番外編『いらいらしちゃだめっ! 前編』(脚本)
〇大きな木のある校舎
〇図書館
中邑 ゆうり「お疲れさまで──」
中邑 ゆうり「うわッ!?」
中邑 ゆうり「ビックリした~」
中邑 ゆうり「いっちー、また変身しちゃったの?」
中邑 ゆうり「・・・・・・」
中邑 ゆうり「いっちー?」
壱邑 一貴「その地蔵はいっちーではありません」
中邑 ゆうり「ギャッ」
中邑 ゆうり「いっちーが・・・二人!?」
壱邑 一貴「よく見ろ! それは正真正銘ただの地蔵だ!!」
中邑 ゆうり「・・・本当だ」
中邑 ゆうり「何で図書室に地蔵?」
水縹 慧「それはカモフラージュ用地蔵だよ」
中邑 ゆうり「先生」
壱邑 一貴「カモフラ地蔵って何だよ」
壱邑 一貴「入口にこんなんあったら邪魔だろ」
水縹 慧「壱邑くんがしょっちゅう 地蔵になっちゃうから」
水縹 慧「他の生徒の目を誤魔化すために わざわざ置いたんじゃないか」
壱邑 一貴「はあ?」
水縹 慧「いつも地蔵が置いてあれば、 壱邑くんが変身して地蔵になっても 不思議に思われなくなるかなって」
中邑 ゆうり「いや、増える地蔵という怪現象で もれなく噂になりますよ」
中邑 ゆうり「オカルト研究部に ネタを提供しないでください」
中邑 ゆうり「それでなくてもマンドラゴラ疑惑で 目をつけられてるのに・・・」
壱邑 一貴「それはお前のせいだろ!」
水縹 慧「壱邑くんが変身しなければ 何の問題もないのにねぇ」
壱邑 一貴「それはあんたのせいだろ!」
「てへっ☆」
壱邑 一貴「他人事だと思っ──」
壱邑 一貴「・・・・・・」
壱邑 一貴「あ"ーーーーッ!!」
中邑 ゆうり「言ってるそばから~」
仲村 柊「騒がしいぞ」
中邑 ゆうり「柊」
仲村 柊「もうみんな集まってる」
仲村 柊「他の生徒が来る前に 早く準備室に移動しろ」
壱邑 一貴「ハイハイ分かりましたよ」
仲村 柊「動く地蔵・・・」
中邑 ゆうり「完全に学校の怪談なんですけど」
〇役所のオフィス
中邑 ゆうり「お待たせしました~」
宇多邑 苑江「やっと来た!」
天邑 遥斗「うわ、地蔵だ」
壱邑 一貴「うるせえ!」
壱邑 一貴「よし、戻った!」
宇多邑 苑江「それではこれより──」
宇多邑 苑江「第一回 いっちー地蔵化対策会議 を開催します!」
「いえ~い!」
壱邑 一貴「楽しんでんじゃねえ!!」
宇多邑 苑江「で、壱邑くん」
宇多邑 苑江「前回は"むらむら"すると"はなむらむら"になるって呪いだったわけだけど」
宇多邑 苑江「今回は何がきっかけで 地蔵になっちゃうか分かった?」
壱邑 一貴「それが全然分かんなくて・・・」
宇多邑 苑江「いろいろ試して 探ってみるしかないかぁ」
宇多邑 苑江「"むらむら"とか"おどおど"とか "ゆらゆら"とか・・・?」
壱邑 一貴「"ゆらゆら"って何すか」
仲村 柊「・・・・・・」
壱邑 一貴「おい、さりげなく移動して 中邑を隠すな」
仲村 柊「ゆうりに対して "むらむら"されたら嫌だから」
中邑 ゆうり「柊・・・」
仲村 柊「ゆうりはもう俺のだから」
仲村 柊「本当は誰の目にも入れたくないし、 誰のことも見て欲しくないけど・・・」
中邑 ゆうり「急に重ッ」
中邑 ゆうり「でも嬉しい」
中邑 ゆうり「ありがと、柊」
仲村 柊「ゆうり・・・」
壱邑 一貴「だーッ!!」
壱邑 一貴「俺の前でいちゃいちゃすんな!!」
「・・・・・・」
天邑 遥斗「きっかけ、判明しましたね」
宇多邑 苑江「そうだね」
壱邑 一貴「え?」
壱邑 一貴「ギャッ! いつの間にか地蔵に・・・!!」
宇多邑 苑江「壱邑くん」
壱邑 一貴「何すか?」
宇多邑 苑江「"いらいら"しちゃだめ」
壱邑 一貴「え?」
仲村 柊「この呪いはどうやら──」
中邑 ゆうり「"いらいら"すると"地蔵"になる・・・」
仲村 柊「みたいだな」
壱邑 一貴「えぇーーッ!?」
壱邑 一貴「俺めっちゃ短気なんですけど!?」
中邑 ゆうり「我慢!」
壱邑 一貴「無理!!」
仲村 柊「なら生きる都市伝説として 配信者デビューするんだな」
中邑 ゆうり「地蔵が動く時、異界への扉が開く──」
天邑 遥斗「それは滅びの前触れか」
中邑 ゆうり「それとも、我々がまだ知らない 真実への招待状か・・・」
「怪奇!」
天邑 遥斗「動く地蔵!!」
中邑 ゆうり「ついでに喋る!!」
天邑 遥斗「ついでに増える!!」
壱邑 一貴「増えねーよ!!」
「ギャーッ!!」
中邑 ゆうり「増えてる!!」
天邑 遥斗「コワッ!!」
中邑 ゆうり「キモッ!!」
壱邑 一貴「うるせーッ!!」
宇多邑 苑江「・・・どうしたもんかねぇ」
仲村 柊「この前はのらりくらりと かわされましたが」
仲村 柊「やはり水縹先生から 聞き出すしかないでしょうね」
宇多邑 苑江「展示架を横に置いてその上に 正座させて太股の上に地蔵乗せれば 喋るんじゃない?」
仲村 柊「石抱責・・・」
宇多邑 苑江「これで吐かなきゃ身体を折り曲げて ブックカバーフィルムで グルグル巻きにする」
仲村 柊「海老責・・・」
宇多邑 苑江「それでもだめなら──」
仲村 柊「釣責は難しいと思います」
宇多邑 苑江「そっかぁ・・・」
水縹 慧「ちょっと〜 物騒な話やめてくれない?」
仲村 柊「拷問されたくなかったら 今回の呪いについて教えてください」
壱邑 一貴「そうだそうだ! 早く話せ!!」
水縹 慧「気付いてると思うけど、 今回の呪いは──」
水縹 慧「"いらいら"すると"地蔵"になる! です!」
仲村 柊「やっぱりか」
壱邑 一貴「どうして俺だけ呪われたんだ」
水縹 慧「それは分かんない」
壱邑 一貴「無責任!!」
仲村 柊「で、呪いを解く方法は?」
水縹 慧「まだ決めてない」
壱邑 一貴「あ、そう」
壱邑 一貴「決めてないって何だよ!?」
水縹 慧「待ってね、いま作るから!」
「作る・・・?」
水縹 慧「えーっと」
水縹 慧「「呪いを解く方法は」・・・」
水縹 慧「何だったら面白いかなぁ〜」
壱邑 一貴「おいコラ!!」
壱邑 一貴「書くだけでいいなら 解呪方法は俺が決め──」
水縹 慧「そうだ!」
水縹 慧「方法は──」
水縹 慧「「"地蔵"にならずに 嫌いな人とキスすること」!!」
壱邑 一貴「待っ──」
水縹 慧「完成!」
壱邑 一貴「あ"ーーーー!!」
壱邑 一貴「何てことをーッ!!」
中邑 ゆうり「いっちー!!」
天邑 遥斗「頭部破損! 損害不明!」
天邑 遥斗「地蔵、完全に沈黙!!」
中邑 ゆうり「いっちーーーーッ!!」
壱邑 一貴「うるせえええー!!」
中邑 ゆうり「頭部復元!?」
仲村 柊「落ち着けよ」
宇多邑 苑江「解呪方法が分かって よかったじゃない」
仲村 柊「嫌いな人とキスか・・・」
宇多邑 苑江「嫌いな人、いる?」
壱邑 一貴「全て嫌いだ」
仲村 柊「人間不信になっちゃったよ」
宇多邑 苑江「呪物と化した・・・」
水縹 慧「解呪、がんばってね!」
壱邑 一貴「お前ら全員、祟ってやる・・・!!」
デスノートならぬ呪いのノート面白いですね!!
地蔵の立ち絵がこんなにバリエーションあるとは知りませんでした😃
爆笑ですww