5 物事への感情(脚本)
〇学生寮
江戸川和人「さて、そろそろ時間かな・・・」
江戸川和人「あ、来たか・・・」
桜木カレン「和人君お待たせ!」
江戸川和人「あぁ、待ってた・・・」
和人君があたしのいる高校に転校してから1週間程が経った。今日は和人君がバイトも休みだと言う事もあり、
あたしの家に招待する事にした。
桜木カレン「それじゃあ行こうか・・・色々と用意したから・・・」
江戸川和人「あぁ、宜しく頼む・・・」
〇城の客室
数分後。
江戸川和人「凄いなぁ・・・金持ちだとは聞いてたけど、こんなに豪勢だなんてな・・・」
桜木カレン「まぁ、慣れないと驚くよね・・・」
江戸川和人「あ、あぁ、遊園地とかにあるお城には1回程行った事がある程度だから・・・」
桜木カレン「え?もしかして、凝った作りのお城とか?」
江戸川和人「そう!それ!」
メイド長「それではカレンお嬢様、私は仕事に戻りますので、何かあれば・・・」
桜木カレン「えぇ!もう大丈夫だから!」
メイド長「畏まりました!」
江戸川和人「さて、宿題とかやろうか・・・」
桜木カレン「あ、その前に見せたい物があるんだけど良いかな?」
江戸川和人「え?何だい?」
桜木カレン「ちょっと待ってて!」
江戸川和人「さて、いつでもやれる様にするか・・・」
桜木カレン「お待たせ!これ見てくれる?」
江戸川和人「え?このぬいぐるみはあの時の!?」
桜木カレン「うん、和人君に言われてからずっと持ってたのよ・・・」
江戸川和人「そうなんだ・・・良かったなお前、ずっと大事に持って貰えて!」
桜木カレン「あ、前から聞きたいと思ってたんだけどさぁ・・・」
江戸川和人「え?何?」
桜木カレン「勝手なイメージだと思うんだけどね、和人君って物を大切にするイメージが強いんだよね・・・」
桜木カレン「どうしてそこまで大事に出来るのかなぁって思って・・・ほら、あたし達が小さい頃、ぬいぐるみを大事にしなきゃ駄目だって・・・」
江戸川和人「あ〜、単純な話だよ・・・」
桜木カレン「どんな話?」
江戸川和人「昔良く父さんから色々教わっててね、こう言われたんだ・・・社会に置いて、ルールを守らない人間はクズ呼ばわりされるって・・・」
江戸川和人「けど、そこにある物や仲間を大切に出来ない奴はそれ以上のクズだって・・・」
江戸川和人「まぁ、その時はまだ理解力が無かったから話に着いて来れなかったけど、整備に嵌ってから少しずつ理解出来る様になってさ・・・」
江戸川和人「それが理解出来る様になってから、何かどんな理由で捨てられた奴も、自分で直す様になっちゃってさ・・・」
江戸川和人「それこそ、子供の玩具とか、ぬいぐるみとかさ・・・中学の時は、良く子供に直して欲しいって言い寄られた事もあってね・・・」
桜木カレン「おぉ、お父さんそう言う考え方してるんだね・・・」
江戸川和人「あぁ、だからどんな些細な物でも、大事にしようと思えてね・・・新品の物とかも確かに良いけどさ・・・」
桜木カレン「そっか、あたしもあのぬいぐるみ大事にしてたから、良い子になれたかな?」
江戸川和人「勿論さ・・・取り合えず、宿題やらないか?」
桜木カレン「あ、そうだね!」
それからあたしは和人君と共に宿題をやる事に。親衛隊の子達が言ってた様に和人君は頭が良く、あたしが分からない所も
教えて貰った。
江戸川和人「あ、そう言えばさ・・・」
桜木カレン「ん?どうかした?」
江戸川和人「カレン、剣道やってるって言うけどさ、実際どんな感じ?練習の風景とかさ・・・」
桜木カレン「あ、もしかして見たい?」
江戸川和人「あぁ、前から気になっててさ・・・」
桜木カレン「あ、見たいならやるよ!あたしん家には道場もあるから・・・宿題終わったら見る?」
江戸川和人「マジか!お願いしようかな!」
桜木カレン「・・・!なら、早く終わらせよう!」
〇古風な道場
それから、あたし達は宿題を終わらせた後に和人君を剣道場に招待した。
江戸川和人「ここが剣道場か・・・こうして見ると金の力って偉大だな・・・」
メイド長「和人様、お嬢様は準備に時間が掛かりますので、ここで暫くお待ち下さい・・・」
江戸川和人「あ、はい・・・」
メイド長「それでは失礼致します・・・」
数分後。
桜木カレン「お待たせ!」
江戸川和人「あ、思ったより早かったね!」
桜木カレン「そうかな?まぁちょっと急いだからね・・・あたしはいつもこの竹刀使ってるの・・・」
江戸川和人「おぉ、こりゃまた立派な作りだな・・・」
桜木カレン「持って見る?」
江戸川和人「あ、お願い・・・」
江戸川和人「おぉ、見た目は細く見えるけど思ったより固いな・・・それなりに重量もあるし、確り握らないと落としちゃいそうだ・・・」
江戸川和人「手入れもちゃんと行き届いてる・・・」
桜木カレン「ちょっとちょっと!そこまで本格的な感想求めて無いから!」
江戸川和人「あぁごめん!こう言うの職業柄って言うのかな?こう言うの見てるとつい・・・」
桜木カレン「まぁ、あたしに取っても大事な物だからね・・・今となってはやろうと思って良かったって感じるし・・・」
江戸川和人「そうなんだ・・・」
桜木カレン「それじゃあ、早速素振りやるね・・・」
江戸川和人「分かった、直ぐ離れる・・・」
桜木カレン「・・・気持ち切り替えて、集中!」
桜木カレン「せい!」
そこからあたしは、普段練習でやる動作を見せるだけ見せた。
桜木カレン「ふぅ・・・」
江戸川和人「流石!やり込んでるだけあって動きが綺麗だったな!」
桜木カレン「・・・どうって事無いわ・・・」
江戸川和人「何だろう、こう言うの、傲らないって言うのかな?」
桜木カレン「そりゃそうよ、剣道は立派な自分磨きよ・・・礼に始まり、礼に終わる・・・それが剣道だから・・・」
桜木カレン「慣れない内に苦労してたのは本当だけど・・・」
江戸川和人「でもカレンはやり切ったんだろ?」
桜木カレン「和人君のお陰でね・・・」
江戸川和人「そ、そうか?」
桜木カレン「そうだよ・・・ねぇ和人君・・・」
江戸川和人「カレン?」
桜木カレン「剣道って不思議なんだ・・・傍から見たらサシでやるスポーツなんだけどね・・・」
桜木カレン「何て言うのかな?相手と試合してる時に、実際竹刀を構え合ってるとさ、何か自分の中の負の感情って言うのかな?」
桜木カレン「そう言うの感じる事があってね・・・そう言うのに負けたら相手にも勝てないって、そんな気分になる事があってさ・・・」
桜木カレン「そりゃあたしもガッツポーズ決めて痛い思いした事あるけど、そう言う失敗があったから、あたし前より強くなれたって」
桜木カレン「そんな感じがしてさ・・・」
江戸川和人「あぁそれきっと、自分と戦うって事じゃ無いかな?」
桜木カレン「そうなの?」
江戸川和人「そうだと思う・・・武術に限った話じゃ無いと思うよ・・・俺も整備やってる時、何をどうしたら良いか考える事なんて」
江戸川和人「日常茶飯事だからさ・・・子供の玩具直す時も、どうしたら相手が喜ぶかなとか、どうしたら長く使ってくれるかなって、」
江戸川和人「そう言うの良く考えてるよ・・・もしそれが出来たらって考えるとやるのが楽しくなったりしてさ・・・」
江戸川和人「その上で相手が喜んでくれると思うと、何だかやり甲斐を感じると言うか・・・そう言うの、自分と戦うって事なんだと、」
江戸川和人「個人的に思ってるよ?」
桜木カレン「そっか・・・そう言えばお祖父様や暗森先生も言ってたな・・・剣道で相手と勝負出来る事って、とても嬉しい事なんだって・・・」
江戸川和人「まぁ、あくまでこれは1個人の考えだから、色んな考えがあって良いと思うよ・・・」
桜木カレン「・・・そっか、そうだよね!」
それから、あたしは和人君と共に休日を楽しみ、夕方になって解散したのだった。