イケメン文化0世界でプロデューサー令嬢、推し参る!

咲良綾

第01話 世界が間違っている!(脚本)

イケメン文化0世界でプロデューサー令嬢、推し参る!

咲良綾

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〇歴史
  この世界は、
  どうして
  こんなに退屈なのだろう。

〇ホテルのエントランス
シェリアータ「お母様、これはなんですか」
フランロゼ伯爵夫人「次のアートデュエルに出品する彫刻よ」
フランロゼ伯爵夫人「どう?すごいフトメンでしょう!」
シェリアータ「・・・太すぎない?」
フランロゼ伯爵夫人「芸術ですもの、このくらい強調しないと!」
フランロゼ伯爵夫人「このお腹のフォルム、ときめかない?」
  正直、全然ときめかない。
レノフォード「ただいま」
シェリアータ「お兄様! お帰りなさい」
フランロゼ伯爵夫人「レノフォード、 交流パーティーはいかがでしたか?」
レノフォード「・・・」
レノフォード「疲れたよ。もう休みます」
シェリアータ「お兄様、婚活を始めてからお辛そうだわ」
フランロゼ伯爵夫人「そうね」
フランロゼ伯爵夫人「あんな、目の大きい女みたいな顔に産んでしまったわたくしのせいで・・・」
シェリアータ「お母様は悪くないわ」
シェリアータ「私はお兄様の顔、美しくて好きよ」
フランロゼ伯爵夫人「男のくせに美しくても、 気味が悪いだけでしょう」
フランロゼ伯爵夫人「ねえ、これどうかしら」
シェリアータ「え?」
フランロゼ伯爵夫人「レノフォードも、鼻を丸く、目を小さくして、エラを張らせれば」
シェリアータ「絶対やめて!!」
フランロゼ伯爵夫人「でもねシェリアータ、世間は」
シェリアータ「聞きたくない!」

〇貴族の部屋
  男は体も声も神経も、
  太く、逞しく。
  世間のトレンドくらい知ってる。
  お兄様がひどく外れていることも。
  ・・・でも

〇貴族の部屋
シェリアータ「お兄様、またこっそり用意しておいたわ」
レノフォード「ありがとう、シェリ」
レノフォード「・・・僕は男なのに、甘いものが好きなんて、おかしいよね」
シェリアータ「そんなことない!」
シェリアータ「私、お兄様がお菓子を食べる 幸せそうな顔が大好き」
レノフォード「そんな風に言ってくれるのはシェリだけだ」
レノフォード「僕にとって、シェリは女神だよ」
シェリアータ「お兄様こそ。お菓子の妖精がいたら、きっとお兄様みたいだと思うわ」
  優しくて、
  きれいで、
  笑顔が可愛いお兄様。

〇城の回廊
  ・・なのに
貴族1「よう、ナヨ男」
貴族2「相変わらず女みたいな顔だな」
モエスキー伯爵令嬢「言い過ぎ~」
貴族1「じゃあ優しくしてやれよ」
モエスキー伯爵令嬢「やだぁ」
シェリアータ「お兄様!」
レノフォード「シェリ、ごめん」

〇貴族の部屋
シェリアータ「お兄様は全然、悪くないのに」
シェリアータ「この世界の方が間違ってる!」

〇洋館の廊下
シェリアータ「エレナ、どうしたの?」
エレナ「レノフォード様が・・・!」
フランロゼ伯爵夫人「ああ・・・あ」
エレナ「奥様っ!」

〇城の客室
フランロゼ伯爵「お前、なんということを!」
シェリアータ「お兄様!?」
レノフォード「もう限界なんだ」
レノフォード「僕はもう、男は嫌だ!」
シェリアータ「お兄・・様・・・」
レノフォード「お父様もずっと言ってたじゃないか、僕が女だったらって」
レノフォード「望み通り、僕は女になるよ!」
フランロゼ伯爵「やめるんだ、すぐに脱ぎなさい、恥ずかしい!」
フランロゼ伯爵「シェリアータもなんとか言ってくれ」
シェリアータ「び・・・」
シェリアータ「び じ ん ~ !」
「・・・え?」
シェリアータ「どうしようなにこれお兄様、可愛い!」
シェリアータ「女にしては良すぎる体格のアンバランスも美でねじ伏せる力業・・・さすがお兄様!」
レノフォード「あ・・ありがと・・・う?」
フランロゼ伯爵「この兄贔屓、曇った眼をかっ開けー!!」
フランロゼ伯爵「いいかシェリアータ、この状態のままではレノフォードの結婚は絶望的だ」
フランロゼ伯爵「それはすなわち、我が家の没落に繋がるのだぞ」
シェリアータ「家のことなら、私が婿を取るから」
フランロゼ伯爵「お前は何もわかってない」
フランロゼ伯爵「我が国では家長の出自と名で家の格が決まる」
フランロゼ伯爵「フランロゼの名を残すなら、格下から婿を取るしかない」
フランロゼ伯爵「格が下がると、発言力が下がる」
フランロゼ伯爵「発言力が下がれば、我らの領地を不利な政策から守りにくくなる」
シェリアータ「そんな・・・」
フランロゼ伯爵「娘しかいなければそれも仕方なかろう」
フランロゼ伯爵「しかしいるではないか! 我が家には、息子が」
フランロゼ伯爵「目を覚ませ、レノフォード! これはどうだ?」
フランロゼ伯爵「もっと筋肉を鍛えて太くなれば」
シェリアータ「やめてお父様、 これ以上お兄様を否定しないで!」
シェリアータ「家のために私にできることがあれば、何でもするから・・・!」
フランロゼ伯爵「女の身で、できることなど限られている」
シェリアータ「着飾り、男に尽くし、子を産み、芸術を嗜むこと・・・ですか?」
フランロゼ伯爵「そうだ」
シェリアータ「・・・芸術」
シェリアータ「失礼します!」

〇ホテルのエントランス
シェリアータ「お母様!」
シェリアータ「アートデュエルって、勝てば王に謁見できるのよね?」
フランロゼ伯爵夫人「え、ええ」
シェリアータ「それで、王に気に入られた家は?」
フランロゼ伯爵夫人「引き立てられて勢力を増しているわ」
シェリアータ「つまり、勝てば格が上がる!」
フランロゼ伯爵夫人「ええ、まあ」
シェリアータ「それだわ!」

〇城の客室
シェリアータ「そのような訳で、お父様」
シェリアータ「私、サロンデビューします!」
シェリアータ「アートデュエルで家に貢献します!」
フランロゼ伯爵「そんな、簡単なものでは」
シェリアータ「険しくても道はあるのでしょう?」
シェリアータ「お兄様」
シェリアータ「その姿も素敵だけど」
シェリアータ「本当に女になりたいの?」
レノフォード「・・・」
シェリアータ「私、頑張るから」
シェリアータ「私が大好きな、 素のままのお兄様を守るから!」
レノフォード「シェリ・・・!」

〇大広間
シェリアータ「・・・ここが、アートデュエルサロン」
シェリアータ「みんな、お抱え芸術家を連れて集まるのね」
フランロゼ伯爵夫人「ええ。「アートデュエラー」と呼ばれる彼らの作品がわたくしたちの武器よ」
リチェラー公爵夫人「皆様、お集まりいただきありがとうございます」
リチェラー公爵夫人「本日も皆様の粋を極めた芸術を」
リチェラー公爵夫人「お互いこころゆくまで楽しみましょう!」
  エントリーNo1!
フランロゼ伯爵夫人「なんて重厚な低音ボイス・・・」
シェリアータ「歌もアリなのね」
フランロゼ伯爵夫人「ええ。舞踏や演劇、芸術なら何でもアリよ」
フランロゼ伯爵夫人「時間制限はないけれど、半数以上が退屈札を上げたら終わり」
  エントリーNo2!
フランロゼ伯爵夫人「素敵な絵ね・・・! 点数を弾むわ」
シェリアータ「手元の紙で採点するのね」
フランロゼ伯爵夫人「Tは技術、Fは好感、Sは震撼」
フランロゼ伯爵夫人「それぞれ10点満点で、合計が点数になるの」
  エントリーNo3!
フランロゼ伯爵夫人「あっ!次はうちの番よ」
貴族女性「リアルな造形ね」
貴族女性「すごいフトメン」
貴族女性「でも、テーマがよくわからないわ」
シェリアータ「反応はそこそこってところね」
フランロゼ伯爵夫人「うぅ・・・」
  エントリーNo4!
  エントリーNo5!
  エントリーNo6!
  世間が傾倒しているものがありありとわかる。
  本当に全てがお兄様とは正反対・・・
  エントリーNo7!
フランロゼ伯爵夫人「来たわ!リチェラー公爵家よ!」
シェリアータ「リチェラー公爵家って、主催の?」
フランロゼ伯爵夫人「ええ、主催の孫娘がパトロンとなっているチーム「マソパリスター」」
フランロゼ伯爵夫人「すごい人気で連勝続きなのよ」
シェリアータ「複数で芸術チームを組むのもアリなのね」
???「唸れ、筋肉!!!」
???「輝け、太鼓腹!」
シェリアータ「!?」
  なんか、デカいのきたー!!
  圧が、圧が強い!

〇大広間
シェリアータ「終わった・・・」
ルディア「あら、見ない顔」
ルディア「どちらのご令嬢かしら」
シェリアータ「かっ・・・」
シェリアータ「可愛い!!」
ルディア「え?」
シェリアータ「なんという華やかな美貌!」
シェリアータ「ああ、むさ苦しさで胸焼けした身に沁みわたる・・・」
ルディア「むさ苦しい? 胸焼け?」
ルディア「・・・もしやあなた、私のアートデュエラーにご不満が?」
シェリアータ「え?」
ルディア「私はチーム・マソパリスターを率いる、リチェラー公爵家のルディアと申します」
  この人が・・・!
シェリアータ「お目にかかれて光栄です」
シェリアータ「フレイロゼ伯爵家のシェリアータと申します」
シェリアータ「あの剛健なチームのパトロンが、こんなに美しく可憐な方とは!」
ルディア「おやめくださいます?」
ルディア「チームと私の外見は関係ありません」
ルディア「美しさに惑わされる軟弱な価値観を、私は軽蔑しておりますの」
シェリアータ「申し訳ありません、軽率でした」
シェリアータ「でも・・・あまり罵らないでください」
ルディア「あら。私罵ってなんて」
シェリアータ「それ」
シェリアータ「ご褒美ですから!」
ルディア「は?」
シェリアータ「高貴な美女の見下す視線・・・最高」
ルディア「えぇ・・・」
シェリアータ「わかってます私ヘンですよね!」
シェリアータ「だからあまり刺激しないでください・・・!」
フランロゼ伯爵夫人「ルディア様!うちのバカ娘がとんだご無礼を!」
フランロゼ伯爵夫人「どうぞお許しくださいませ」
ルディア「フレイロゼ伯爵家はご苦労が多そうね・・・」
フランロゼ伯爵夫人「お前、サロンのトップスターになんてことを!」
シェリアータ「ご、ごめんなさい」

〇ファンタジーの学園
  アートデュエルのトレンドは私の好みと正反対
  勝ちたいけれど、心に背けばお兄様を否定することになる。
  私はどうすれば・・・
シェリアータ「あれは騎士の演習場ですか?」
フランロゼ伯爵夫人「そうね。今は見習い中心のようですが」
フランロゼ伯爵夫人「あら、あんな細い騎士さんもいらっしゃるのね」

〇荒れた競技場

〇ファンタジーの学園
  細身の 顔のいい男が
  全力で 汗を流して

〇ナイトクラブ

〇ファンタジーの学園
  この、記憶は・・・?

〇ナイトクラブ
  あれは、私?
  そして・・・
  私の、推したち!!

〇ファンタジーの学園
シェリアータ「あああああ!!」
フランロゼ伯爵夫人「どうしたの、シェリアータ!?」
  思い出した、あのときめき。
  イケメンと呼ばれる顔のいい男が乱舞する、めくるめくステージ。

〇渋谷のスクランブル交差点
  私は確かに、違う世界で生きていた。

〇ファンタジーの学園
  どうしてこうなったかは思い出せないけど・・・

〇ナイトクラブ
  そりゃ、あんなの知ってたら今の世界は退屈に決まってる!

〇ファンタジーの学園
  この世界には、イケメンが足りない。
  イケメンの笑顔が、圧倒的に足りない!
フランロゼ伯爵夫人「どこへ行くの、シェリアータ!」

〇荒れた競技場
イジ・ワル「弱ぇなぁ もっと食って筋肉つけろよ」
騎士見習いの青年「くっ・・・!」
イジ・ワル「なんだその目は?」
セン・パイ 「ナヨ男のくせに騎士志願など、身の程を知れよ!」
騎士見習いの青年「・・・」
シェリアータ「あの」
イジ・ワル「何だ?」
  私のイケメンセンサーが告げている
  とりあえずこの男は、キープしておかねば!
シェリアータ「貴方」
シェリアータ「私のアートデュエラーにならない!?」
騎士見習いの青年「は!?」

〇豪華な客間
ルディア「・・・」

〇大広間
  あの娘・・・
  ミーハーに美しいものを尊ぶあの目線

〇渋谷のスクランブル交差点
  ・・・あの世界を思い出す

〇豪華な客間
  やっと自由になれたのに・・・
ルディア「イケメンなんて」
ルディア「大嫌い」

次のエピソード:第02話 イケメンが並んでいる!

コメント

  • シェリみたいな主人公大好きです🥰
    そして、立ち絵に演出にスチルに…ひたすら目が幸せです😍
    画面からお話運びにいたるまで洗練されていて、ケラケラ笑いながらウットリさせていただきました🙏✨

  • 主人公から感じるパッションが半端なくて掴まれました😆
    また、マソパリスターを見て白目をむくシェリアータなど、キャラの一挙手一投足が楽しいですね😄
    主人公の対比としてのルディアの存在や、前世との因縁など、先が気になるポイントが多いですが、やはり、イケメン文化0の世界でどう価値観をひっくり返すのか……プロデューサー令嬢の手腕に期待です‼️

  • 騎士様格好良すぎです。戦ってる姿のスチル最高でした😆
    まさか二人とも転生者だったなんて。面白い対比ですね
    フトメンが人気の世界でどうイケメンが逆転するか気になります

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