第07話 間違えても貴方がいる!(脚本)
〇華やかな裏庭
シェリアータ「・・・・・・」
シュクレ(レノフォード)「シェリ?」
ウフ(リュカリオ)「よだれたれてない?」
シェリアータ「みんな頑張ったわね!」
シェリアータ「この短期間によくここまで仕上がったわ」
ウフ(リュカリオ)「踊りながら歌うってすごい体力使うね」
ウフ(リュカリオ)「筋トレしてて良かったよ」
シェリアータ「・・・お父様?」
フランロゼ伯爵「この歌い方、表情・・・」
フランロゼ伯爵「君は、リュシー姫か?」
ウフ(リュカリオ)「・・・」
ウフ(リュカリオ)「ああ、そうだよ」
ウフ(リュカリオ)「お察しだろうが、オレは男だ」
フランロゼ伯爵「そ、そうか、男・・・」
ウフ(リュカリオ)「がっかりさせて悪かったな」
ウフ(リュカリオ)「オレの声質で歌うには、騙すしかなかった」
フランロゼ伯爵「いや・・・ありがとう」
フランロゼ伯爵「生きててくれてありがとう~!!」
ウフ(リュカリオ)「えっ?」
フランロゼ伯爵「元気で生きて・・・歌って・・・うぅ」
ウフ(リュカリオ)「軽蔑、しないのか?」
フランロゼ伯爵「そうだな、まんまと騙されたな。 それに男が女の格好なんて狂気の沙汰だ」
フランロゼ伯爵「わかっている、わかっているが」
フランロゼ伯爵「・・・」
ウフ(リュカリオ)「・・・」
フランロゼ伯爵「やっぱり超絶可愛いじゃないか!!」
ウフ(リュカリオ)「は??」
フランロゼ伯爵「そうだ、私はリュシー姫に感銘を受けただけで、下心があるわけじゃないんだ」
フランロゼ伯爵「だったら性別に何の意味がある?」
フランロゼ伯爵「男でもこんなに可愛いなんて、 むしろ奇跡じゃないか!」
ウフ(リュカリオ)「あー・・・ありがとう、ございます」
お父様、思ったより限界オタクだった
フランロゼ伯爵「リュシー姫・・・」
シェリアータ「この姿の時は、卵の妖精ウフです」
フランロゼ伯爵「妖精・・・ シェランダ王国の伝承、エルフサーガか?」
シェリアータ「お父様、ご存知なんですね」
フランロゼ伯爵「なるほど。 妖精は中性的な存在とされているからな」
フランロゼ伯爵「だが、理解を得るのは難しいだろうな」
シェリアータ「覚悟しています」
シェリアータ「でも見たでしょう? 彼らのパフォーマンス!」
フランロゼ伯爵「目新しくて戸惑うが、確かにアートだな」
フランロゼ伯爵「応援しているよ」
シェリアータ「ありがとうございます!」
〇ヨーロッパの街並み
ミレーヌ「エルフサーガをイメージしたお菓子の新作です」
イルエラ「試食をお配りしています!」
モエスキー伯爵令嬢「エルフサーガ?」
ミレーヌ「物には妖精が宿るという、シェランダ王国の伝承です」
イルエラ「お菓子の材料にも妖精がいるんです」
ドルオタ伯爵令嬢「不思議な絵ね」
モエスキー伯爵令嬢「これは・・・男??」
ドルオタ伯爵令嬢「いや、さすがにこれで男はないでしょう」
ミレーヌ「エルフは中性的な姿が特徴なので、プリスキラでは馴染みがないかもしれませんね」
ミレーヌ「とても神聖な存在で、大事にすれば祝福がありますよ」
ミレーヌ「祝福の味、試してみませんか?」
モエスキー伯爵令嬢「いただくわ」
モエスキー伯爵令嬢「確かに、お菓子はおいしいわね」
ドルオタ伯爵令嬢「本当、こんな口どけ初めて」
モエスキー伯爵令嬢「一箱いただくわ」
ドルオタ伯爵令嬢「私も、一箱」
ミレーヌ「ありがとうございます」
シェリアータ「調子はどう?」
イルエラ「はい、エルフサーガの認知度も徐々に上がっていると思います」
ミレーヌ「売上も、少しずつ上がってるよ」
シェリアータ「良かったわ」
シェリアータ「あっ」
シェリアータ「ルディア様!」
シェリアータ「お菓子の試食はいかがですか?」
ルディア「なぜ、あなたが売り子のようなことを?」
シェリアータ「私のアートデュエルと繋がりがあるんです」
シェリアータ「エルフサーガはご存知ですか?」
ルディア「知識はあるわ」
ルディア「あれは、その伝承を描いたもの?」
シェリアータ「はい!さすが芸術の中心、リチェラー家のご令嬢ですね。博識でいらっしゃる」
ルディア「・・・申し訳ないけれど、私は急いでいるので失礼します」
シェリアータ「あ、このお菓子、ぜひお持ちください。 おいしいですよ」
ルディア「試食という量ではなさそうですが」
シェリアータ「遠慮はご無用です、ルディア様には是非食べてみていただきたいので」
ルディア「・・・」
ルディア「ごめんなさい、ご遠慮いたします」
シェリアータ「そうですか・・・」
シェリアータ「ルディア様にも食べて欲しかったな」
〇大広間
ミレーヌ「いよいよだね。緊張するね」
シェリアータ「今日勝つのは難しいと思いますが、見てもらえれば、心を動かす人はいるはずです」
ミレーヌ「そうだね。 私はシェリ様の感性を信じているよ」
フランロゼ伯爵夫人「シェリアータ、今日はライバルね」
シェリアータ「お母様はまたフトメン彫刻ですか?」
フランロゼ伯爵夫人「今度のはムキムキよ!」
フランロゼ伯爵夫人「お互い頑張りましょうね」
シェリアータ「はい!」
ウフ(リュカリオ)「こんな会場で歌えるのか」
ファリヌ(ロシュオル)「思ったより広いな」
シュクレ(レノフォード)「人が多すぎない?」
ウフ(リュカリオ)「大丈夫だよ、観客はじゃがいもだと思えば」
シュクレ(レノフォード)「観客はじゃがいも、観客はじゃがいも・・・」
シュクレ(レノフォード)「あっ、」
シュクレ(レノフォード)「じゃがいも様、こんにちは!」
ルディア「じゃがいも?」
シュクレ(レノフォード)「違う、ごめんなさい、ルディア様!」
ルディア「貴方は・・・」
シュクレ(レノフォード)「ああ、この格好ではわかりませんよね」
シュクレ(レノフォード)「シェリアータの兄の、レノフォードです」
ルディア「ふぅん・・・エルフサーガの妖精・・・ そういうことね」
シェリアータ「ルディア様、今日はよろしくお願いします!」
ルディア「・・・」
ルディア「私は準備がありますので、これで」
シェリアータ「はー、今日もお美しかったわ」
シュクレ(レノフォード)「・・・」
〇大広間
ファリヌ(ロシュオル)「4番のパフォーマンスが終わったぞ」
エントリーNo.5!
シュクレ(レノフォード)「シェリ、行ってくるよ」
シェリアータ「はい、お兄様。頑張って」
???「何? あれ、男?」
???「あんな細い体、見せられても困るんですけど」
これくらいの反応は想定内だ。
でも、パフォーマンスを見れば・・・
オスワイルド男爵夫人「やだ、気持ち悪い」
モエスキー伯爵令嬢「何だか、見たことがあるような」
ドルオタ伯爵令嬢「妖精の絵・・・」
モエスキー伯爵令嬢「それだ」
オスワイルド男爵夫人「ルディア様?」
「!」
シェリアータ「あの札は」
〇大広間
フランロゼ伯爵夫人「時間制限はないけれど、半数以上が退屈札を上げたら終わり」
〇大広間
退屈札!?
でも、パフォーマンスはまだ何も
オスワイルド男爵夫人「そうよね。こんな気持ち悪い男たちのパフォーマンスなんて、見たくないし」
モエスキー伯爵令嬢「ルディア様が上げてるなら、私も・・・」
ドルオタ伯爵令嬢「絵ならともかく、生身の男がやるのは・・・」
アナウンス「退屈札が半数以上になったため、No.5のパフォーマンスは終了となります」
シェリアータ「待って、まだ何も」
エントリーNo.6!
シェリアータ「・・・!」
〇大広間
ファリヌ(ロシュオル)「覚悟はしていたつもりだが、ここまでとは」
ウフ(リュカリオ)「まあ・・・今更驚かないけどな」
シュクレ(レノフォード)「何もできなかったね」
シェリアータ「ごめんなさい・・・」
シュクレ(レノフォード)「シェリのせいじゃないよ」
ミレーヌ「ともかく、みんなお疲れ様。 着替えてからまた考えよう」
シェリアータ「・・・」
ルディア様・・・
〇要塞の廊下
シェリアータ「ルディア様!」
シェリアータ「どうしてですか? どうして、何も見ずに」
ルディア「失格にならないだけ、 ありがたいと思っていただきたいわ」
ルディア「シェリアータ嬢」
ルディア「貴女は、贈賄(ぞうわい)行為を 行おうとしました」
シェリアータ「えっ!?」
ルディア「アートデュエルと関連していると明言し、手ずから贈り物を差し出した」
〇ヨーロッパの街並み
〇要塞の廊下
まさか、あれが
ルディア「私が申し立てれば失格となり、一年間の出場停止になります」
ルディア「そのような行為を行う方のパフォーマンスに、興味はありません」
シェリアータ「申し訳ありません、そんなつもりは」
ルディア「でしょうね」
ルディア「今回は無知に免じて、私の心に納めます。 出直してきてください」
シェリアータ「・・・」
世間知らずの小娘が
〇病室のベッド
独りよがりに 猪突猛進に
世李(せり)「お兄ちゃん、待ってて! 私が最速で、お兄ちゃんの願いを叶える!」
〇大きい交差点
性急に事を進めて
世李(せり)「早く、速く、はやく!」
世李(せり)「あっ!!」
失敗して
〇要塞の廊下
シェリアータ「・・・っ!」
お兄ちゃんの願いを、
叶えられなかった。
ロシュオル「シェリアータ、ここにいたのか」
シェリアータ「・・・ロシュ」
ロシュオル「探したぞ。ひどい顔色だな」
シェリアータ「わ・・・私のせいだったの。 私が物知らずで、迂闊なことをしたから」
シェリアータ「巻き込んでひどい目に遭わせて、 ごめんなさい」
ロシュオル「大したことない、気にするな」
ロシュオル「どうした? しっかりしろ」
シェリアータ「・・・」
ロシュオル「シェリアータ!」
シェリアータ「ロシュ・・・ 私は、間違ってるかもしれない」
ロシュオル「何を言ってるんだ?」
シェリアータ「思い出したの」
シェリアータ「私、過去に取り返しのつかないことをして、人を不幸にした」
シェリアータ「幸せにしたかったのに、間違えた」
シェリアータ「視野が狭くて、世間知らずで」
ロシュオル「過去と今を混同するな!」
ロシュオル「大丈夫だ。 君がいいと言うものを、俺は信じてる」
ロシュオル「そのまま前に進め。後ろは見るな」
シェリアータ「でも、また取り返しのつかないことになったら」
ロシュオル「ならない」
シェリアータ「どうして断言できるの?」
ロシュオル「後ろには、俺がいる」
ロシュオル「レノも、ばあちゃんも、母さんも、 リュカも、フランロゼ卿も」
ロシュオル「君に動かされて、 君を信じるみんなが手を貸す」
シェリアータ「お兄様は、絶対に幸せにしたいの」
ロシュオル「わかってる。俺も同じだ」
ロシュオル「あんな純粋なやつが笑っていられない世界は、間違ってる」
ロシュオル「君は強い目で、俺をそのままで良いと言った」
ロシュオル「どんなに救われたか、わかるか」
ロシュオル「これだけは確信してる。君は間違ってない」
ロシュオル「間違えることがあっても、本質は間違ってない」
ロシュオル「一人で変えようとするな。 君を信じるみんなを信じろ」
シェリアータ「・・・」
あの時、私は一人だった
あの時とは、違う?
レノフォード「シェリ!」
シェリアータ「お兄様」
シェリアータ「ごめんなさい、こんなことになって。 傷ついたでしょう」
レノフォード「僕は大丈夫だよ」
レノフォード「女装して引きこもったりしないから、安心して」
レノフォード「シェリが僕を認めてくれる人を増やしてくれたから、もう折れない」
レノフォード「今まで頼りなくてごめん。 もう、頼って大丈夫だよ」
シェリアータ「お兄様・・・!」
ロシュオル「やっぱり、レノに持って行かれるか」
リュカリオ「当たり前だろ。 あのブラコン、年季が違うぞ」
〇ホテルのエントランス
シェリアータ「・・・え?」
フランロゼ伯爵「リュシー姫のファンだった仲間に話したら、見せてくれとうるさくてな」
フランロゼ伯爵「歌の部分を少しでいいから、うちでやってくれないか?」
ここで・・・ミニライブを?
うわぁ、切ないっ!!!
出鼻挫かれるんだろうな、とは予想がついても何もできずに終わるのはキました。更にこれでも、寛容な処置なのが辛い。自分自身のせいだから自己嫌悪に陥るし、追い打ちの前世の記憶…😭
だからこそ、ロシュとのシーンが本当に素晴らしいです✨最後はお兄様に持っていかれているけれど、セリフの一つ一つが刺さりました!
お父様、思ったより限界オタクで笑いました😂
リュカと会えてよかったです🤣
アートデュエルは披露できませんでしたが、まさかのお父様ルートでお披露目のチャンスが!
おっさんたちにモテモテか!?
ロシュルート?ロシュとシェリアータが?とヨダレが出そうになったのに、お兄ちゃんに持ってかれたー!
つ、つよいぜブラザー👍
まさかの退屈ルールでデュエルが出来なかったのが残念でしたが、お父さんのヲタ魂に火がつきましたね!
突破口になるか?