!俺は人間だから殺されたりするのか?)」
ダルク「・・・何を固くなっている?もう少し肩の力を抜け・・・」
ヴィダール「え!あ!いや!その!」
ダルク「安心しろ・・・取って食おう等と言う野蛮な事はしない・・・」
ヴィダール「は、はい・・・」
ダルク「・・・改めて、我が名はダルク・・・アリエスと言う娘がいたのは分かるな?」
ヴィダール「あ、はい!会いました!」
ダルク「私はアリエスの父だ・・・最も、本物の魔法を見るまでは信じられないだろうがな・・・」
ヴィダール「・・・はい、見ました・・・さっき部屋で水の入ったコップを凍らせて・・・」
ダルク「・・・なら話は早いな・・・貴様、名は何と言う?」
ヴィダール「えっと、ヴィダール、です・・・」
ダルク「ヴィダールか・・・ならば次の質問だ、貴様の最近の出来事を聞かせてくれぬか?」
ヴィダール「あ、はい・・・あの時は確か・・・」
物凄く遅いけど、俺の名前はヴィダール。人間の街の出身だが、
何故か魔王の城にいて、本物の魔王と対談している。
どうしてこうなったのか、俺はその時の記憶を呼び覚まして見る。
〇西洋の街並み
とある日。
騎士団員「どうだ?見つかったか?」
騎士団員「すまねぇ、途中までは追い掛けてたんだが・・・」
騎士団員「くそ!この辺りは入り組んでて一度見失えば見つけるのは難しいからな・・・」
騎士団員「俺は左を捜す!お前は右を頼む!」
騎士団員「おう!任せろ!」
ヴィダール父「・・・・・・」
〇英国風の部屋
ヴィダール父「おい!今帰ったぞ!」
ヴィダール母「あ、お帰り!収穫はどうだった?」
ヴィダール父「あぁ、こんな感じだ!」
ヴィダール母「おぉ!これなら質屋で高く売れそうね!」
ヴィダール父「あぁ!こいつを盗み出すのは苦労したぜ!」
ヴィダール「・・・・・・」
そうだ、俺の両親は一言で言えば泥棒だ。昔は真面目に働いてたらしいが、
ある日突然、私欲に溺れてギャンブルに嵌って大負けして、
楽に稼げると言う理由で今に至ると言う訳だ。
ヴィダール「(父さん、母さん、本当にこんなんで良いのかな?)」
ヴィダール母「でももう流石に限界じゃ無い?幾らこのやり方でお金が稼げると言っても・・・」
ヴィダール父「だよな・・・もう指名手配もされてるし、いつまでもこのままって訳にも・・・」
ヴィダール母「ねぇ、いっその事この街出ちゃわない?外でならまだ私達の事伝わって無いと思うし!」
ヴィダール父「おぉ!それ良いなぁ!」
ヴィダール「・・・!?」
ヴィダール「う、嘘でしょ!?それ本気で言ってるのか!?」
ヴィダール「父さん!母さん!」
ヴィダール父「あん?何だヴィダールか・・・何の用だ?」
ヴィダール「この街を出るって本当!?そんな事したら!」
ヴィダール母「ちょっとちょっと!パパとママがそんな事する訳無いでしょ!」
ヴィダール母「もう直ぐ新しいお仕事見つかるからその話してただけよ!」
それは嘘だ。現にいつも盗みで生計を建ててるし、
それが俺にもバレて無いと本気で思ってたのだろうか?
ヴィダール父「そうだそうだ!お前は何も心配するな!ちょっと出掛けて来るからよ!」
ヴィダール父「母さん、今日の夕飯期待してるぜ!」
ヴィダール「あぁ!父さん!!」
ヴィダール母「ほらほらヴィダール、そんな興奮しないで!」
ヴィダール「・・・・・・」
〇英国風の部屋
数時間後。
ヴィダール母「さ、今日は奮発してカレーにしたわ!」
ヴィダール「う、うん・・・頂きます・・・」
見た目に変化は無い普通のカレー。その時の俺は若干の疑念があったが
取り合えず食べる事に。
ヴィダール「はむ!ん・・・」
ヴィダール「あれ!凄く美味しい!何か手が止まらない!」
ヴィダール母「そうでしょそうでしょ!どんどん食べて頂戴!」
ヴィダール「やったー!はむ!はむ!」
ヴィダール「何か久し振りに美味しいの食べた気がするけど、何だか視界がぼやけて・・・」
ヴィダール「ん・・・むにゃむにゃ・・・」
ヴィダール母「うふふ!お休みなさいヴィダール・・・」
ヴィダール父「よぉ、上手く行ったか?」
ヴィダール母「完璧よ!これなら直ぐに出られるわ!」
ヴィダール父「おぉ!そうと決まれば!」
〇魔王城の部屋
と、この様な感じでカレーを食べた所までは覚えていて、
気付いたらこの城に来ていた旨を打ち明けた。
ダルク「成る程な・・・貴様の両親もその類の者だったか・・・」
ヴィダール「はい・・・これってどっからどう見ても俺、捨てられたんですよね・・・」
ダルク「そうだ・・・貴様は捨てられた・・・愚かな馬鹿親の為にな・・・」
ヴィダール「そ、そんな・・・俺、これからどうなるんですか??」
ダルク「そうだな・・・貴様には2つ道がある・・・」
ヴィダール「え?どんな道ですか?」
ダルク「教えよう・・・1つ目は人間の街に戻る事だ・・・人間の街には孤児院と言う」
ダルク「施設がある・・・貴様の年なら簡単に受け入れてくれるのは確かだ・・・」
ダルク「2つ目は私の配下として働く事だ・・・」
ヴィダール「え?魔王が仕事くれるんですか?」
ダルク「当然だ・・・働かざる者食うべからずはどこの世界でも適用される・・・」
ダルク「私の配下になった暁には、この城の雑用、兵士としての戦闘訓練を行う事となる・・・」
ダルク「孤児院に行くか私の配下になるか、決めるのは貴様だ・・・」
ダルク「どちらを選ぶにしても、選んだ後の責任は貴様自身に取って貰わねば困る・・・」
ダルク「良く考えるのだぞ・・・」
ヴィダール「う、う〜ん・・・」
ダルク「(こう言う時、普通なら孤児院を選択するのが当たり前か・・・)」
ダルク「(だが泥棒の子供だと周囲に知られた時には、無意味な迫害を)」
ダルク「(その身に受ける事になる・・・人間の子供が魔王の手先になる等・・・)」
ヴィダール「あ、あのダルクさん!俺決めました!ダルクさんの配下になります!」
ダルク「そうかそうか・・・それを選ぶのは当然・・・って!」
ダルク「き、貴様今何と言った!?私の配下になりたい!?」
ダルク「分かっているのか!私は魔王!言わば人間の敵だぞ!」
ヴィダール「た、確かに俺も魔王って聞いただけで凄く怖かったけど・・・」
ヴィダール「でも俺、孤児院に行くのは何か嫌です!」
ダルク「(な、何て事だ・・・まさか本気で私の配下になろうとは・・・)」
ダルク「(だが、これは滅多に無いチャンスかも知れん・・・)」
ダルク「(人間が魔族の元でどれだけ強くなるのかも気になるしな・・・)」
ダルク「よ、良し分かった!だがこれで発言を撤回して見ろ!その時がヴィダール、」
ダルク「貴様の命日だと思え!」
ヴィダール「・・・!はい!」
ダルク「別名があるまで待機だ、使いを寄越すから、一度アリエスの元へ戻るのだ!」
ヴィダール「分かりました!」
ダルク「・・・さ、さて、直ぐにアドルフを呼ばねば・・・」


