第08話 おっさんたちがハマっている!(脚本)
〇ホテルのエントランス
シェリアータ「エルフサーガミュージカルのミニライブへようこそ!」
シェリアータ「本日は、アートデュエル用パフォーマンスの一部をご披露いたします」
シェリアータ「途中で声を出してくださっても結構です。気軽な気持ちで楽しんでください」
ドルオタ伯爵「声を出しても・・・?」
モエスキー伯爵「どういうことだ?」
ウフ(リュカリオ)「人の子たち~、元気?」
「!」
ドルオタ伯爵「男というから覚悟していたのに・・・」
モエスキー伯爵「リュシー姫以上に、可愛くないか?」
フランロゼ伯爵「そうだろう?」
ウフ(リュカリオ)「早速だけど、パフォーマンスを披露するよ」
ウフ(リュカリオ)「エルフサーガの妖精たちの恵みを楽しんでね!」
ドルオタ伯爵「おお・・・ 少し声が低いが、リュシー姫の歌だ!」
モエスキー伯爵「こうして聞いてみると、 半端な音域も悪くないな」
ドルオタ伯爵「後ろでやってるパフォーマンスも独特だな」
モエスキー伯爵「確かに、中東の踊り子のような・・・」
ドルオタ伯爵「なんだか・・・色っぽくないか?」
モエスキー伯爵「いや、でも、男が色っぽいなんて・・・」
フランロゼ伯爵「あれは男じゃない、妖精だ」
モエスキー伯爵「そうか、妖精か」
ドルオタ伯爵「妖精なら仕方ないよな」
ドルオタ伯爵「おっ!? 動きが大きくなったぞ」
「わあ!」
ドルオタ伯爵「なんという身体能力」
モエスキー伯爵「これは面白いな」
フランロゼ伯爵「ウフ様~!」
ドルオタ伯爵「なんだそれ」
フランロゼ伯爵「応援札だ」
モエスキー伯爵「そんなことしていいのか?」
フランロゼ伯爵「大丈夫だ、シェリアータの提案だ」
フランロゼ伯爵「この間、アートデュエルでパフォーマンスも見ずに退屈札を上げられたそうでな」
フランロゼ伯爵「ウフ様の心の傷を上書きして癒してくれと!」
シェリアータ「おじ様たちもぜひ!」
シェリアータ「応援札を持っている人にはサービスパフォーマンスをしますよ」
ドルオタ伯爵「サービス・・・?」
シェリアータ「お父様、応援札を!」
フランロゼ伯爵「おう!」
フランロゼ伯爵「ふぉーーー!!!」
ドルオタ伯爵「ずるいぞ!わしも」
モエスキー伯爵「私もやる!」
「ウフ様~!!」
「ウオォ~!!」
モエスキー伯爵「ハァ、ハァ・・・ なんというか・・・これは」
ドルオタ伯爵「楽しいな・・・!」
シェリアータ「お疲れ様!大好評みたいよ」
シュクレ(レノフォード)「さすがだね、リュカ!」
ウフ(リュカリオ)「悲しいことに、おっさんのツボは心得てるんだよな・・・」
ファリヌ(ロシュオル)「シェリアータ、良かったな」
シェリアータ「え、ええ、ほっとしたわ」
ファリヌ(ロシュオル)「・・・どうかしたか?」
シェリアータ「何が?」
ファリヌ(ロシュオル)「目が合わないんだが」
シェリアータ「気にしないで」
ファリヌ(ロシュオル)「俺が何かしたなら・・・」
シェリアータ「ロシュは悪くないの」
シェリアータ「この前の失態を思い出すと、恥ずかしくて」
ファリヌ(ロシュオル)「失態? ・・・ああ、」
ファリヌ(ロシュオル)「よだれたらしてたことなら、気にしなくても」
シェリアータ「そっちじゃない!!」
〇貴族の応接間
リチェラー公爵夫人「また会合ですか?」
リチェラー公爵「あ、ああ。 最近政務が立て込んでいてな」
リチェラー公爵夫人「・・・」
ルディア「おばあ様、どうかなさいましたか?」
リチェラー公爵夫人「女ができたみたいね」
ルディア「おじい様に??」
リチェラー公爵夫人「最近、会合と言ってはいそいそと出かけるので怪しいと思っていたのだけれど」
リチェラー公爵夫人「今日は、馬車に花を用意していて」
ルディア「まあ・・・あの真面目なおじい様が、そんな」
リチェラー公爵夫人「やきもちという年でもないけれど、面倒なことになると困るわ」
ルディア「そうですね。 騎士隊長に調査を依頼しましょう」
〇ホテルのエントランス
「ウフ様~!」
フランロゼ伯爵「見てみたいとおっしゃられた時は驚きましたが、すっかりおハマりですな」
リチェラー公爵「モエスキー伯爵の顔色が急にツヤツヤし出したのが気になってな」
モエスキー伯爵「公爵様もツヤツヤしてらっしゃいますよ!」
フランロゼ伯爵「お孫さんとは、ライバルですが・・・」
リチェラー公爵「わしは審査とは無関係だから、大丈夫じゃ!」
〇立派な洋館
モエスキー伯爵「では、また会場で」
リチェラー公爵「またの!」
リチェラー公爵「~♪」
ロドル・ケークス「公爵・・・」
リチェラー公爵「ろ、ロドル騎士隊長!」
ロドル・ケークス「この催しは・・・どういうことですか」
ロドル・ケークス「女の代わりに男に着飾らせて興じるとは、 なんとふしだらな」
リチェラー公爵「ち、違う! これは純粋な芸術鑑賞なのだ」
ロドル・ケークス「では、これは?」
ロドル・ケークス「説得力がありませんね」
リチェラー公爵「よこしまな思いはない、本当じゃ! あれは男ではなく妖精さんなのじゃ!」
ロドル・ケークス「ともかく、馬車に乗ってお帰りください。 追って公爵夫人にご報告します」
リチェラー公爵「騎士隊長・・・!」
ロドル・ケークス「あの褐色の男」
ロドル・ケークス「装いを変えていたが、あれは・・・」
〇華やかな裏庭
シェリアータ「ミニライブで、みんなすっかりステージ慣れしたわね」
レノフォード「今度のアートデュエルでは、ルディア様をじゃがいもと間違えずに済みそうだよ」
シェリアータ「ルディア様をじゃがいも?? 間違えたの!?」
レノフォード「全然似てないよね」
レノフォード「なのに言い間違えちゃって・・・ごめんなさい」
シェリアータ「お兄様ったら・・・」
シェリアータ「可愛い~」
リュカリオ「可愛いって・・・ シェリはレノならなんでもいいのな」
ロシュオル「レノは可愛いだろ?」
リュカリオ「・・・は?」
シェリアータ「明後日はいよいよアートデュエル本番よ」
シェリアータ「今度こそ頑張りましょう!」
「おー!」
ロシュオル「シェリアータ」
シェリアータ「ロシュ、どうかした?」
ロシュオル「今日のミニライブ中、異質な視線を感じた」
ロシュオル「気をつけてくれ」
シェリアータ「あ・・・うん」
シェリアータ「ごめんなさい」
ロシュオル「謝ることはない」
シェリアータ「見てるとつい、テンションが上がって・・・」
ロシュオル「うん?」
シェリアータ「変態じみた視線を注いでしまって」
ロシュオル「え」
シェリアータ「自分でもわかってる、気をつける・・・」
ロシュオル「ぷっ」
ロシュオル「あはははは!」
シェリアータ「な、何?」
ロシュオル「そういうことじゃなくて、あははは」
シェリアータ「どうして笑うの! 私は真面目に反省して」
ロシュオル「君はしっかりしているようで本当に、なんというか・・・」
ロシュオル「可愛いな」
シェリアータ「かっ・・・!」
シェリアータ「・・・」
シェリアータ「要するに、抜けてるってこと?」
ロシュオル「大丈夫、そのままでいてくれ。 抜けた部分は俺がフォローするから」
ロシュオル「警備強化の件は、フランロゼ卿に伝えておこう」
シェリアータ「な、何なの・・・」
ロドル・ケークス「・・・」
ロドル・ケークス「やはり、ロシュオルか」
〇貴族の応接間
リチェラー公爵夫人「なんですって!? 男!?」
ルディア「おばあ様、どうかなさいました?」
ルディア「ロドル騎士隊長」
ロドル・ケークス「調査のご報告にあがりました」
ロドル・ケークス「フランロゼの邸宅で、男を娼婦のように着飾らせ興じるという、倒錯した催しがあり」
ロドル・ケークス「リチェラー卿は、男娼の一人を口説こうと躍起になっておいででした」
ロドル・ケークス「こちらリチェラー卿より回収したものです」
ロドル・ケークス「リチェラー卿は抵抗され、軽くお諌めしました」
ロドル・ケークス「報告は以上です」
リチェラー公爵夫人「おぞましい・・・女ならともかく、男とは!」
ルディア「おばあ様、落ち着いて。 まずはおじい様の話を聞かないと」
リチェラー公爵夫人「しばらく顔も見たくありません」
ルディア「でも、本人と顔を合わせて話を聞かないと、行き違ってしまいます」
・・・私のように。
〇休憩スペース
太一くん、そろそろ会えない?
もう少し待って
でも、心配なの。無理してない?
大丈夫だから、しつこくしないで
最輝(もてる)「彼氏、会ってくれないの? 心配だね」
瑠妃(るき)「最輝くん・・・」
最輝(もてる)「これでも飲んで、気持ちを落ち着けて」
最輝(もてる)「曇った顔も綺麗だけど、 次の撮影は明るさがテーマでしょ?」
瑠妃(るき)「・・・」
最輝(もてる)「僕のこと、警戒してる?」
最輝(もてる)「確かに振り向いて欲しい気持ちはあるけど」
最輝(もてる)「僕は、君の笑顔が好きなんだ」
瑠妃(るき)「・・・」
瑠妃(るき)「コーヒー、いただくわ」
〇貴族の応接間
ルディア「・・・」
ルディア「味方のように見える人を妄信してはなりません」
ルディア「私はおじい様を信じています」
リチェラー公爵夫人「ルディア・・・」
〇華やかな裏庭
シェリアータ「リュカ、今日は早いのね」
リュカリオ「さすがに、本番前だからね」
ミレーヌ「シェリ様」
シェリアータ「ミレーヌ様、リハーサルを見に来てくださったんですか?」
ミレーヌ「ロシュオルは来てないかい」
シェリアータ「いいえ、まだ来ていませんが」
ミレーヌ「ミニライブの後、家に帰ってないんだよ」
シェリアータ「えっ」
ミレーヌ「騎士見習いの訓練にも顔を出していないそうだ」
シェリアータ「ミニライブの後って・・・」
あれが最後?
急に
途絶えた連絡
シェリアータ「うっ・・・」
〇研究施設のオフィス
世李(せり)「どうしたの? 顔色が悪い」
太一(たいち)「・・・はは 彼女にフラれたんだ」
世李(せり)「えっ」
太一(たいち)「急に連絡が来なくなったと思ったら、」
太一(たいち)「メッセージアプリはブロックされてるみたいで、」
太一(たいち)「着信も拒否されてて」
世李(せり)「ひどい、どうして」
太一(たいち)「僕がこんな見た目だからいけないんだよ」
世李(せり)「そうだ、ダンスしたら痩せるよ! かっこよくなって見返そうよ」
〇華やかな裏庭
嫌だ、これ以上思い出したくない
レノフォード「シェリ! ロシュがいなくなったって?」
シェリアータ「お兄様・・・」
レノフォード「僕、探しに行ってくるよ」
リュカリオ「僕も行く。手分けしよう」
シェリアータ「私も・・・」
レノフォード「ロシュと行き違うかもしれないから、 シェリはここで待ってて」
〇トレーニングルーム
レノフォード「すみません!」
フッキン・シックスパック「何か用ですか?」
レノフォード「友人を探しているんです」
レノフォード「この間一緒に来た、背が高い、細身の騎士見習いなんですが」
レノフォード「街を走っていて見かけませんでしたか?」
フッキン・シックスパック「さあ、見かけておりませんな」
ルディア「また、貴方ですか」
レノフォード「ルディア様!」
レノフォード「細身の騎士見習い、見かけていませんか?」
ルディア「存じませんが・・・」
ルディア「・・・」
ルディア「フランロゼのご令息」
ルディア「少し、お話をお聞きしてよろしいですか」
レノフォード「は、はい」
あいかわらず楽しいですね!
秋元がAKBをアメリカ人に説明するときに芸術だと押してたことを思い出しました。初めてだと何かと言い訳が必要なのはリアルですよね(笑)
前半めちゃくちゃ楽しかった分、ラストの不穏さが…いや、まずは…はい、ミュージカル凄かったです👏👏👏✨
立ち絵の表情・動き差分が多彩だから、本当に読者には最高すぎまして‼‼
ライブを満喫しているおっさんたちを、見ているこっちも楽しい…と思うのに「男に興じている」で非難されてると、心ヘコみますね🥲
続きがめっちゃ気になります、明日が待ち遠しいです😖
年を跨いでのライブ!やっと見られて感動しています!
あの三人の色気が凄いんですよ、人の心をひきつける魅力が☺️
いいもの見させていただきました😊
シェリとの恋も始まりそうなロシュはいずこへ…気になりすぎる展開なので一気読みさせていただきます!