事故物件サバイブ ~心霊現象総スルーな兄が最強すぎる、致死率150%呪いのロンダリング・バイト~

資源三世

4月15日 虫(脚本)

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〇中規模マンション

〇部屋の前
  この数日、急激に気温が上がり、ようやく冬を乗り越えた感があります。外では陽気に誘われ、動き出した虫たちを見かけます
  また、うちにも妖気に誘われて、大量発生した虫を見かけます
( ´∀`)「殺虫剤がいくらあって足りねぇ! 高層階は虫がこないんじゃないのか?」
妹「人にくっ付いてくるらしいよ」
( ´∀`)「じゃあ、この階のどこかに内臓食い破られた死体があるのか?」
妹「くっ付くって、寄生されたって意味じゃないから! そんなグロいのじゃないから」
( ´∀`)「いやでも、この前、屋上へ続く階段で黒い人形を見かけたぞ。あれはきっと、虫がたかった──」
妹「階段に近寄れなくなること言わないでよ」
( ´∀`)「しかし、元凶を断たないと・・・っと、うわぁっ!」
  兄は壁を見ると、突然青ざめて尻もちをつきました
妹「どうしたの。壁に傷でもあった?」
( ´∀`)「タ、タランチュラだ!」
  壁を見渡すと、天井近くの壁に掌サイズの大きなクモが、じっとくっついているのを見つけました
  灰褐色で、頭と胴は小さく、足はしっかりとして長いです。いわゆるイエグモです
妹「大丈夫だよ。確か、家の中の虫を食べてくれるクモだから。むしろ、助かる的な?」
( ´∀`)「おいよせ、素人がみだりにクモを判別するんじゃねぇ」
妹「キノコや山菜じゃあるまいし」
( ´∀`)「馬鹿! もし人食いクモだったらどうすんだよ?」
妹「そういえば、クモ苦手だったね。大丈夫、可愛・・・くはないけど、味方だよ?」
( ´∀`)「なんでそんな奴の肩を持つんだ」
( ´∀`)「くそっ、そんなクモと一緒にいられねぇ。俺は部屋にこもらせてもらうぜ」
妹「なにその、ミステリーの死亡フラグみたいな捨て台詞」
  兄はそのまま自室へ駆け込んで鍵までかけてしまいました
妹「殺虫剤ごと持ってっちゃった」
  こうなると、もう何もできませんから、あとの虫退治はクモに任せて、私も部屋に戻りました

〇中規模マンション
  深夜──

〇女性の部屋
  絶え間なくカサカサと、いくつもの紙がこすれるような音に、私は起こされました
  窓の外を見ますがやけに暗いです。いつもは月や星の光で、深夜でもそれなりに明るいのに
  カサカサ、カサカサ、カサカサ
妹(雨の音? な訳ないよね)
  私は頭に浮かんだものでないことを祈りつつ、窓へと目を凝らします
  窓には虫がびっしりとついていました。大きさとか種類とか分からない、ただ黒いものが窓を埋め尽くし、ひしめき合ってます

〇部屋の前
妹「お兄ちゃん! 窓に虫が!」
「嫌だ、俺は出ないぞ! クモと同じ場所にいられるか!」
妹「馬鹿なこと言ってないで、殺虫剤貸して!」
「やらん、やらんぞ! これは俺の切り札だ!」
妹(ダメだ、これ。どうしよう?)
妹「確か、台所に燻煙式殺虫剤があったけど・・・」
「人と虫、どちらが先に死ぬかのチキンレースか? くくっ、奴らを殲滅出来るならそれもいい」
妹「嫌だよ」
  クシャ、クシャ・・・クシャァッ!
  ふと窓の外から、いくつもの紙が潰れるような、奇怪な音が聞こえました
妹「これはまさか、さっきのクモが虫を食べている?」
  私は見なくていいのに、窓へと目を向けてしまいました

〇手
  窓の外では、いくつもの人の手が、無造作に虫を掴んでは引っ込め、クシャァと咀嚼音が響きました
  私は一目散に自室へ戻り、翌朝、燻煙式殺虫剤をかけることを固く決意するのでした

次のエピソード:4月16日 鏡

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