アイドル市長

りをか

市長、Polarisとして始動する!(脚本)

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〇稽古場
  クリスマスイベントも終わり、愛香はカウントダウンライブに向けて、連日業務終了後、スタジオに来ていた。
  マネージャーの夏目も連日スタジオに来ては、Polarisに厳しい視線を送り静かに見守り続ける。
事務所関係者「みんな、少し休憩しましょう」
  三人は練習を終え、タオルで汗を拭き水分補給をする。
事務所関係者「三人共、よくここまで頑張ったわ。 いつの間にか立ち位置も笑顔も完璧じゃない」
星野愛香「ありがとうございます」
星野愛香(てか、夏目さんって笑ったり出来る人なんだ)
事務所関係者「この調子なら、当日も大丈夫そうね。 引き続き、練習に励んでちょうだい」
月島虹花「はい、分かりました」
事務所関係者「それから、星野さん」
星野愛香「はい、何ですか?」
事務所関係者「顔色が良くないわ。 少し無理してるんじゃない? 市長の仕事も大変なのは分かるけど、体調管理はしっかりね?他の二人も同じよ」
星野愛香「分かりました。すみません」
事務所関係者「笑顔は完璧とはいえ、正直自然ではない」
事務所関係者「あなた達は一応、週末限定でのアイドル活動の形式だけれど本職と両立しつつ二刀流はキツイ境遇かもしれない」
事務所関係者「でも、あなた達はスカウトされてアイドルをやっているわけではない。自らの意気込みでアイドルを志望した」
事務所関係者「あなた達はそれらを心得て応募したはずよ?」
事務所関係者「初めに言った言葉お忘れかしら?人気次第ではデビューも夢じゃないって」
事務所関係者「あなた達も、もしかしたら過酷な芸能界という世界に出るのかもしれない」
事務所関係者「芸能界に二度はない」
事務所関係者「現在のアイドル社会では精神的苦痛などで脱退する者が多くいる」
事務所関係者「特にあなた達みたいにアイドルになりたい本心から、オーディションを乗り換えての将来の脱退は決して許されないことなのよ」
事務所関係者「少し堅苦しい言い方したけれど、これもマネージャーとしての若い星たちを支える為の教訓だと心に留めて欲しい」
事務所関係者「Polarisもいずれ次代の存続者となるのよ」
事務所関係者「こういった現実がはっきりと理解できている者以外はこのメンバーから外される覚悟で真剣に向き合ってちょうだい」
事務所関係者「いいわね。期待してるから」

〇稽古場
月島虹花「愛香、大丈夫? 今日はこのくらいにして、先に帰ったら?」
立花花音「夏目さんには、私達から伝えておくから」
星野愛香「大丈夫よ。二人を残して先に帰るなんて出来ない」
月島虹花「いい?これは愛香一人の問題じゃないんだよ?」
立花花音「そうだよ。 もし本番当日までに何かあったら、私達だけじゃなく、ピンキーの二人にまで迷惑が掛かっちゃう」
月島虹花「夏目さんも言ってたでしょ?体調管理はしっかりって」
立花花音「お願いだから、今は私達の言うことを聞いて?」
星野愛香(私、おかしいな・・・現役市長のくせに、 この場ではしっかり出来てないなんて)
星野愛香(リーダーなのよ。私がしっかりしなくてどうすんのよ)
星野愛香(このまま皆んなの足を引っ張るわけにはいかないわ。市長らしく、私がリードしないと)
星野愛香(津田さんにリーダーシップが垣間見えてるって言われたし・・・)
月島虹花「ひょっとして愛香、今自分自身のことだけ考えてない?愛香はリーダーだし、市長だけあって責任感も強いと思う」
月島虹花「けど、私思うんだ。 アイドルグループって、結束力が大事だと思うの。やっと足並み揃ってきたんだよ?」
月島虹花「正直、今の愛香はPolarisの愛香ではない気がする。ソロならそれで構わないけど、私達は個人でしてるわけではない」
月島虹花「お願いだから、Polarisでいる時は市長のプライドだけは捨ててほしい・・・」
立花花音「そうだよ、愛香。 私やだよ、仲間割れとかするの。 本番まで後少しなのに・・・」
星野愛香「二人ともごめんね。私、リーダーなのに体調管理も出来てない上に、二人の気持ちすら分かってなかった」
星野愛香「虹花の言うとおり、市長の自分がここにいて、自分のことだけ考えてた」
星野愛香「虹花、アイドルにとって大切なこと教えてくれてありがとう。 Polarisの時は市長の殻は捨てて、アイドルの私でいる」
月島虹花「うん。 その方がいいよ」

〇オフィスビル前の道
  愛香はいつも通り出社する。
星野愛香(はぁ・・・市長の仕事でアイドルの仕事で発声練習にダンスの稽古に私って忙しいわ)
星野愛香「でも、今やっとずっとなりたかった夢が叶ってるんだもの。後には引けないわ」
星野愛香「確かに虹花の言う通り、私のプライドのせいで自然に笑うことが出来てなかったのかも・・・」
星野愛香「よぉし、ここから気持ちを切り替えてアイドル市長として頑張ろう」

〇個別オフィス
石川「市長ったらここん所エナドリばっかり飲んでいて僕、不安になっちゃいますよ」
星野愛香「心配かけてごめんね。今まで紅茶で一息ついてたけど、どうもこれではいかないみたい」
石川「それに目のクマも気になりますし、こんなに疲れて本当に一体どうしたんですか?」
星野愛香「ううん。気に留めないでちょうだい。誰でも市長はこんなものよ」
石川「誰でもってわけじゃないと思いますが。大体、今日のエナドリなんて何杯飲んだんですか?ハイになったりしません?」
星野愛香「ビールじゃないんだから・・・」
石川「そんなに飲むと、カフェイン中毒で死んじゃいますよ?今日はこのくらいにしておきましょ。年始のイベントも控えてますし」
  石川は愛香の買い溜めしたエナジードリンクを取り上げようとする。
星野愛香「ちょっと、何すんのよ!」
石川「だから、いけません! しばらくの間没収いたします!!」
「返して!!今の私にはコレが必要!!」
「市長の健康の為です!!このまま飲み続けるとエナドリ依存症になってしまいますよ!!」
「そんなの聞いたことないわ!!」
  愛香は石川とエナジードリンクを奪い合った

〇公園のベンチ
  愛香はイライラを抑える為、近くの公園を訪れる。
星野愛香「石川くんたら、たかがエナドリくらいであんなに大騒ぎして、イヤになるわ」
星野愛香「けど、彼が心配するのも無理ないかも。 エナドリの過剰摂取はたしかに体に毒だもんね」
星野愛香「よしっ、ちょっとここで歌や振りの練習でもしてようかしら」
  愛香はスマホを出し、ピンキーの楽曲に合わせて振りや歌の練習をし始める。
  その時
「あれ? 愛香じゃん、こんなとこで歌なんか唄いやがって。現役市長さんは暇なんですねぇ」
星野愛香「ゲッ、裕太。 何でアンタがここにいんのよ」
裕太「別に?特に何もねーよ。 しっかし、最近の女市長さんはこの市の為に色々やってくれてんねぇ。 関心するよ」
星野愛香「それはどうも。 アンタも世の中の為に、何か一つでもいいことしたら?」
裕太「んだと? 相変わらず可愛くねぇ女だなぁ」
星野愛香「可愛くなくて結構よ」
裕太「おまえさぁ、いつもツンケンしてねーでアイドルみてぇに笑顔振り撒いたり出来ねぇわけ?そーゆーとこ嫌いだったんだよなぁ」
星野愛香「言っとくけど、ツンケンしてるのはアンタの前だけだから。 いつもはこんな顔してません」
  愛香はスマホをポケットに仕舞い、その場を立ち去ろうとした。
裕太「おいっ! 俺はなぁ、市長のおまえが相変わらず気に入らねぇんだよ!いつか市長の座から引きずり下ろしてやっから待ってろよ!!」
星野愛香「それは楽しみね。 さようなら・・・」

〇個別オフィス
星野愛香(はぁ、折角公園で歌と振りの練習しようと思ったのに、アイツのせいで結局出来なかったじゃない。あ~っ、またイライラしてきた)
石川「あれ?市長帰って来てたんですね。 今まで何処に行ってたんですか?」
星野愛香「ちょっと気晴らしに近くの公園まで」
石川「その割には気晴らしの感じがしませんが・・・」
星野愛香「えぇ、全くその通りよ・・・ 石川くん、悪いけど今日は早めに退社するわ」
石川「は、はい・・・」

〇カラオケボックス(マイク等無し)
  退社後、愛香は一人カラオケボックスに来て、歌と振りの練習をしていた。
星野愛香「はぁ、ここなら誰にも見られることもないし歌と振りに集中出来る。おまけに笑顔の練習も出来てさいっこうだわ」
  こうして愛香は、カラオケボックスで日々練習を重ねながら本番当日を迎えるのであった。

〇綺麗なコンサートホール

〇コンサートホールの全景

〇コンサート会場
  カウントダウンライブ当日
  会場に、ピンキーのファンや他のアイドルのファンが集まり会場が賑わいを見せ始める。
  ステージの袖では、Polarisの三人が順番を待ちながら他のアイドルを見ていた。
月島虹花「ヤバい。私たち、オーラ出てるかな・・・?」
立花花音「なんだか、とっても緊張してきた・・・」
星野愛香「なんかここに来て変な感じ。ファン側だった私たちが今度は逆の立場になるなんて」
月島虹花「その通りだよね。ここに来る前までは自信有り余ってたのに・・・ 急に自信なくなってきちゃった・・・」
立花花音「ちょっと、虹花。ここでへこたれてたらどうするの?もうすぐ本番なんだよ?」
星野愛香「そうだよ。私は、あの時の虹花の言葉のおかげで笑顔で歌える様になったのに」
立花花音「ほら、皆んなアイドルスマイル!!」
月島虹花「そうだね。私たちの課題は笑顔で歌うこと。 ここはチームPolarisの第一印象をアピールする一番重要な舞台なんだよね」
星野愛香「うん。プレッシャーに負けてられないよ。私たちもアイドルとしてのオーラを内側から引き出そう!!」
月島虹花「・・・愛香、花音。私はね二人に出会えたのって運命だと思うの。今までありがとう。この二人で本当に良かった」
立花花音「虹花・・・私もだよ」
星野愛香「うん・・・虹花」
月島虹花「それにね、この事務所に入って憧れてたピンキーにも出会えたし」
立花花音「だよね。そんなの全く知らなかったもん・・・」
月島虹花「ほら笑顔の源になれることってたっくさんあるじゃん」
ミレイ「虹花の言う通り、笑顔の源はたっくさんある」
アイラ「笑顔のきっかけを作ってくれるのは、ファンの人のおかげだと私は思う。だから私達も笑顔で答えないといけない」
ミレイ「アイドルの笑顔は、太陽みたいな存在だと私は思うな」
アイラ「心も表情も明るく照らしてくれるみたいなね」

〇コンサート会場
ライブ司会者「ヲタクのみんなぁ、楽しんでるかぁ~?」
ライブ司会者「今年もあと少しで終わっちまうぞ~!」
ライブ司会者「そんな今年の最後を飾ってくれるのはこの二人だ。 ピンキームーン!」

〇コンサート会場
アイラ「みんな、失敗や不安を恐れず笑顔でね? これだけは忘れないで」
月島虹花「はい」
ミレイ「アイラ、そろそろ行くよっ」
  二人はそう言い残し、ファンが待つステージへと向かった。

〇コンサート会場
  やがて、ピンキームーンのライブが終わり
  メンバーが挨拶をし始める。
アイラ「みんな、今年もたっくさんの応援ありがとうございました」
アイラ「来年も今年以上にピンキームーン頑張っていきますので、引き続き応援よろしくお願いします」
ミレイ「ここで、皆さんにお知らせがあります」
ミレイ「この度、ピンキームーンに妹アイドルが誕生しましたぁ!」
ミレイ「なので、今からその妹アイドルを紹介したいと思いまぁす」
アイラ「みんなぁ、こっちに来てぇ~」

〇コンサート会場
星野愛香「二人とも行くよっ!」
  三人は歓声と拍手が入り交じる、光り輝く眩しいステージへと向かった。

〇白

コメント

  • Polarisとしてステージに立った市長……。
    最終回に近づいているとのことで、ますます目が離せませんね。😉

    それにしても元交際相手である裕太の存在が気掛かりですが……何かしでかしそうですね。🤔

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