怖そうで怖くない日常風景

ましまる

第2話・居酒屋での出逢い(脚本)

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ましまる

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〇壁
ましまる「第2話もご覧くださり 心より御礼申し上げます」
ましまる「今回もまた、平凡な作者の 平凡な大学時代の話をさせていただきます」
ましまる「なので、今回も・・・」
ましまる「本格ホラーをご所望の方は、 時間の無駄になりますので、回れ右!」
ましまる「それでは、始めさせていただきます」

〇住宅街の道
  さて、独り暮らしを始めるにあたり
  誰もが確認するものといえば、
  やはり「最寄りの●●」かと。
  最寄の駅
  最寄のコンビニ
  最寄のスーパー
  最寄のドラックストア
  最寄のクリーニング店
  そして
  最寄りの飲食店、ですよね。
  今回は、作者の大学生時代のアパートの
  最寄りの飲食店を舞台としたお話です。

〇雑居ビル
  私のアパートの最寄りの飲食店は
  徒歩3分のところにある居酒屋でした。
  外装は古い感じで、外から店内が見えず
  ちょっと入りづらいお店でしたが

〇大衆居酒屋(物無し)
  店内は、店主さんと常連さんが
  アットホームで穏やかな空気感を作る
  寛げる空間でした。
  お店は、カウンター席メインで
  他にテーブル2卓と、こじんまりな規模
  そして、カウンタ―の上には
  魚の煮付や肉じゃがなどの大皿が並びます
  いわゆる「ドラマで見るような小料理屋」
  という表現が適当でしょうか
  ・・・ぴったりの背景画像が無いので、
  適宜、脳内補正していただければ幸いです

〇大衆居酒屋(物無し)
ましまる(大学生)「こんばんはー」
居酒屋の店主さん「おう、いらっしゃい!」
居酒屋の店主さん「いいタイミングで来たねー」
居酒屋の店主さん「ハタハタ、好きだよね?」
ましまる(大学生)「はい、大好きです」
居酒屋の店主さん「今日、市場でいいハタハタがあったから 煮付けてみたんだけど・・・食べる?」
ましまる(大学生)「ぜひ頂きたいです」
居酒屋の店主さん「合わせる飲み物は・・・日本酒?」
ましまる(大学生)「はい、『桜姫』の山廃純米で」
居酒屋の店主さん「うん、いい組み合わせ」
  ・・・みたいな感じで、店主さんから
  温かいご対応をいただいていました。
  常連客の方も、
常連客さん「おネェちゃん、『一空』の吟醸酒は 飲んだことある?」
ましまる(大学生)「いえ、お値段的に厳しいので 飲んだことないんですよ」
常連客さん「じゃあ、一緒に飲もうか」
常連客さん「大将、『一空』の吟醸を2つ 俺の会計で」
ましまる(大学生)「えっ・・・ごちそうさまです」
常連客さん「おネェさん、今日のシメ鯖は かなりいい塩梅だよ」
常連客さん「大将、このおネェさんに シメ鯖食べさせてあげてー」
ましまる(大学生)「えー・・・ごちそうさまです」
  ・・・みたいな感じで
  お店の常連客さんたちにも
  可愛がってもらいました。
  お店の常連客さんたちは
  みな40~70代の方々だったので
  私のような若造は珍しく
  それゆえ面白がってくれたのでしょうね。
  でも、時折・・・
常連客さん「オイ、ネェちゃん 俺のモンモン見せたるわ」
常連客さん「どやっ?」
ましまる(大学生)「・・・見事なモノが入ってますね」
常連客さん「せやろ、わかってくれて嬉しいわー」
  ・・・みたいに、カラフルに施した皮膚を
  ドヤ顔で自慢されることもあったりも
  どんなふうに返答したものか
  困りものですよね。

〇壁
ましまる「・・・という感じで、最寄りの飲食店が 居心地のいい居酒屋というのは僥倖でした」
ましまる「あと、ちょっと注意・補足を」
ましまる「先程のワンシーンだけ見ると」
ましまる「まるで作者の行動が「オゴられて当然」に 見えるかもしれませんが」
ましまる「これって一昔前の居酒屋では 当たり前の風景だったのです」
ましまる「年長者や金回りのいい人などが 挨拶がてらに「よかったら一杯」」
ましまる「その年長者等が先に帰る際に 「この子にもう一杯飲ませてあげて」」
ましまる「そんなのが日常茶飯事の時代でした」
ましまる「しかも、お店の常連客さんからしたら 当時の作者なぞ ご自身の子供かそれ以下の年代」
ましまる「貧しい若い子に、少しはイイ物を 飲み食いさせようという心理だったかと」
ましまる「・・・えっ、ナンパ目的!?」
ましまる「いやいや、100%無かったですよ」
ましまる「何せ、昔も今も見た目は変わらず こんな溶けかけたスライム激似ですから」
ましまる「・・・って、オチっぽくなりましたが 閑話休題」
ましまる「そんな「唯一の若者」として 受け入れてもらった居酒屋ですが」
ましまる「程なくして、別の「若者」も しばしば来店するようになりました」
ましまる「その「若者」との出会いが 本日のお話の主題です」

〇大衆居酒屋(物無し)
末永さん(仮名)「どーも、はじめまして」
末永さん(仮名)「・・・って、ずいぶんお若いですね? 学生?社会人?」
ましまる(大学生)「・・・が、学生です」
末永さん(仮名)「この辺りで一人飲みってことは ●大生か◆大生ってトコかな?」
ましまる(大学生)「はい、●大生です」
末永さん(仮名)「だったら俺の後輩かー」
末永さん(仮名)「・・・ん、飲んでるソレって」
末永さん(仮名)「日本酒かー、渋いねー」
ましまる(大学生)「・・・好きなんですよ」
ましまる(大学生)「よく、オッサン臭いとは言われますが」
末永さん(仮名)「いや、アリだと思うよ」
末永さん(仮名)「好きなものを正面から楽しむって とっても素敵なことだから」
末永さん(仮名)「そして、そのギャップも 何だか可愛らしいし」
ましまる(大学生)「・・・あっ、えっ」
  ということで、同じ大学の卒業生で
  5年先輩の末永さん(仮名)と
  顔を合わせることに
  私とはずいぶんタイプの違う方で
  今で言うところの
  「陽キャ」と「陰キャ」の出会いです
  それでも、この居酒屋では
  年齢の近い唯一の存在として
  会話は盛り上がり、次第に意気投合
  そのうち、連絡先を交換するようになり
  一緒にお出かけする計画も立てるようにも
  なっていました
  末永さん(仮名)がいない日には
常連客さん「おっ、今日は彼氏くんはいないのか?」
ましまる(大学生)「・・・いや、お付き合いしてないですし」
ましまる(大学生)「このお店だけで出会う関係ですから」
常連客さん「いつもの様子を見てたら、てっきり・・・」
ましまる(大学生)「いやいや、何にもないですよ」
常連客さん「何だ、もう既にアレやらナニやら 済ませた間柄だと思ってたわー」
居酒屋の店主さん「・・・・・・・・・」
居酒屋の店主さん「・・・ウチの店、セクハラ発言は 強制退店ですからね、たとえ酔っていても」
常連客さん「・・・すまん」
常連客さん「お詫びに一杯、好きなのを飲んでくれ」
  と言われることも度々あり
  傍から見れば
  「親密な関係」だったのでしょう

〇壁
ましまる「当時の作者は、この末永さん(仮名)に ある程度惹かれていたのかもしれません」
ましまる「居酒屋で会う末永さん(仮名)は 会話上手でウィットにも富んでいて」
ましまる「立ち居振る舞いも かなりスマートな様子でしたから」
ましまる「そんな彼の居酒屋以外の姿を 未だ知らないままだった作者は」
ましまる「とある日、彼の「別の姿」を 思いがけず知ることになるのでした・・・」

〇本棚のある部屋
ましまる(大学生)「・・・えっ、嘘!?」
  地方新聞を眺めていると、
  何とそこには彼の名前が・・・
  ・・・警察は●月■日、    
  市内在住の末永・・・・容疑者を
  殺人未遂の容疑で逮捕した。
  容疑者は、元交際相手の女性との
  金銭トラブルで口論となり・・・
  容疑者に暴行を加えられた女性は  
  生命の危険を感じ逃げようとするも、
  容疑者は自身の乗用車に乗り込んで
  女性を追いかけた末に跳ね飛ばし、
  女性に大怪我を負わせたとのこと。
  なお、女性は意識不明の重体の模様。

〇大衆居酒屋(物無し)
居酒屋の店主さん「いらっしゃい・・・」
居酒屋の店主さん「・・・って、おネェちゃんかー」
ましまる(大学生)「店主さん、あの・・・」
居酒屋の店主さん「・・・ああ、ニュースで見たよ」
居酒屋の店主さん「・・・彼のことだろ」
ましまる(大学生)「驚かないんですね?」
居酒屋の店主さん「だって、そういう事をしでかしそうだと 前々から思っていたから」
ましまる(大学生)「えっ!?」
居酒屋の店主さん「だってさ、おネェちゃんがいない日」

〇大衆居酒屋(物無し)
居酒屋の店主さん「金離れの良さそうな客にばかり ヨイショしてばかりで」
居酒屋の店主さん「逆に、そういった人が不在のときは ずっと不愛想に酒飲んでるんだよ」
居酒屋の店主さん「だから、彼のことは・・・」
居酒屋の店主さん「人間関係も何もかも 損得でしか考えられない輩だと思ってた」

〇大衆居酒屋(物無し)
居酒屋の店主さん「だから、今回の事件について」
居酒屋の店主さん「元カノとの「金銭トラブル」って報道には やっぱりという感想だね」
居酒屋の店主さん「ただ、トラブルの末に暴行に及んで 車で轢き殺そうとするとは・・・」
ましまる(大学生)「・・・そんな一面があったなんて」
居酒屋の店主さん「彼がおネェちゃんと親密にしているのも」
居酒屋の店主さん「ひょっとしたら「金銭的目的」かと 思っていたんだよ」
居酒屋の店主さん「なかなか言い出せずにゴメンね」
ましまる(大学生)「えっ、私に近づいたのが「金銭的目的」?」
ましまる(大学生)「私、ただの貧乏学生ですよ・・・」
居酒屋の店主さん「いや、おネェちゃんくらいの年頃だと 男より女のほうが稼ぐ手段が多いから」
居酒屋の店主さん「ハタチそこそこでも、ホストにハマって 散財する子たちの「稼ぐ手段」 知ってるよね・・・」
ましまる(大学生)「・・・・・・はい」
居酒屋の店主さん「まぁ、末永くん(仮名)が 本当にそういったことをしていたのか」
居酒屋の店主さん「新聞、ニュースの内容では知り得ないけど」
居酒屋の店主さん「元カノと「金銭トラブル」を起こして 挙句に暴行を加えるってところから」
居酒屋の店主さん「ある程度察せられるかな、と」
ましまる(大学生)「・・・・・・はい」
居酒屋の店主さん「ま、今回のはイイ勉強だったということで」
居酒屋の店主さん「ええと、腹減ってるよね・・・」
居酒屋の店主さん「はい、これ食べて元気出して」
居酒屋の店主さん「元気が出る食べ物、レバ刺し!」
居酒屋の店主さん「おネェちゃん、いっつも魚ばっかりだから コレ食べたことなかったよね」
ましまる(大学生)「・・・・・・はい」
ましまる(大学生)「いただきます」
ましまる(大学生)「お、おいしい!」
居酒屋の店主さん「新鮮なモノを仕入れて ちゃんと臭み抜きをした自慢の逸品だから」
居酒屋の店主さん「あと、特別に『大八洲』の純米大吟醸も 飲ませてあげるね」
居酒屋の店主さん「ほら、泣かない」
ましまる(大学生)「・・・・・・はい」

〇壁
ましまる「以上で、「第2話・居酒屋での出逢い」を 終わらせていただきます」
ましまる「一言でまとめるとすれば、 「作者がレバ刺しを好きになった日」」
ましまる「そんな回顧にお付き合いくださり 誠にありがとうございました」
ましまる「以後余談ですが 作者はレバ刺しに目覚めた結果」
ましまる「多くの友人をこのお店に誘い レバ刺しの美味しさを共有したのでした」
ましまる「ただ・・・」
ましまる「とある男友達をこのお店に誘ったことで」
ましまる「作者は、男同士の恋愛トラブル、 そしてその身を焼き焦がすかのような情熱」
ましまる「その果ての破滅的な姿と警察沙汰を 目にすることになるのですが」
ましまる「それはまた別のお話」

次のエピソード:第3話・パン屋さんとコンビニさん

コメント

  • ましまるさん...まさかそんな大層な話をお持ちとは、ちょっとちょっと〜なんかこうゆう飲みの場とか出会いの場が怖くなっちゃったよ〜😂

    よかったましまるさんが生きててよかったほんとに
    てか、え?このシリーズ生きててよかったて言い続ける?

  • ましまるさんは、大学生時代から居酒屋マスターだったのですね🤭
    確かに若い頃は、奢られるのが当たり前でしたね〜←遠い目
    痴情のもつれで相手を轢き殺す…。怖い😭
    それを見抜いていた店主さんが流石だし、対応も完璧!
    牛のレバ刺し、ユッケ…良い時代でしたね。
    え?次回もめちゃくちゃ気になるじゃないですか…!!更新楽しみです。

  • 前回のは本当に偶然って感じでしたけど、今回のはリアルにやばかったですね。
    店長さん言ってくれればいいのに…まあそんなことできないですよね。
    1人で居酒屋行って日本酒飲むっていいですね。いい年になっても知らない店だと躊躇してしまいます… 大人でカッコいいです。

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