【2期】消えたおばあちゃん事件(脚本)
〇山並み
〇車内
樺島 ここね(かばしま ここね)「無事にゾンビさんをお家に帰せてよかったね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ああ──」
〇林道
長畑 千晃(ながはた ちあき)「きゃあ!」
〇走行する車内
樺島 一心(かばしま いっしん)「うわあぁ!」
〇林道
樺島 一心(かばしま いっしん)「お怪我はありませんか!?」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「だ、大丈夫です!」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「それより、この辺でゾンビを見ませんでしたか!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「どうしましたか?」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「うちのおばあちゃん、ゾンビなんですけど──」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「いなくなっちゃって・・・!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「それなら、僕たちも一緒に探します」
樺島 ここね(かばしま ここね)「人数が多い方が、早く見つかるよ!」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「いいんですか!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「家族がいなくなって心配な気持ちは、僕たちにもよくわかります」
樺島 一心(かばしま いっしん)「だから、手伝わせてください」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「あ、ありがとうございます!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「はい、樺島です」
〇オフィスのフロア
平 光和(たいら みつかず)「事件の通報があってね」
平 光和(たいら みつかず)「君たちが向かっていた方面だから、至急行ってほしい」
〇林道
樺島 一心(かばしま いっしん)「何があったんですか?」
平 光和(たいら みつかず)「ゾンビが子どもを襲って、山の中へ消えた」
平 光和(たいら みつかず)「子どもの消息も不明だ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビが子どもを!?」
平 光和(たいら みつかず)「それで、通報を受けた尾ヶ崎くんが──」
〇オフィスのフロア
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「そんなゾンビは、俺が処分してやる!」
平 光和(たいら みつかず)「と、とび出していってしまってね・・・」
平 光和(たいら みつかず)「一応、レックスにもついて行ってもらったんだけど──」
〇林道
平 光和(たいら みつかず)「心配だから、一心くんも向かってくれないかい?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「しかし、こちらも今──」
〇黒
平 光和(たいら みつかず)「ゾンビの人着は、緑色のシャツに、ベージュのカーディガンを着た──」
〇林道
樺島 一心(かばしま いっしん)「──70代くらいのおばあさんゾンビですか」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「それ、祖母です!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「えっ」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「祖母が何かしたんですか!?」
〇車内
樺島 一心(かばしま いっしん)「──という通報がありました」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「そんな、祖母がまさか・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「現場はここから、すぐ近くのようです」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「私がいけないんです!」
〇古民家の蔵
長畑 千晃(ながはた ちあき)「ゾンビになってから、ずっと家に閉じこめてばかりの祖母が気の毒で──」
〇草原
長畑 千晃(ながはた ちあき)「祖父の畑に連れていってあげたんです」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「ふふ、おばあちゃん、嬉しそう」
おじいちゃん「おーい、千晃! ちょっと手伝ってくれ!」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「何ー?」
ゾンビ「あー」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「でも、ちょっと目を離した隙に、いなくなっていて・・・!」
〇車内
長畑 千晃(ながはた ちあき)「やっぱり、家から出すべきじゃなかった!」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「・・・おばあちゃん、昔は優しい人だったんです」
〇田園風景
長畑 千晃(ながはた ちあき)「もうムリ! つかれた!」
おばあちゃん「おやおや、困ったねぇ」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「歩けない〜!」
おばあちゃん「しょうがないねぇ」
おばあちゃん「どれ、ばあちゃんがおぶってやろう」
おばあちゃん「ちぃちゃん ちぃちゃん いい子だな ♪」
おばあちゃん「ばぁばの せなかで おねむりよ ♪」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「へへ、おばあちゃん、ありがとう」
〇車内
長畑 千晃(ながはた ちあき)「ゾンビになって、変わっちゃったのかなぁ・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「そんなことないよ!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ゾンビになったって、何も変わらないもん!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そう、きっと優しいおばあさんのままです」
樺島 一心(かばしま いっしん)「だから、早く見つけてあげましょう」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「・・・はい!」
〇山並み
〇山中の坂道
樺島 一心(かばしま いっしん)「あなたが、通報者の方ですか?」
通報者「そうだよ」
〇山中の坂道
通報者「いやね、小っちゃい子どもが一人で山道を歩いていたもんだから、びっくりしてさ」
通報者「慌てて追いかけようとしたら、子どもの後ろをゾンビがついて行って」
通報者「で、これはまずいと思ったから、急いで追いかけたわけ」
通報者「そしたら、子どもの悲鳴が聞こえてよぉ」
通報者「でも、駆けつけたときには、もうどっちの姿もなくてな」
〇山中の坂道
通報者「きっと、ゾンビが子どもを襲って、山の中に逃げたんだ」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「そんな・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「決めつけるのは、まだ早いです」
樺島 一心(かばしま いっしん)「その瞬間を見たわけではないのですから」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ここ見て!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「何かが落ちた跡みたい」
樺島 一心(かばしま いっしん)「まだ真新しいな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「崖下まで続いているようだ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「もしかして、ここから・・・?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「よし、降りてみよう」
〇山の中
樺島 一心(かばしま いっしん)「どちらの手がかりもなし、か・・・」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「おばあちゃん、どこに行っちゃったの・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「大丈夫! きっとすぐに見つかるよ」
〇山道
長畑 千晃(ながはた ちあき)「おばあちゃ〜ん!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「おーい!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・子どもの名前がわからないのが痛いな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「小さい子なら、体力も心配だ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「そうだね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「尾ヶ崎さんの様子も確認しておくか」
〇トラックのシート
樺島 一心(かばしま いっしん)「尾ヶ崎さん、今どちらですか?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「安心しろ、もうすぐ現場に着くぞ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ゾンビは俺が処分してやる!」
レックス「オチツケ!」
レックス「レックス、ナデロ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「さらさら、ふわふわ・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ハッ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「こちらでも捜索しているので、絶対に勝手なことはしないでください!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「いいや! ゾンビは処分だ!」
レックス「ナデテ、オチツケ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「さらふわ・・・」
〇山道
樺島 ここね(かばしま ここね)「どうだった?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「もう近くにいるらしい」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・レックスが頑張っていた」
〇山道
長畑 千晃(ながはた ちあき)「おばあちゃ〜ん!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「くっ、陽が傾いてきたな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「急がないと・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「もう尾ヶ崎さんもこの辺りにいるはずだよね」
樺島 ここね(かばしま ここね)「もし、ここねたちより先に、おばあちゃんを見つけちゃったら・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「おばあさんが危ない!」
〇山道
樺島 一心(かばしま いっしん)(木が邪魔で、探しにくい・・・)
樺島 一心(かばしま いっしん)(このままじゃ・・・!)
???「ゾンビ、ハッケン!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あの声は──」
〇空
樺島 一心(かばしま いっしん)「レックス!?」
レックス「コッチ、コッチ!」
〇山道
樺島 一心(かばしま いっしん)「あっちだ、急ごう!」
〇山中の川
ゾンビ「うああ〜・・・うあ〜」
樺島 一心(かばしま いっしん)「いた!」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「おばあちゃん!」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「よかった、見つかって!」
???「待て!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「その子どもをどうした?」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「女の子が・・・!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「人間に危害を加えたゾンビは処分しねぇとな」
ゾンビ「ううあ〜・・・うあ〜」
樺島 一心(かばしま いっしん)「やめろ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「邪魔をするな!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「待って!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「おばあちゃん、何かいってる!」
ゾンビ「うああ〜・・・うあ〜」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ちぃちゃん ちぃちゃん いい子だな?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ばぁばの せなかで おねむりよ」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「それ、おばあちゃんの子守唄・・・!」
〇田園風景
〇山中の川
長畑 千晃(ながはた ちあき)「おばあちゃん・・・!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「やっぱりゾンビになっても、おばあさんは変わらなかったんですよ」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「本当だ」
長畑 千晃(ながはた ちあき)「おばあちゃん、一緒に帰ろう?」
ゾンビ「ああ〜・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「おいおい、そのゾンビはなぁ──」
樺島 ここね(かばしま ここね)「子どもを襲ったんじゃないよ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「何?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「助けたんだよ!」
ゾンビ「うあ〜」
樺島 ここね(かばしま ここね)「一人で歩いていた子を、千晃さんに重ねたみたい」
樺島 ここね(かばしま ここね)「心配してついて行ったら、女の子が崖から落ちたから、助けたって」
ゾンビ「うあ〜あ・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「迷子になっちゃったから、川に沿って歩いてたらしいけど・・・」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「なんじゃ、そりゃ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「おばあさん、その子を──」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あ、預かります!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うああ〜」
樺島 一心(かばしま いっしん)「早く病院に連れていかないとだけど、見たところ、すり傷だけみたいだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「よく眠っている」
樺島 ここね(かばしま ここね)「よかった!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うあ〜!」
ゾンビ「あ〜!」
〇山間の田舎道
樺島 ここね(かばしま ここね)「レックスもお手柄だったね」
レックス 「レックス、コウローシャ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「おい!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「またお前らはゾンビなんか助けていたが──」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「次に同じことがあっても、俺は撃つからな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「次も、僕が絶対に止めてみせます!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ふん! そんな甘い考えだと、いつか大事なものを失くすぞ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「大丈夫だ、ここね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「甘いといわれても、僕の考えは変わらない」
樺島 一心(かばしま いっしん)「人もゾンビも、笑って生きていける世界にするためにもな」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うん!」
ゾンビのおばあちゃんは人攫いではなく、子供を守ろうとしていたんですね。😊
レックスの羽毛に癒されてはいたが、ルイは相変わらずゾンビに発砲。
彼は一心くんを甘いと評しましたが、さて今後はどうなる事やら……。