3月31日 田中さん #シナリオ(脚本)
〇レトロ喫茶
田中さん「あのメモはね、私が書いたものじゃないの。内見の時に拾ったのよ」
事故物件唯一の生存者から伝えられたそれは、積み上がった期待を一瞬間に打ち崩すのに十分でした
( ´∀`)「じゃあ、あれは前の住人が残したものですか?」
田中さん「違うと思う。だって、前の住人はBさん・・・は、知ってるよね?」
( ´∀`)「致死率150パーセントにした戦犯ですね」
田中さん「事件後、部屋の私物は全て、警察が回収したらしいの。けど、メモはリビングの真ん中にあった」
妹「警察の捜査の後、誰かが置いたと」
田中さん「多分ね」
誰が何の為? 信憑性は? 全てがふりだしに戻された気分です
( ´∀`)「しかし、よくあんな事件のあった部屋に住もうとしましたね」
妹(どの口が言うのか、兄よ)
田中さん「幽霊なんて信じてなかったし、格安だから訳アリの住人が集まりやすいくらいに思ってたんだ」
( ´∀`)「ですよね。俺も同じです」
妹(お兄ちゃんは、バイト代につられた訳アリ住人でしょうが)
田中さん「でも、入居時にエレベーターに乗って後悔したよ。とんでもない所に来ちゃったって」
妹「それってまさか霊感?」
田中さん「違う違う。これっぽちもないよ」
田中さん「ただ、有名な占い師に視て貰った時、こう言われたの」
田中さん「私には凄く強い守護霊がいて、大抵のことからは守ってくれるけど、どうしようもないときは警告をくれるから、必ず聞きなさいって」
田中さん「エレベーターに乗った時、うすら寒さとひどい圧迫感に襲われて、あのメモが強く頭に浮かんだの」
田中さん「多分、あのメモも含めて警告だったんだと思う」
( ´∀`)「不動産屋の時点で止めてくれりゃいいのに」
田中さん「私もそう思ってね、またあの占い師さんに聞いてみたの。そしたら」
田中さん「私があの物件をいいなと思った時点で、もう引きずられていたんだって」
強力と言われた守護霊すら凌ぐ何かが、あそこにはいるのでしょうか? それは何故、あそこにいるのでしょうか?
全てが解決するという希望は儚く散り、深く冷たい泥沼に沈んでゆくような、更なる不快が色を強めて纏わりつくのでした
ただそれでも──
〇マンションの共用廊下
弟「本当にアレに乗るの?」
妹「退去するときは、あのお姉さんのいるエレベーターに乗って、外に出ないといけないんだって」
入退去時はエレベーターに乗れ
退去日がくるまではエレベーターに乗るな
誰が書いたかわからないメモですが、信じていいそうです。田中さんの守護霊が必死に工面したものらしいので
妹(解明されてないけど、そういうもんだ的な不気味さは残るけど、致し方なし)
( ´∀`)「寮に戻ったら、ちゃんと連絡するんだぞ」
弟「幽霊って性的なものが苦手なんだよな? やっぱりグラビアより、エロビデオを持って行ったほうが」
( ´∀`)「お前にはまだ早い」
妹「きたよ」
弟「これで死んだら、真っ先に兄貴のエロビデオを呪いのビデオにしてやるからな。覚えとけよ」
妹(弟よ、最期の言葉がそれでいいのか)
〇エレベーターの中
女性「あなたは今日までね」
弟「は、はひぃ!」
女性「退去おめでとう。元気でね」
〇マンションの共用廊下
弟はあのお姉さんと共に一階へ行き、少しして、エントランスから弟が出てきて、涙ながらに手を振る姿を確認できました
妹「よかった」
妹(けど、これで終わりじゃない)
〇レトロ喫茶
田中さん「退去日が迫るほど、何かは明確な悪意を持ってくるよ」
田中さん「それでも途中で逃げ出しちゃダメ。退去日まで絶対生き抜く覚悟を持って」
〇マンションの共用廊下
妹「退去まであと2か月ちょっと。必ず生き抜いて見せる」
退去日に祝福してくれるなんて、意外と親切なエレベーターガールですね!!
仕事でサバイバルも大変ですが、自宅でサバイバルはしんどいですね💦
そういえば、万苦死の作品はオークションだと幾らになるのでしょう?ww