3話目 渇望(脚本)
〇レトロ喫茶
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「・・・はぁ」
峰木 実(みねぎ みのり)「えーっと、えーっ・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「あ、いた! しのぶ、久しぶり~!」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「あ、み、みのり。久しぶり・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「さてと、注文はどうしよっかな~。 ここのケーキ、美味しいんだよね~」
峰木 実(みねぎ みのり)「ケーキセットAにしちゃおうかな。 しのぶは、どうする?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「私は、・・・水でいいかな。 お金、無くて・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「えぇ、そうなの? せっかく久しぶりに会うんだから、何か食べようよ。私、奢るからさ!」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「い、いいの? 本当にお金、無いよ・・・?」
峰木 実(みねぎ みのり)「いいって、全然! じゃあ、しのぶはケーキセットのBね!」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「あ、ありがとう。じゃ、じゃあ・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「やっぱり美味しい~、ここのケーキ」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「う、うん。美味しい・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「それで、しのぶ、相談って? 何かあった?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「・・・・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「実は、就職してから色々あって・・・」
〇オフィスのフロア
始まりは、入社一日目。就活に失敗した私は、滑り止めの会社に入ったの。
正直、モチベーションは低かったけど、それでも出来る事は頑張ろうと思ってた。
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「う、内海しのぶと言います! ご迷惑をかけるかもしれませんが、全力で頑張りますので、宜しくお願い致します!」
先輩社員「あー、しのぶちゃん。ちょっといい?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「は、はい!」
先輩社員「来てすぐで悪いんだけど、この資料、作っておいてくれない?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「し、資料、ですか? え、えっと、これは・・・」
先輩社員「あー、マニュアルあるから、それ読んで勉強しながらやっておいて。別に急ぎじゃないからさ」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「は、はい。で、でも、まだ何もわかっていなくて・・・」
先輩社員「なに? 全力で頑張るんじゃないの?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「・・・頑張ります」
先輩社員「はい、じゃあよろしくね~」
〇オフィスのフロア
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)(はぁ、一日中取り組んでいるのに、全然わからない・・・。もう、定時だよ・・・)
先輩社員「どう? どこまで進んだ?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「す、すみません。ほとんど・・・」
先輩社員「・・・はぁ。初日だから仕方ないけどさぁ、わからないなら質問するとか出来なかった?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「・・・ごめんなさい」
先輩社員「じゃあ、ちょっとだけ教えるから、それでやってみて。明日中に出来ていればいいからさ」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「え。で、でも、もう定時・・・」
先輩社員「え? 終わってないのに、帰るの?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「・・・頑張ります」
その日は、終電まで仕事をした。それがきっかけで、私は終電まで仕事をする事が常になっちゃってさ
毎日、先輩に怯えながら終電まで仕事をするのが、本当に辛くて、辛くて・・・
〇ホストクラブ
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「そ、それでね。今日は、天(そら)君のためにアクセサリーを買ってきて」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「に、似合うかなって・・・///」
ホスト店員「え、嬉しい! しかもお揃い? もう俺ら恋人じゃん、マジで嬉しい!!」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「もう、恋人なんて/// 私も、喜んでくれて嬉しい///」
ホスト店員「あの、これ秘密な? これ、絶対に誰にも言わないでくれよ?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「う、うん。なに・・・?」
ホスト店員「他のお客様も来るんだけど、しのぶちゃんがマジで一番可愛くて、マジで一番好き」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「え、ほ、本当にっ!? う、嬉しい・・・///」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「ね、ねぇ。いつもみたいに、なでなで、して欲しい・・・///」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「お酒、いっぱい入れるから・・・///」
ホスト店員「マジ!? 嬉しい!! っぱ、しのぶちゃん大好き過ぎるんだけど!!」
ホスト店員「もー、マジ大好き~!!」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「~~~~っ/// み、みんなの前で抱きしめられるのは、恥ずかしい・・・///」
そして、私はホストにはまったの。仕事で無理して、怒られる毎日だったから、ホストの優しい言葉が染みちゃって・・・
気が付いたら、私は給料の全部、それだけに留まらず借金を重ねてホストに貢ぐようになっていった
〇女の子の部屋(グッズ無し)
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「どうしよ、どうしよどうしよ・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「もう、お金もない・・・。仕事も、辛い・・・。どうしよ、どうしよ・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「明日から、どうやって生きていこう・・・」
〇レトロ喫茶
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「みのり、私、どうすればいいの・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「そっか・・・。しのぶ、大変だったね・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「それで、両親には相談した?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「で、出来てない。怖くて・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「や、やっぱり、どこか安心の出来る所に相談した方がいいよ。両親とか、弁護士とか・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「・・・・・・」
峰木 実(みねぎ みのり)「しのぶ・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「・・・それでね、みのり」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「みのりにしか出来ない、相談があるの」
峰木 実(みねぎ みのり)「え、いや、私に頼まれても、お金なんて無いよ・・・? ケーキを奢るぐらいは出来るけど・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「違うの。お金じゃなくて、私が頼みたいのは・・・」
〇美しい草原
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「い、いるんだ、本当に・・・」
星ちゃん「・・・誰?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「え、えっと。私は早弥の友達の、しのぶって言います。星ちゃんの力を借りたくて・・・」
星ちゃん「私の、力?」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「私、今、凄く辛くて・・・。 だから、どうしても幸せになりたくて・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「前に、みのりが星ちゃんと触れた瞬間に幸せになったって聞いたから、・・・私も、お願いしたいの」
星ちゃん「・・・・・・」
星ちゃん「や、やめた方がいいと思う・・・。おかしな事になる事があるから・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「お、お願い! もう、耐えられなくて・・・!」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「もう・・・、・・・限界」
星ちゃん「でもぉ・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「本当に、手だけでいいから! 握らせてっ!!」
星ちゃん「だ、駄目! そんな、無理矢理・・・」
〇木の上
(しのぶ(え、な、何この景色・・・。ここ、どこ・・・?))
〇渓谷
(しのぶ(景色が、勝手に流れてくる・・・。私の、中に、とめどなく・・・))
〇火山のある島
(しのぶ(もっともっと、包まれていたい・・・。この、温かさに・・・))
〇美しい草原
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「な、何、今の・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「なんか、凄い、元気になった気がする・・・」
星ちゃん「なら、良かったけど・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「ありがとう! このお礼は、いつか必ずするからね!」
星ちゃん「・・・・・・」
星ちゃん「どうしよ・・・」
〇女の子の部屋(グッズ無し)
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)(凄い、星ちゃんに出会ってから、凄く元気が出てきた!)
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「・・・・・・」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)(でも、これで何も起こらなかったら・・・)
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「・・・え、」
内海 しのぶ(うつみ しのぶ)「えっ、天(そら)君からっ!?」
〇黒
「私と、け、結婚っ!?」
どうもピーターです。キューピットちゃん以来のコメントですね。
社会人生活に挫折した、しのぶちゃんが星ちゃんの不思議な力を求めてしまった。
実ちゃんの事を踏まえると、嫌な予感しかしませんね……。🤔