試しに校正のお仕事をやってみたところ……

ましまる

本論②:引用盗用(脚本)

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〇テーブル席
依田 大樹「で、お前さんが言う 「看過できない “問題行為”」って何だ?」
ましまる(仮)「・・・盗用です」
ましまる(仮)「ほとんど全ての台本の解説部分が、」
ましまる(仮)「他の動画や、Webサイトの文言を 丸写しにしていたのです」
依田 大樹「ソイツら、物書きとしての プライドは無いのかよ・・・」
ましまる(仮)「それも感じましたが、 そもそも著作権侵害行為です」
ましまる(仮)「丸写し元となったWebサイトから 利用許諾を得た形跡もなし」
ましまる(仮)「著作権法第32条の「引用」からも 明らかに逸脱している」
ましまる(仮)「これは、権利問題待ったなし案件です」
依田 大樹「引用の体を成していないのであれば、 確実にアウトだな・・・」

〇チョコレート
  ~ おまけ解説 ~
  
  著作権侵害と「引用」
ましまる(真)「今回は、ちょっと早めの登場となり 戸惑い気味です・・・」
ましまる(真)「さて、著作権の話になりましたが、」
ましまる(真)「他人の文章を許諾なく用いることは 当たり前ですが完全にアウトの行為です」
ましまる(真)「しかし、一定の条件をクリアすれば 「引用」として、無許可使用もOKです」
ましまる(真)「その条件ですが、」
ましまる(真)「文化庁ホームページに掲載されている 「令和5年度著作権テキスト」から “引用”します」
  ・すでに公表されている著作物であること
  ・「公正な慣行」に合致すること
  ・報道、批評、研究などの引用の  
   目的上「正当な範囲内」であること
  ・「出所の明示」が必要
ましまる(真)「これらをクリアしていないと 「引用」とは認められず、一発アウトです」
ましまる(真)「興味のある方は、今回の「あとがき」に サイトのアドレスを載せますので ご自身の目で確認してみてください」
ましまる(真)「話を戻しますが、私が目にした「台本」は どれもこれも完全にアウトなもので、」
ましまる(真)「私も「・・・の丸写し。権利上問題あり」 と赤を入れ続けていました」
ましまる(真)「すると、ライターさんたちは 修正に動きましたが、」
ましまる(真)「原文の「だ・である」調を 「です・ます」調に手直ししただけでした」
ましまる(真)「そんなので権利問題がクリアされる訳が ないのに・・・」
ましまる(真)「著作権法に罰則規定があることを 身をもって知らせるべきだったかな・・・」

〇テーブル席
依田 大樹「・・・ちょっと聞きたいんだが」
依田 大樹「お前さん、台本の内容が盗用だと どうやって気付いたんだ?」
ましまる(仮)「簡単ですよ」
ましまる(仮)「文章の一部を検索エンジンに 放り込むだけです」
ましまる(仮)「すると、盗用元のWebサイトが すぐに出てきてくれますから」
依田 大樹「一発で元サイトに辿り着くレベルの 盗用かよ・・・」
ましまる(仮)「そもそも、盗用部分については、 文体から不自然に浮いていましたし」
依田 大樹「文体・・・浮く・・・?」
ましまる(仮)「そうですね・・・次の文章を見てください」

〇動物
  きのうどうぶつえんにいきました。
  ぞうさんをみました。象は長鼻目 
  ゾウ科に属する哺乳類で、・・・・
  現代における陸生最大哺乳類である。
  てゆーか、ゾウってデカくね?・・・
  マジでヤバくね?あのサイズ怖くね?  
  ぼくはぞうさんがいちばんだいすきです。

〇テーブル席
依田 大樹「・・・メチャクチャだな」
依田 大樹「確かに、象に関する解説部分が 不自然に浮いているな」
ましまる(仮)「この文章は私が書いたものですが、 ツギハギ感はこんなモンでしたよ」
依田 大樹「そりゃ、一目瞭然だな・・・」
依田 大樹「また、ずいぶんと残念な解説文に なったのだろうな」
ましまる(仮)「それに加えて、盗用元のクオリティ自体 かなりお粗末なモノばかりだったので、」
ましまる(仮)「私が目にした台本のレベルが・・・」
依田 大樹「違法行為までしたにもかかわらず 愚にもつかない代物って訳か・・・」
ましまる(仮)「・・・はい」
依田 大樹「そもそも、そんな盗用を行うライターは 常識的に永久追放モノだろ」
依田 大樹「その「管理者」とやらは 厳しい処分を下さなかったのか?」
ましまる(仮)「生じていることと、その重大性については 都度「管理者」さんには報告していました」
ましまる(仮)「その上で、何らかの対応が 必要ではないかと尋ねたところ、」
ましまる(仮)「「執筆マニュアルに  “他サイトからの丸写しはダメ”って  書いておきますねー」 でした」
依田 大樹「・・・頭の中、お花畑かよ」
ましまる(仮)「ま、指摘し続けた結果 多少風向きは変わったのですけどね」
依田 大樹「おっ、ついにライター共も 事の重大性を認識し始めたか!?」
ましまる(仮)「いえ、丸写しの対象が Wikipedia に変化しました」
依田 大樹「・・・マジかよ」
ましまる(仮)「Wikipedia なら問題ないとでも 思ったのでしょうかね・・・」
依田 大樹「・・・Wikipedia にも著作権あるよな?」
ましまる(仮)「はい、普通にありますよ」
ましまる(仮)「そのため、私の赤字指摘が 「Wikipedia の丸写し。権利上問題あり」 ばかりに・・・」
依田 大樹「ソイツら、思考能力が無いのかよ・・・」
依田 大樹「そもそも、Wikipedia の丸パクリの 解説動画なんて、見る価値あるか?」
ましまる(仮)「サイトを直で見たほうが早いですよね」
依田 大樹「ホント、そのライター共ときたら、」
依田 大樹「自らの意匠や表現を反映させたいという 物書きの矜恃ってモンはないのかよ」
ましまる(仮)「・・・ですよね」

〇テーブル席
依田 大樹「いやー、ヒドい話を聞かされたモンだな」
ましまる(仮)「・・・ホントスミマセン」
ましまる(仮)「でも、実はまだ問題がありまして・・・」
依田 大樹「まだあるンかよ!?」
依田 大樹「今度はどんな話なんだ・・・」
ましまる(仮)「そのライターさんたちですが、 平然と「孫引き」も行っていたんですよ」
依田 大樹「「孫引き」ってアレか・・・」
依田 大樹「他人の著作で引用された文章を そのまま丸写しで用いることだよな」
ましまる(仮)「はい、それです」
依田 大樹「俺が学生のとき、論文やレポート作成で 「恥ずべき行為」と教え込まれたモンだが」
ましまる(仮)「確かに、原典が失われてしまった場合など せざるを得ないケースもありますが、」
ましまる(仮)「基本的には白い目で見られる行為です」
依田 大樹「だよな」
ましまる(仮)「日記やブログなどの個人的な文章であれば 別に差し支えないとは思うのですが、」
ましまる(仮)「少なくとも、報酬を伴う文章では 常識的に有り得ない行為ですね」
依田 大樹「しかし、そのライター共は・・・」
ましまる(仮)「原文を確認することなく 他の動画やサイトの引用文を丸写しです」
依田 大樹「おいおい」
依田 大樹「でもよ、お前さんは どうやって気付いたんだよ?」
ましまる(仮)「かつて、紫式部についての解説動画の 台本の校正にあたっていた際、」
ましまる(仮)「「紫式部は『紫式部日記』で  『・・・・・・』と語っている」 という文言があったんです」
ましまる(仮)「でも、その『・・・・・・』の内容に 違和感を覚えたため、」
ましまる(仮)「とりあえず『紫式部日記』を 全文あまねく目を通したのですが・・・」
ましまる(仮)「その台本で書かれていた内容は どこにも存在していなかったんです」
依田 大樹「お前、全文読んだのかよ・・・」
ましまる(仮)「一応、お仕事ですから」
ましまる(仮)「で、ライターさんに 「該当の文言は『紫式部日記』の  第何部の第何章のものですか?」 と質問を送りました」
依田 大樹「その回答はどうだったんだ?」

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コメント

  • わー!古典漢文の原文を提示されても理解できないかも😇
    分からなかったら最初からライター依頼を受けなければいいんですけどね。
    ましまるさん全部読んじゃうなんてすごい。

  • ましまるさん、お疲れ様です😭
    解説動画台本はおそらく素人が書かれてるんでしょうね。
    ど素人の私でももっとちゃんと調べるわいっ!ってなりました😭

  • 今回も興味深い内容にじっくり読ませていただきました。
    二度手間ではすまずに六度手間ぐらいあったのでしょうか😅
    盗用や引用、誤字、脱字、当たり前のような手直しに校正のお仕事された人達の負担が想像されます😭
    不真面目ライターの原稿料をましまるさんに半分わけてもらいたいですね😁

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