2 捨てられた少年(後編)(脚本)
〇魔王城の部屋
シュトラ「魔王様、ただいまお戻り致しました!」
ダルク「ご苦労・・・今日は随分と遅かったなシュトラ・・・」
シュトラ「申し訳ありません、突然の嵐で空を飛ぶ事が出来ず、」
シュトラ「アリエス様に要らぬ負荷を掛けてしまいました・・・」
シュトラ「無傷でお返しこそ出来ましたが、この責任は私にあります・・・」
ダルク「・・・まぁ良い・・・ワープ能力をそのまま使えば良かったと言いたいが、」
ダルク「大方外せぬ用が出来たのだろう・・・何があったか話して見ろ?」
シュトラ「はい、実は今日、帰り道で怪しい気配を感じてアリエス様と共に隠れてたのですが、」
シュトラ「姿こそ確認出来ませんでしたが、人間が森の中で気を失った少年を」
シュトラ「置き去りにする所に出くわして・・・」
ダルク「少年を置き去りにだと?」
シュトラ「はい・・・外は大荒れであのままにすれば命が危なかったので、」
シュトラ「即座にこの城に連れて来ました・・・」
ダルク「成る程・・・ワープ反応はそれが原因か・・・」
ダルク「お手柄だったなシュトラ・・・貴様に対してはお咎め無しとしよう・・・」
シュトラ「・・・ありがとうございます・・・」
ダルク「しかしまぁ、また人間の子供が捨てられたのか・・・」
Dr.アドロフ「ダルク様?何かお思いな所でも?」
ダルク「あぁ、人間の街ではまだその様な輩がいるのかと思ってな・・・」
シュトラ「・・・?と申しますと?」
ダルク「この様な事はその少年とやらに始まった事じゃ無い・・・人間の中には」
ダルク「性欲や物欲、支配欲と言った感情があるのは貴様らも承知の上だろう・・・」
Dr.アドロフ「はい、ですがそれは我々にも当てられますね・・・」
ダルク「あぁ、だがそれらの欲はその個体に寄っては制御出来ない輩も存在する・・・」
ダルク「今回の事もそうだが、生物の中にはそれらに置いてやった後の責任が」
ダルク「取れない者もいる・・・例えば子供だ・・・自分達で産み出して置いて、」
ダルク「社会的、経済的な理由等で子供を貧困に合わせる者もいる・・・それだけならまだしも、」
ダルク「己自身の下だらぬ私利私欲の為に子供を捨てる親が存在するのもまた事実だ・・・」
Dr.アドロフ「ダルク様、その言い分ですとこれまでも?」
ダルク「あぁ、見て来た・・・どんな状況下に置いても、子供と軋轢を生む親子を何度もな・・・」
ダルク「種族が違うとは言え、私と同じ親が何故その様な事が出来るのか、」
ダルク「私には理解出来ないのだよ・・・」
シュトラ「・・・そのお気持ち、心底お察し致します・・・」
ダルク「・・・と、こんな下だらん話をしても意味は無いな・・・シュトラ、」
ダルク「例の少年が目覚めたらここへ連れて来い・・・私も一言挨拶を交わしたい・・・」
シュトラ「畏まりました・・・」
ダルク「アドルフ、報告出来る事があれば直ちに報告しろ、良いな?」
Dr.アドロフ「御意!」
ダルク「・・・それにしても、人間の子供か・・・」
〇城の客室
アリエス「う〜ん、むにゃむにゃ・・・」
「おーい・・・」
アリエス「ん・・・ん・・・」
ヴィダール「おーい!起きろよお前!」
アリエス「う、う〜ん・・・」
アリエス「は!ここはどこ!?あたしは一体!?」
ヴィダール「そんなの俺が聞きたいよ・・・お前は誰なんだ?」
アリエス「あ!君目が覚めたんだね!良かったぁ・・・!」
ヴィダール「良かった?もしかして俺、倒れてたの?」
アリエス「そうだよ!森の中で倒れてた所をあたしとシュトラが助けたの!」
ヴィダール「え?て事はお前は俺の命の恩人って事?何と言うかその、ありがとう・・・」
アリエス「どういたしまして!あなた名前なんて言うの?」
ヴィダール「俺?俺はヴィダール・・・」
アリエス「ヴィダールって言うのね!あたしはアリエス!魔王の娘よ!」
ヴィダール「え?どっからどう見ても普通の女の子に見えるんだけど・・・」
アリエス「分かった!なら証拠を見せるね!」
アリエス「さてと!」
ヴィダール「えぇ!?今のって氷魔法!?」
アリエス「どう!凄いでしょ?本当はもっと凄いのがやれるんだけど、」
アリエス「こんな狭い所じゃお部屋壊れちゃうから・・・」
アリエス「これで信用してくれる?」
ヴィダール「あ、うん・・・信じる・・・」
アリエス「良かった・・・これから宜しくね!」
シュトラ「アリエス様、朝食の用意が出来ました・・・」
アリエス「あ!シュトラ聞いて!ヴィダールが目を覚ましたわ!」
シュトラ「え?ヴィダールとは?」
ヴィダール「あの、俺の事です・・・」
シュトラ「あぁ!目が覚めたのですね!良かった!どこか痛い所とかはありますか!?」
ヴィダール「大丈夫です・・・何とも無いです・・・」
シュトラ「・・・!それを聞いて安心しました!あなたが目を覚ましたら、」
シュトラ「ダルク様の所へお連れする様に言われてますので、」
シュトラ「落ち着いたらご案内致します・・・」
ヴィダール「ダルク様?さっきアリエスが魔法使ってたけど、」
ヴィダール「ここってやっぱり魔王のお城?」
シュトラ「はい、そうですよ?」
ヴィダール「え、えぇ・・・俺人間だよ?大丈夫なのかな?」
シュトラ「ご心配なさらず・・・それはそうとアリエス様・・・」
アリエス「ん?どうしたの?」
シュトラ「魔法を使った後のお片付けはキチンとお願いしますね?」
アリエス「え?あ・・・うん・・・」


