イケメン文化0世界でプロデューサー令嬢、推し参る!

咲良綾

第06話 美少年が歌っている!(脚本)

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咲良綾

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〇トレーニングルーム
  頭に花が咲いた女に、
  イケメン二人。

〇休憩スペース

〇トレーニングルーム
ルディア「うっ・・・」
シェリアータ「ルディア様?」
ルディア「トレーニングしがいのありそうな方たちね。 ジムにご入会かしら?」
シェリアータ「いえ。人を探してお邪魔しましたが、用事は済みました」
ルディア「そう。ではどうぞ、お帰りください」
シェリアータ「・・・」
シェリアータ「はい、それでは失礼しま・・・」
シェリアータ「あっ!」
シェリアータ「ルルルルルディア様!」
ルディア「何か?」
シェリアータ「スカートに、カメムシが」
ルディア「キャー!」
フッキン・シックスパック「すぐに叩き落とします!」
シェリアータ「ダメです!ジム中臭くなりますよ!」
レノフォード「ルディア様、じっとしててください」
ルディア「!」
レノフォード「失礼します」
レノフォード「おいで、外に連れていってあげる」
レノフォード「取れました」
ルディア「あなたが臭くなるわよ」
レノフォード「この子は今のところ落ち着いているので 大丈夫そうですが」
レノフォード「何かある前に失礼しますね」
レノフォード「行こう、シェリ」
シェリアータ「失礼します、ルディア様」
ルディア「・・・」

〇幼稚園
るき「えーんえーん」
るき「るきのいちご、落として踏んじゃった」
たいち「るきちゃん」
たいち「ぼくのと交換しよ」
るき「え・・・太一くんは?」
たいち「ぼくのいちご、バッタさんにあげようと思ってたの」
たいち「バッタさんはつぶれてる方が食べやすいと思うんだ」
たいち「だから交換。 ね?」

〇トレーニングルーム
  なぜ今、思い出してしまったんだろう

〇黒背景
  いつも
  すぐに自分を投げ出して
  大丈夫だから気にしないでって
  笑う人だった。

〇おしゃれな大学
瑠妃(るき)「太一くん!?」
太一(たいち)「太ったから、わからなかったでしょ」
瑠妃(るき)「小学生以来だから、8年ぶり?」
瑠妃(るき)「でも、雰囲気はそのままだね」
太一(たいち)「るきちゃんはきれいになったね」
瑠妃(るき)「私、太一くんが急に引っ越して 大泣きしたんだよ」
瑠妃(るき)「太一くんと同じ大学だなんて嬉しい」
太一(たいち)「うん、僕も」

〇モールの休憩所
瑠妃(るき)「・・・甲状腺の病気?」
太一(たいち)「だからすぐ太っちゃうんだ」
太一(たいち)「僕は、痩せてかっこよくなれないし、 長生きできるかわからないし・・・」
瑠妃(るき)「じゃあ、私がついてないとダメじゃない」
太一(たいち)「!」
瑠妃(るき)「太一くん、すぐ人のことばかりで自分を粗末にするんだから」
瑠妃(るき)「私が大事にしないと」
太一(たいち)「・・・でも、僕じゃ釣り合いが」
瑠妃(るき)「なんで?意味がわからない」
瑠妃(るき)「太一くん、頑張って誠実に生きてるじゃない」
瑠妃(るき)「私は幼稚園の頃からずっと、太一くんの優しさに救われてるの」
瑠妃(るき)「私の気持ちを無視しないで」
太一(たいち)「るきちゃん・・・」

〇公園通り
  やっと掴んだ手を、もう手放したりしない

〇整頓された部屋(ハット、靴無し)
  人生の最期まで、そばにいるはずだった
  なのに

〇整頓された部屋(ハット、靴無し)
瑠妃(るき)「やだ!気持ち悪い!もう帰る!」
  ちゃんと大事にできなかった

〇休憩スペース
  気持ち悪いと言われないよう頑張るから、
  しばらく距離を置きたい
  ごめんなさい、気が立ってたの
  本気じゃないから
  思ってもないことは出ないよ
  違うの、見た目のことじゃなくて、他の女の子と仲良くするのが嫌で
  とにかく、今のまま会いたくないんだ。
  次会うまでの時間が欲しい
  わかった。無理はしないでね
  太一くん、病気もあるんだから
  あの時、どうして
  無理にでも
  
  会いに行かなかったんだろう

〇トレーニングルーム
  「距離を置きたい」 なんて、
  「会いたくない」 なんて、
  彼が 言うはずなかったのに

〇ファンタジーの学園
レノフォード「この子、どこに連れて行ったらいいかな」
シェリアータ「この辺で放したら?」
レノフォード「人も多いし、迷惑がられちゃうよ」
ロシュオル「湖の方はどうだ?」
レノフォード「そうだね」

〇湖畔
レノフォード「ここならのびのびできそうだね」
???「ヴォーーー!」
シェリアータ「何? 人の声?」
ロシュオル「・・・あれは」
リュカリオ「くっそ、低い音が全然出ない」
  ガツガツ
シェリアータ「ピクニック? ・・・って雰囲気じゃないわね」
ロシュオル「すごい勢いだな」
リュカリオ「うっ」
リュカリオ「オエエエエ」
リュカリオ「うぅ・・・」
リュカリオ「吐いたら元も子もないじゃん」
リュカリオ「くそっ! どうしてこう半端なんだよ!」
リュカリオ「高い声がダメなら、もっと低くなれよ! オレに歌わせろよ!」
シェリアータ「歌? やっぱり、あの子」
  ヤケクソ気味に、叩きつけるように
  暴力的なほど伸びやかな、テノールの歌声
シェリアータ「・・・っ、すごい」
ロシュオル「男にしては高い声だけど、うまいな」
シェリアータ「うまいどころじゃないわよ!」

〇湖畔
シェリアータ「ちょっと、リュシ・・・じゃなくて、なんだっけ、名前にリュがついた美少年!」
リュカリオ「は!? なんだよ、どうしてここに」
シェリアータ「貴方の歌、素晴らしいわ!」
リュカリオ「・・・え?」
リュカリオ「でも半端だろ、声が 女でも男でもなくて」
シェリアータ「それが何?」
リュカリオ「何って、需要がないんだよ! 歌うところがないんだ!」
リュカリオ「女の声が出なくなったのに 低さが足りなくて男役もできない」
リュカリオ「もっと体をでかくして腹に響かせれば、オレだって低い声が」

〇ヨーロッパの街並み

〇湖畔

〇湖畔
  それであんなことを?
シェリアータ「貴方、本当に歌が好きなのね」
リュカリオ「好きとか考えたことないけど、 歌えなかったら、オレじゃないんだよ」
シェリアータ「歌う場所、あるわよ」
リュカリオ「えっ」
シェリアータ「低くなくていい、高くなくていい。 そのままの声で歌って欲しい」
シェリアータ「私の、アートデュエラーとして!」
リュカリオ「アート、デュエラー・・・?」
シェリアータ「勝てば王の前でも歌えるわ」
リュカリオ「それが本当ならすごいけど、 勝算はあるのかよ」
シェリアータ「ないわ」
リュカリオ「おい」
シェリアータ「あるのは、私の揺らがない価値観だけ。 でも絶対にいいって信じてる」
リュカリオ「・・・」
シェリアータ「私は、この世界を変えたいの 貴方に協力して欲しい」
リュカリオ「変わったら、どうなるんだ」
シェリアータ「変わったら・・・」
シェリアータ「貴方は女にモテモテよ」
リュカリオ「やる」

〇西洋風の部屋
ウフ(リュカリオ)「こんな感じ?」
「ファーーー!!」
シェリアータ「卵の妖精、「ウフ」! いいよいいよ、めっちゃいいー!!」
ミレーヌ「いいのかね? ここまで美少女にしちまって」
シェリアータ「いいんです! 男の娘(こ)は正義!!」
ウフ(リュカリオ)「これ、本当に女にモテるの? おっさんにしかモテないんじゃ・・・」
シェリアータ「ああ・・・ごめん、おっさんにはモテるわ」
ウフ(リュカリオ)「はぁ!?」
シェリアータ「でも私たちは世界を変えるの。 新しい扉を開くのよ!」
ウフ(リュカリオ)「つまり、最終的には女にモテモテなんだな?」
シェリアータ「そうしたいと思ってる」
ウフ(リュカリオ)「まあ当面、歌えるならなんでもいいよ」
シェリアータ「さあ、次のアートデュエルに向けて、レッスンするわよ!」
  困難かもしれないけど、やってみせるわ。
  お兄様のために、 最 速 で !
シェリアータ「!?」
  今の、記憶は?

次のエピソード:第07話 間違えても貴方がいる!

コメント

  • 男の娘は正義!(どうしても印象に残ってしまいます🤣)
    前世事情を伏線・絡ませにする異世界転生ものは少ないですが、ミステリー要素的でおもしろいです(最終的には死が確定していますし)
    リュカ、スチルでカッコよかったのに決定打がゲスだった😂

  • 太一くん、あの歳で潰れたいちごを交換してあげるなんて、めちゃくちゃ優しいですね!
    そして、前世のそれぞれの記憶が不穏な感じに……!
    あと、リュカが歌っているところのスチルが、悲しくも綺麗でした✨ ゲスですが、憎めないキャラですね😊

  • リュカ君が腹黒くて可愛いです(笑)

    太一さんは病気だったんですね
    思ってもないことは口に出ないってセリフ凄くきました😭

    仲間がどんどん増えてアートデュエルが楽しみです

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