【2期】風鳴坂観光客襲撃事件(脚本)
〇道玄坂
樺島 一心(かばしま いっしん)「現場はここか」
樺島 ここね(かばしま ここね)「うん。 ゾンビが観光客を襲ってるって・・・」
通行人A「た、助けてください!」
通行人B「怖いよー」
樺島 一心(かばしま いっしん)「こちらに避難してください!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん! 後ろ!」
ゾンビ「あああー! うあうあー!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「うわぁぁぁーっ! 走ってきたぁぁぁーっ!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「そ、その後ろもっ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「どけどけどけぇーっ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「あっ!ちょっと待った!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・確保」
〇田舎駅の駐車場
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「現行犯だ。即処分で構わんな?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「でも、人に危害は加えてなかったよ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ああ?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「確かに追いかけるんじゃなくて 追い越していたよな」
樺島 ここね(かばしま ここね)「何か理由があるのかもしれないよ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「甘いな。 そんなんだから・・・」
ゾンビ「うううー! ああー!!!!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「おい!ちょ、待てっ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・危ないっ!」
ゾンビ「うあうあぁぁぁーっ!」
ハヤシ「うわぁっ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・確保」
〇公園のベンチ
樺島 一心(かばしま いっしん)「大丈夫ですか?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「本当に申し訳ない」
ハヤシ「いえいえ!突然飛び出してきたから、 避けきれなかっただけなんで」
ハヤシ「相手がゾンビで良かったのか 悪かったのか・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「結果、確保できたので、助かりました! ありがとうございます」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「一般人との接触。 今度こそ・・・」
樺島 ここね(かばしま ここね)「ま、待って!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「勝手な処分は許されない。 尾ヶ崎さんもわかってますよね?」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「チッ・・・ じゃあ、どうしろと?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね」
ゾンビ「うううう、ああー」
樺島 ここね(かばしま ここね)「「間に合わない」って言ってる」
樺島 一心(かばしま いっしん)「間に合わない? こらこら、暴れない!」
ゾンビ「うあうあー」
樺島 ここね(かばしま ここね)「あとは「繋がらない」だって。 なんだか自分を責めているみたい」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「だからなんだ。 そんなの関係ないだろ」
ハヤシ「繋がらない・・・」
ハヤシ「もしかしてお前、タケモトか!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「何か心当たりが?」
ハヤシ「大学時代の後輩かもしれません。 彼とは駅伝部で一緒でした」
樺島 ここね(かばしま ここね)「駅伝部! だからあんなに早かったんだ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「では、「繋がらない」というのは」
ハヤシ「恐らくタスキのことじゃないかと 思います」
ハヤシ「ちょっと待ってください。 確か写真が・・・」
ハヤシ「あった!」
ハヤシ「これが当時のタケモトです」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・この坂、風鳴坂ですね」
ハヤシ「この風鳴坂は、 かつて大学駅伝のコースとして使われていて」
ハヤシ「あいつは、この区間の担当でした」
〇学校の部室
五年前──
タケモト「本当にすみませんっ!」
ハヤシ「脱水は誰にでも起こり得る。 仕方ないさ」
タケモト「でも、先輩たちは 今年が最後の駅伝なのに!」
タケモト「大事なタスキを繋げられなかった・・・」
ハヤシ「そんな状態で、棄権せずに」
ハヤシ「最後まで走ってくれただけでも 本当に感謝だよ!」
タケモト「8秒!あと8秒俺が頑張っていれば!」
タケモト「俺のせいだ。 全部俺のせいだ・・・」
〇公園のベンチ
ハヤシ「その後、あのパンデミックが起こって」
ハヤシ「タケモトは 行方不明になってしまいました」
樺島 一心(かばしま いっしん)「・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「彼は、今もタスキを繋げようとしている のかもしれない」
樺島 ここね(かばしま ここね)「じゃあ、ここから 即席のレースをするのはどうかな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なるほど。上手くいけば 心残りを晴らせるかもしれない」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「おいおいおい! なに勝手に話進めてんだよ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「走り回るゾンビを放つだと? もっと簡単な解決法があるだろうが」
ハヤシ「お、お願いです!刑事さん!」
ハヤシ「俺も、タケモトの無念を 晴らしてやりたい」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「もし、放たれたゾンビが 人を傷つけたらどうする?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「その時は・・・ その場で処分すればいい」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お、お兄ちゃん!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「大丈夫だよ。ここね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビが人を傷付けるわけないからな」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「大した自信だ。 そこまで言うならやってもらおう」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ありがとう!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「今すぐ、な!」
「今すぐぅぅぅーっ!?」
〇道玄坂
樺島 一心(かばしま いっしん)「もしもし!風鳴坂警察署ですか?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ゾンビ課の樺島と申します」
「ゾンビ課? どのようなご用件でしょう」
樺島 一心(かばしま いっしん)「これから風鳴坂でタスキリレーを やらせていただきたいのですが」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そのうち200メートルほどを ゾンビが走ることに・・・」
「もしかして、あの迷惑ゾンビですか!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「はい。ちょっと事情がありまして。 ご協力いただけたらと」
「そんな・・・ 急に言われても・・・」
ハヤシ「ちょっと代わってください!」
ハヤシ「五年前の大学駅伝、覚えてますか?」
「五年前?それがなにか?」
ハヤシ「あのゾンビ、 『あと8秒の悲劇』のタケモトなんです」
「・・・ええっ!!!」
「タスキを持ったまま泣き崩れる姿・・・ 私、見てました」
ハヤシ「あいつにタスキを繋げさせてやりたいんです」
「わかりました! 数名そちらに向かわせます」
ハヤシ「ありがとうございます!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「よし!じゃ、やるぞ!」
〇道玄坂
警察官「こちらはゾンビが通りますので、 左側を歩いてくださーい!」
観光客A「おい!聞いたか?」
観光客B「あのゾンビ、 『あと8秒の悲劇』の選手だってね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ここね。 彼に説明できた?」
樺島 ここね(かばしま ここね)「わかってくれたみたいだけど、 言った通りにやってくれるかどうか・・・」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そうか。 でも、やるしかないな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「スタートしてください!」
ハヤシ「よぉーし!行くぞー!」
ハヤシ「よーい」
──スタート!
ハヤシ「久しぶりにこの坂走るけど キツイなー」
ハヤシ「はい!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「なんで俺が走らなくちゃ いけないんだよー」
ハヤシ「ゾンビに直接手渡すのは ゾンビ課の人でなければダメってことなんで」
ハヤシ「お願いします!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「仕方ねーなぁ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「ちょっくら行ってくらぁ」
樺島 ここね(かばしま ここね)「えっ、すごっ!はやっ!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「マジ、こんな坂、楽勝だぜ」
警察官「ここからゾンビが走りまーす! お気をつけくださーい!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「おらぁ!さっさといけ!」
ゾンビ「うああー!」
ゾンビ「うあうあー うああああー!」
ゾンビ「ううう・・・」
警察官「頑張れーっ!」
警察官「中継地点はもうすぐだぞーっ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「よし、そろそろだな」
ゾンビ「うあああー! うあー!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「ひっ!」
樺島 ここね(かばしま ここね)「お兄ちゃん! 逃げちゃダメ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「なんで尾ヶ崎さんも走って来てんのー!」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「なんかやったら すぐ処分できるからな」
樺島 一心(かばしま いっしん)「僕に銃口を向けるなーっ!」
ゾンビ「ううう・・・」
ハヤシ「タケモトーッ!もうすぐだーっ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「こっちだーっ!」
タケモト「ハァ・・・ハァ・・・」
ハヤシ「タケモトーっ!」
タケモト「ハヤシ先輩!」
タケモト「タスキ、お願いします!」
ゾンビ「ううう!うあー!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「よし!」
ゾンビ「うあああー!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「確かに受け取ったぞ!」
ハヤシ「タケモトーっ!よく繋いだ!」
警察官「よくやったー!」
警察官「おめでとー!」
〇公園のベンチ
ゾンビ「うあー。うううあー」
樺島 ここね(かばしま ここね)「「繋げられた」「良かった」だって」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「おい!どこに行くんだ!?」
樺島 一心(かばしま いっしん)「執着から解き放たれたのさ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「犠牲者が出てからじゃ遅いんだぞ」
樺島 一心(かばしま いっしん)「そうはならないさ。きっとね」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「・・・チッ」
尾ヶ崎 ルイ(おがさき るい)「こんな調子で うまくいくと思ってんじゃねぇぞ!」
樺島 一心(かばしま いっしん)「やれやれ。 まだ、時間かかりそうだな」
樺島 ここね(かばしま ここね)「いつか、わかってもらえる日が 来るといいね」
樺島 一心(かばしま いっしん)「来るさ!必ず」
このお話のルイ特に好きなんですよね✨最後の一緒に走ってるところとかなんか微笑ましくなります✨☺️
そして、やはり後悔を乗り越えるお話に心を打たれます✨とても素敵だと感じました✨☺️
人とゾンビを繋ぐリレーという感動的なお話でした✨☺️ありがとうございます!✨
駅伝での無念を皆の力で晴らす事が出来た……!🎽
そんな中でも相変わらずゾンビに銃と敵意を向けるルイ。
ゾンビへの見方が変わるか、それとも……。気になります。