試しに校正のお仕事をやってみたところ……

ましまる

本論①:誤字誤用(脚本)

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〇テーブル席
依田 大樹「で、台本校正をしてみたら そもそもの文章自体がヤバかったって話か」
依田 大樹「具体的にどんな問題があったんだ?」
ましまる(仮)「言葉遣いから表記まで 多種多様な問題がありましたので」
ましまる(仮)「いくつかの類型に分けてお話しますね」
ましまる(仮)「まずは・・・」

〇木調
  そんな日本語表現はありません!

〇テーブル席
依田 大樹「おいおい、最初っから強烈だな・・・」
ましまる(仮)「内容としては、ベッタベタな 「間違った日本語」パターンです」
ましまる(仮)「例を挙げると、 「苦渋をなめる」」
ましまる(仮)「「苦汁を嘗める」と「苦渋を味わう」が 混ざってしまったのでしょうね」
依田 大樹「定番の間違い方だな・・・」
ましまる(仮)「これも定番ですが、 「的を得る」っていうのもありました」
依田 大樹「「的を射る」の間違いか? それとも「当を得る」か?」
ましまる(仮)「こんなように、微妙に間違っている表現が 台本内に山のように存在していましたよ」
ましまる(仮)「中には「一敗地があふれる」っていうのも」
依田 大樹「「一敗地に塗れる」と 「いっぱい血が溢れる」が 本当にダメな具合に混ざってるな」
ましまる(仮)「他にも、」
ましまる(仮)「「胸に刺さる」でなくて「頭に刺さる」」
依田 大樹「・・・頭をケガしただけだな」
ましまる(仮)「「胸を打つ」でなくて「頭を打つ」」
依田 大樹「・・・やっぱり頭をケガするのかよ」
ましまる(仮)「「首を傾げる」でなくて「頭を傾げる」」
依田 大樹「・・・頭を打ったことでの頭蓋骨変形か?」

〇木調
  ローマ数字を熟語に使わないでー!

〇テーブル席
依田 大樹「ローマ数字って、算用数字のことだよな?」
ましまる(仮)「はい」
ましまる(仮)「1・2・3・・・というお馴染みのです」
ましまる(仮)「このローマ数字を使って 熟語でも慣用句でも故事成語でも何でも 書き表す人がいたんですよ・・・」
ましまる(仮)「・まず第1に ・第3者 ・余計な1言 ・瓜2つ ・2大巨頭」
依田 大樹「一目見ただけでも違和感が強いな・・・」
ましまる(仮)「他にも・・・」
ましまる(仮)「・1大決心 ・3度目の正直 ・4面楚歌 ・1か8か  ・・・というのも」
依田 大樹「・・・悪いけど、書いた奴の神経を疑うわ」
依田 大樹「ていうか、 普通に「しめんそか」って入力したら 「四面楚歌」って出てくるだろ」
依田 大樹「どうやったら「4面楚歌」ってなるんだ?」
ましまる(仮)「・・・謎ですよね」
依田 大樹「そのライターって、 「青森県8戸市」とか「3国志演義」って 普通に書いていそうだな・・・」
ましまる(仮)「さすがにソレはないかと・・・たぶん」

〇木調
  それ、重複表現ですからー!

〇テーブル席
依田 大樹「「頭痛が痛い」パターンか・・・」
ましまる(仮)「はい、「重言」とも「二重表現」とも言う お馴染みのアレです」
ましまる(仮)「重複表現自体は、日本語的に 必ずしも誤りとは言えないようですが」
ましまる(仮)「・返事を返す ・牛車に乗車する ・違和感を感じる」
ましまる(仮)「みたいに、同じ字句が連用されるのは 明らかにクドく感じますよね」
依田 大樹「話し言葉では違和感が無かったとしても 文字で見ると妙な感じだよな」
ましまる(仮)「他にも、」
ましまる(仮)「・約30年くらい前 ・従来より」
ましまる(仮)「これらも、据わりの悪い表現ですよね」
依田 大樹「ああ、最初のヤツだと 「約」と「くらい」がダブっているし」
依田 大樹「「従来より」という表現も 「従」と「より」が重なっているしな」
ましまる(仮)「「従」の訓読みが「よ-り」だと 知っていれば防げたのでしょうけど」
依田 大樹「普通は「したが-う」しか知らんだろ」
ましまる(仮)「あと、多少トリッキーな重複表現も・・・」
ましまる(仮)「・京の都に上洛する」
依田 大樹「ええと・・・どこが重複表現だ?」
依田 大樹「「京の都」は「京都」をバラしたもので 重複表現とは言い切れないし・・・」
依田 大樹「・・・あっ!?」
依田 大樹「「上洛」に「みやこにのぼる」って 意味があるから、これもダブった表現か」
依田 大樹「「東京に上京する」と同じ現象だな、コレ」
ましまる(仮)「センセ、正解です」
ましまる(仮)「私も初見ではスルーしそうになりました」
依田 大樹「ちなみに、校正作業ではどう扱ったんだ?」
ましまる(仮)「当初は「念のため」という書き出しで 軽い指摘に留めようと思っていましたが」
ましまる(仮)「同一台本の別の箇所に 「大阪に上洛」ってあったので、 セットでガッツリ指摘しときました」
依田 大樹「「大阪に上洛」って・・・」
依田 大樹「「ロンドンへ渡米」のネタみたいだな」
ましまる(仮)「・・・懐かしいですね」

〇木調
  接続詞の前後の文がー!!

〇テーブル席
依田 大樹「・・・話を聞かなくても想像できるんだが」
ましまる(仮)「はい、きっとご想像のとおりです」
ましまる(仮)「「しかし」の前後の文が 逆接関係になっていなかったり、」
ましまる(仮)「「例えば」と言っておきながら 後の文で何も例示しなかったり、」
ましまる(仮)「「加えて」と言いながらも 後の文で何も情報が加えられなかったり」
ましまる(仮)「とにかく接続詞が マトモに機能した試しが無かったんですよ」
依田 大樹「・・・凄まじいな」
依田 大樹「接続詞の意味合いと別の文章を書くって、 逆に難易度が高いんじゃねーか?」
ましまる(仮)「私も、指摘を繰り返し続けたのですが ライターさんたちに改善の様子が見られず」
ましまる(仮)「最後には、意図的にシュールな文を 書いているのかと思ってしまいましたよ」
ましまる(仮)「ちなみに、一番インパクトが強かったのが」
ましまる(仮)「接続詞「なぜならば」で始まる文の」
ましまる(仮)「ラストが「なぜだろうか?」で 締められていたケースですね」
依田 大樹「理由を説明すると思いきや、謎のままかよ」

〇木調
  主観表現と客観表現がごちゃ混ぜですっ!

〇テーブル席
ましまる(仮)「繰り返しますが、私の校正作業の対象は 「解説動画の台本」でした」
ましまる(仮)「事象の解説って、客観表現で通さないと 話に説得力が伴わないんですよ」
ましまる(仮)「にもかかわらず、主観表現が 何割か混在する有様でした・・・」
依田 大樹「主観表現って、発言者の「感想」と 見なされてしまうモンだしな」
依田 大樹「そうだな・・・」
依田 大樹「仮に「ピザ」について紹介するにしても、」
依田 大樹「「とても美味しいピザ」という主観表現と 「美味しいと評判のピザ」という客観表現」
依田 大樹「似たような表現でも 聞いた側の認識が違ってくるモンだしな」
ましまる(仮)「はい、事象の解説をする場合は決まって」
ましまる(仮)「客観的事実を積み上げて論理を成立させる ことが必須なんですよね」

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コメント

  • ドキーッ(⁠(⁠(⁠;⁠ꏿ⁠_⁠ꏿ⁠;⁠)⁠)⁠)
    私も色々間違っていそうです。
    ましまるさんの国語力半端ないですね…!

  • ましまるさーん、逝かないでっ!w

    あかーん!と突っ込みながら読ませていただきました💦
    台本を書いた方はプロの方だったのでしょうか?
    そこら辺の素人が書いたようにも思えます😂
    私でもわかるレベルのもの……。
    誤字はまだいいけど誤用はあかんですよね……😂

  • 私も怪しいぞ~😭と思いながら一つ一つ読ませて頂きました。
    もうこのコメントすら打つのに緊張するレベルですね😅
    でも指摘されても直さないプロの方って、どういう気持ちなのでしょう💦
    次話に進みます❗

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