イケメン文化0世界でプロデューサー令嬢、推し参る!

咲良綾

第09話 貴方を必要としている!(脚本)

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咲良綾

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〇貴族の応接間
ルディア「フランロゼの邸宅で、ふしだらな催しが行われているとの報告を受けています」
レノフォード「ふしだら・・・」
レノフォード「うーん、どうなのかな」
ルディア「違うとは言わないのですか」
レノフォード「おへそとか出してますし・・・」
ルディア「先日拝見した限り、露出範囲はマソパリスターも同じようなものですよ」
レノフォード「そういえば、そうですね」
ルディア「モチーフのエルフサーガも存じています。 昔からのイメージに沿ったデザインですね」
ルディア「ただ、我が国では馴染みのないものですし、魅惑的とはすなわち、性的でもあります」
レノフォード「芸術って、恋愛感情にも似たときめきを感じるものですよね」
レノフォード「ふしだらとの境界線って、曖昧かもしれません」
レノフォード「でも、美味しいお菓子にときめくことや、子供を慈しむことに近いのではないかと」
ルディア「そうですね」
ルディア「私も芸術表現には寛容であるべきだと思います」
レノフォード「ふしだらかどうかは、アートデュエルでご判断いただきたいです」
ルディア「そのつもりです。・・・ただ、」
ルディア「私は、美しい男が苦手です」
ルディア「貴方とこうして話すだけでも、 血の気が引くほど」
レノフォード「・・・!」
ルディア「美しいものを愛でることに慣れた男性と、 正反対のものを愛してきた女性は違います」
ルディア「アートデュエルは女性が審査します」
ルディア「そこで酷評されれば、フランロゼ家の行く末にも関わりますよ」
レノフォード「ルディア様」
レノフォード「妹は、僕のせいで家の名誉が危機に瀕しても、僕の心を全肯定してくれました」
レノフォード「代わって矢面に立とうと奮闘し、わかり合える友を連れてきてくれました」
レノフォード「僕の心も、フランロゼ家の名誉も、何も捨てる気がない」
レノフォード「僕は妹を信じています。 それが失敗に終わろうと、最後まで支えます」
レノフォード「そのためにも、ロシュオルが必要です。 彼の行方に、心当たりがありますか?」
ルディア「・・・」
ルディア「フランロゼ家についての報告を持ってきたのは、ロドル騎士隊長です」
ルディア「そして、騎士隊長には・・・ 認知を拒否した息子がいます」
レノフォード「!」
レノフォード「じゃあ、ロシュオルを認めない実父というのは・・・!」

〇ホールの広場
ロシュオル「・・・」
ロシュオル「なぜ、こんなことを?」
ロシュオル「俺は、あなたの血など受けていない馬の骨ではなかったのか」
ロドル・ケークス「言っただろう。騎士となればお前の血を認め、イルエラを正妻に迎えると」
ロドル・ケークス「なのになぜ、軟弱な芸にうつつを抜かし笑い者になろうとしているのだ」
ロドル・ケークス「家名にふさわしくありたいなら、 今すぐ軟弱者とは縁を切ることだな」
ロシュオル「家名にふさわしいとは?」
ロドル・ケークス「騎士として男らしくあることだ」
ロシュオル「男らしさとは何ですか」
ロドル・ケークス「確かな強さと後ろ楯だ」
ロドル・ケークス「弱き身のまま私の息子を名乗れば、 たちまち足元を掬われ潰されるだろう」
ロドル・ケークス「亡き正妻の弟が、家督を欲していてな。 あれは欲のために何でもする」
ロシュオル「・・・要するに、俺を認知しなかったのは義弟から守るため、ということですか」
ロシュオル「ご配慮痛み入ります」
ロシュオル「ですがどうぞ、家名はその切望している義弟にお譲りください」
ロドル・ケークス「逃げるのか」
ロシュオル「なぜ、俺が家名を欲しがる前提なのです」
ロドル・ケークス「お前は、条件を受けて騎士を目指していたではないか」
ロシュオル「そうですね」
ロシュオル「俺は、母のために騎士を目指しました」
ロシュオル「あなたに認められれば、母が救われると思った」
ロシュオル「でも今は、自分の力で大事なものを守りたいと思っています」
ロドル・ケークス「自分の力で? 騎士にも届かぬ騎士見習い風情が?」
ロドル・ケークス「フランロゼの令嬢と親しいようだが、 釣り合う爵位が欲しくはないのか」
ロシュオル「ははは」
ロドル・ケークス「何がおかしい」
ロシュオル「貴方の言う通りにすれば、 あの人の夢を潰すんですよ」
ロシュオル「その上で、爵位を持って庇護しようと申し出るのですか?」
ロシュオル「そんな侮辱、あの人が受け入れる訳がない」
ロドル・ケークス「では、その「自分の力」とやらを見てやろう」
ロドル・ケークス「私を屈伏させれば解放してやる」
ロシュオル「・・・わかりました」
ロドル・ケークス「速いが、剣の重さはまるでないな」
ロシュオル「くっ」
ロドル・ケークス「なんと軟弱な。逃げてばかりではないか」
ロシュオル「腕力で捩じ伏せるだけが強さではない、 と教わりました」
ロドル・ケークス「おのれ・・・ ちょこまかと、みっともない」
ロドル・ケークス「我がケークスにふさわしい戦い方ではない」
ロシュオル「名はいらないと言っているでしょう!」
ロシュオル「俺が欲しいのは名誉じゃない!」
ロドル・ケークス「逃げるな、ここまで来い!」
ロシュオル「逃げたのは貴方です!」
ロドル・ケークス「なんだと?」
ロシュオル「突き放すことで義弟の加害を遠ざけた? 違う。守り通す自信がなかったんだ」
ロシュオル「貴方と話して、はっきりした」
ロシュオル「母を傷つけ、追いすがらせようとした 貴方の甘えを、俺は許さない」
ロシュオル「俺は、尊厳を奪うような守り方はしない!」
ロシュオル「ぐっ!」
ロドル・ケークス「御託は立派だが、私を負かすには10年早い」
執事「ロドル様」
執事「フランロゼ卿が面会を求めております」
ロドル・ケークス「何?」
ロドル・ケークス「・・・わかった」

〇上官の部屋
ロドル・ケークス「ご用件は」
フランロゼ伯爵「我が娘のアートデュエラーが、こちらへ伺っているのではないでしょうか」
ロドル・ケークス「根拠は」
フランロゼ伯爵「確かなものはございませんでしたが」
フランロゼ伯爵「失礼ながら先ほど、 争う声が聞こえて参りました」
シェリアータ「お願いします。 ロシュオルを返してください」
ロドル・ケークス「断れば?」
フランロゼ伯爵「家を上げて争うしかありませんな」
シェリアータ「お父様!」
ロドル・ケークス「ははは、それは面白い」
ロドル・ケークス「フランロゼが、ケークスに敵うとでも?」
???「リチェラー家もフランロゼにつくとしたらいかがですか、騎士隊長」
ロドル・ケークス「ルディア嬢・・・!」
ルディア「アートデュエルは我が家の主催する、国王認定の催しです」
ルディア「他家の芸術を損なう行為は認められておらず、国王によって保護されております」
ルディア「芸術家を不当に拘束しているとなれば、主催として黙っているわけには参りません」
ロドル・ケークス「しかしご報告した通り、彼らはいかがわしい催しを・・・」
ルディア「それはアートデュエルにて審査員が判断します」
ルディア「騎士が誇りをかけて国家を守ると同じように、私たちも国家の芸術を守っております」
ルディア「武力は身を制しますが、芸術は心を制します。王が女に委ねられた、重要な国力です」
ルディア「相応しくなければ私が退けます。 どうぞおまかせください」
ロドル・ケークス「・・・」
ロドル・ケークス「王の名を出されては仕方がないな」
ロドル・ケークス「連れてこい」

〇上官の部屋
シェリアータ「ロシュ!」
ロシュオル「シェリアータ・・・ ルディア様まで」
ロドル・ケークス「ロシュオル」
ロドル・ケークス「ここで戻れば、騎士の道は閉ざされる。 それで良いのだな」
ロシュオル「はい」
ロドル・ケークス「後悔するぞ」
ロシュオル「しません」
ロドル・ケークス「・・・行け」
ロシュオル「ルディア様、フランロゼ卿」
ロシュオル「ご尽力いただいたようで、 ありがとうございます」
ルディア「貴方のためではありません」
ルディア「アートデュエルの名に恥じないものを見せてください」
ロシュオル「はい」
シェリアータ「ロシュ!」
ロシュオル「シェリアータ・・・」
ロシュオル「ごめん、心配かけて」
シェリアータ「そうよ、心配したんだから! 勝手にいなくならないで!」
ロシュオル「勝手にって・・・」
シェリアータ「後ろで見ててくれるって言ったじゃない!」
ロシュオル「レノがいるだろ?」
シェリアータ「お兄様がいればロシュがいなくていいなんて、そんな訳ないでしょ!」
シェリアータ「ロシュがいないのが、こんなに怖いなんて思わなかった」
シェリアータ「怖かった・・・」
ロシュオル「・・・」
ロシュオル「あ、ごめん」
シェリアータ「!?!?!?!?」
フランロゼ伯爵「ギャ──────────────!!!!!!」
ルディア「フランロゼ卿、お気を確かに」

〇城門沿い
レノフォード「ロシュ、お帰り!!」
リュカリオ「無事だったか!」
ロシュオル「心配かけたな」
リュカリオ「ん?」
シェリアータ「・・・」
フランロゼ伯爵「・・・」
ルディア「・・・」
ロシュオル「・・・」
レノフォード「何? この空気」
リュカリオ「あー、オレなんとなくわかった」

〇大広間
ミレーヌ「いよいよだね」
シェリアータ「みんな大丈夫?」
ウフ(リュカリオ)「うん、大丈夫」
シュクレ(レノフォード)「ルディア様はじゃがいもじゃない」
ファリヌ(ロシュオル)「じゃがいもは一旦忘れろ」
イルエラ「ほら、お菓子でも食べて落ち着いて」
フランロゼ伯爵「応援してるぞ」
シェリアータ「初披露は様子見だなんて、 そんな甘えはもう許されない」
シェリアータ「今日、我が家の運命が決まる」
シェリアータ「ルディア様に、 恥ずかしくないものを見せましょう」
ファリヌ(ロシュオル)「いや」
ファリヌ(ロシュオル)「シェリアータが喜んでくれるものを見せる」
シュクレ(レノフォード)「そうだね! 僕もそれだけ考える」
ウフ(リュカリオ)「喉の調子は万全だよ、期待してて」
シェリアータ「みんな・・・」
シェリアータ「うん、期待してる!」
リチェラー公爵夫人「皆様、お集まりいただきありがとうございます」
リチェラー公爵夫人「本日もこころゆくまで芸術を楽しみましょう!」
  エントリーNo.1!

次のエピソード:第10話 妖精の恵みが舞っている!

コメント

  • デコチュースチルで一瞬息が止まりました😇
    父親の壁!騎士見習いが、騎士団長を簡単に倒せるわけないけど、負けるわけにもいかない…決着がつかない展開でホッとしました。助けに来たシェリやお父様、ルディア嬢の見せ場にもなって、各キャラが本当に素敵です✨
    冒頭の「芸術には寛容であるべき」はホントそう思うんですが、それでも「どこまでセーフなんだろ」が悩ましいものです😖

  • ストーリーだけでなくスチル、セリフの端々にも感じるキャラを引きたてる表現に圧倒されました🥹
    素晴らしいですよー、止まらない!タップが止まらないんですー☺️

  • デコチューのスチル、よかったです💕
    シェリとお父様には刺激が強すぎたようですが🤣
    いよいよ、アートデュエル本番ですね!
    どうなるのか、楽しみです!!

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