#6 シークエンシング・エラー(脚本)
〇洋館の玄関ホール
舘マモル「タイコの首を絞めた犯人は」
舘マモル「アナタね!!」
伊集院コマチ「エエッ!?」
舘マモル「DNAのエラーのように」
舘マモル「複製の過程でズレが生じたようね」
街田シノグ「マモル、悪いけど」
街田シノグ「ついさっきまで、コマチは私に事情聴取されていたの」
街田シノグ「タイコの犯行は無理よ!」
舘マモル「取り調べの詳しい時間を教えて」
街田シノグ「2時間前にクレオを1時間程聴取して、クレオと入れ替えでコマチの順よ」
街田シノグ「普通なら」
街田シノグ「10分前のタイコの悲鳴を聞いて、第一発見者がクレオなんだから」
街田シノグ「疑うべきはクレオじゃないの!?」
財前クレオ「失礼な!」
財前クレオ「私は部屋が1番近かったから、 最初に駆けつけただけよ!」
響スイ「確かに」
響スイ「正味1時間弱でタイコの意識を失わせて、ココまで運ぶ」
響スイ「若しくは、この舞踏会場まで誘い出して首を絞め、」
響スイ「剛力キョウカの模倣現場を仕立てあげるなんて」
響スイ「女のコ1人じゃ無理だね」
響スイ「1人じゃ・・・ね!」
舘マモル「先ずこの事件が、剛力キョウカ殺人事件及びその模倣事件とは」
舘マモル「違う性質を持っている、という点に着目しなければならないわ」
街田シノグ「どういう意味よ?」
舘マモル「過去の事件には無かったことがあるのよ」
舘マモル「『透明な殺人事件』の犯人ならば、残さないミスリードを犯している」
舘マモル「例えば──」
舘マモル「階段の手摺に結ばれたロープ」
舘マモル「クレオさんが言ったように、自殺にも見えるような結び方ね」
舘マモル「次にハイヒールの足跡よ」
舘マモル「今までは踵が付かない足跡が必ずあったのに、今回は無いわ」
舘マモル「あと1つは」
舘マモル「被害者の首に残された、ロープの痕跡」
舘マモル「エリザの首の痕跡と比べるわね」
舘マモル「エリザが首の右側に濃い痕跡があるのに対して」
舘マモル「タイコは左側の痕跡が強く残っているの」
舘マモル「コレは今までの事件とも符合しない!」
舘マモル「つまり、犯人は左利きの人物!」
舘マモル「私は右手首に腕時計を付けているコマチさんが怪しいと思っている」
伊集院コマチ「たまたま今日は、 右手首に時計を付けただけよ!」
舘マモル「だとしたら、その手首に時計の日焼けは出来ないわね」
舘マモル「尚且つ」
舘マモル「この現場に残された甘い匂い」
街田シノグ「微かに・・・甘いガスみたいな匂いがするわね」
舘マモル「笑気ガスなんかの麻酔ガスには甘い匂いが付けられているわ」
舘マモル「麻酔ガスで酩酊させ、その隙にタイコの首を絞めた──」
舘マモル「アナタはたしか医療法人グループの理事の娘さんだったわね?」
舘マモル「もしかしたら麻酔ガスの取り扱いにも詳しいのでは?」
財前クレオ「オカシイわよ!」
財前クレオ「コマチがタイコを眠らせて首を絞めたとして」
財前クレオ「その後、コマチが街田刑事に事情聴取されている最中に」
財前クレオ「タイコの悲鳴が聞こえましたわ」
財前クレオ「時間の辻褄が合わないんじゃなくて?」
伊集院コマチ「そっ、そうよ。言いがかりだわ!」
舘マモル「あの悲鳴がタイコのものだと、どうして分かるの?」
財前クレオ「アナタ、何を仰っているの?」
財前クレオ「ココに居る全員が聞いているのよ!?」
舘マモル「例えばクレオさん、アナタが意識不明で倒れているタイコに」
舘マモル「ロープをかけ、スマホの画面を割り、ハイヒールの跡をつけた後に」
舘マモル「アナタ自身が悲鳴を上げたとしたら」
舘マモル「話は変わってくるわよね?」
財前クレオ「けっ、刑事如きが偉そうに!」
財前クレオ「そこまで言うからには、全員を納得させられる証拠があるのよね?」
財前クレオ「口から出任せなら、二度と刑事として仕事が出来ないようにしてあげるわ」
舘マモル「ナナコさんは、 何か見つけたみたいね?」
菜七子(ナナコ)「アッ、ハイ!」
菜七子(ナナコ)「さっき、クレオさんの落としモノを拾ってしまいました・・・」
財前クレオ「お、落しモノ!?」
菜七子(ナナコ)「舘刑事がコマチさんを尋問している時に」
菜七子(ナナコ)「柱の陰にそっと落としましたよね?」
財前クレオ「ソレは」
財前クレオ「私が部屋で『タタンガリ』をプレイしていた時に悲鳴が聞こえたから」
財前クレオ「慌てて、持ってきてしまったのよ!」
財前クレオ「今は手に持っていたら、タイコを介抱するのに邪魔だと思って」
財前クレオ「柱の陰に置いただけなの!」
舘マモル「あくまで、コレはアナタのゴーグルだということね?」
財前クレオ「もちろんよ!」
財前クレオ「悲鳴を聞いた後に、部屋からそのまま持って来たんだから間違いないわ!」
菜七子(ナナコ)「あのう」
菜七子(ナナコ)「横槍を入れて申し訳ないのですが」
菜七子(ナナコ)「このVRゴーグルは、皆様に私どもが用意した、製造番号入りの特注品なんです」
菜七子(ナナコ)「キャストの好みに合わせたPVRが展開出来るように、」
菜七子(ナナコ)「あらかじめ、追加の衣装や小物をプログラミングしています」
菜七子(ナナコ)「製造番号と持ち主は紐付けていますので」
菜七子(ナナコ)「もし、入れ替わっても持ち主が分かるようにしているんです!」
財前クレオ「・・・!!」
舘マモル「ナナコさん、因みにこのゴーグルの持ち主は?」
菜七子(ナナコ)「タイコさんです!」
財前クレオ「ウッ・・・」
舘マモル「恐らく、タイコは『タタンガリ』をプレイ中に麻酔ガスで酩酊状態にされ」
舘マモル「コマチに首を絞められた」
舘マモル「意識が無くなったところで、クレオと交代して」
舘マモル「クレオが剛力キョウカ事件の模倣現場を作った」
舘マモル「後は思い切り悲鳴を上げて、第一発見者を装えば良い」
舘マモル「でも、自殺に見せかけたつもりだったのに」
舘マモル「VRゴーグルが頭に付けたままだった」
舘マモル「だから、慌てて隠そうとしたのね」
財前クレオ「ウウウ・・・」
響スイ「あ〜ッ、ゴメンね!」
響スイ「皆に言い忘れていたけど」
響スイ「AI監視カメラのアルゴリズムに干渉する動きがあったから、」
響スイ「アナログな定点カメラを3人の部屋の前に置かせて貰っているんだ」
響スイ「大事なファンの身に何かあったら困ると思ってね〜」
舘マモル「ナイスアシスト!」
舘マモル「それなら、タイコが部屋を出る時に1人だったのか、」
舘マモル「クレオが悲鳴を聞いてから部屋を出たのかが一目瞭然ね!」
響スイ「もしかしたらマモちゃんの推理を裏付ける証拠になるかもね!」
伊集院コマチ「そんな・・・!!」
財前クレオ「コマチが全部悪いのよ!」
財前クレオ「Petロスの話に乗るなんて言うから!」
財前クレオ「私、もうこんなのイヤ!」
街田シノグ「待ちなさい!」
〇洋館の廊下
舘マモル「待てッ!!」
舘マモル「キャッ!?」
舘マモル「いつの間に先回りしたのッ!?」
財前クレオ「ヒーちゃんッ!!」
財前クレオ「ヒーちゃんなら、分かってくれるでしょ?」
財前クレオ「私はヒーちゃんのために、全てを捧げたの・・・」
響スイ「逃がさない」
財前クレオ「エ・・・?」
響スイ「答えは」
響スイ「聞いていない」
財前クレオ「アナタは・・・」
財前クレオ「私の知っているヒーちゃん・・・よね?」
〇黒
〇おしゃれな居間
菜七子(ナナコ)「・・・」
菜七子(ナナコ)「コレで一件落着・・・なんですかね?」
響スイ「ナナコさん、お手柄だったね!」
響スイ「流石、俺の海水魚♥」
菜七子(ナナコ)「コバンザメじゃねえよ!」
響スイ「持続する、変わらない吸引力♥」
菜七子(ナナコ)「高機能掃除機かよッ!」
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マネージャーさんがずっとヒビキと仲良すぎ息合いすぎでこれ勝ち目ある…?と思ってたらめちゃくちゃあっち側で笑いました。まあ登場人物の人数的にそうか……
聖書っぽいとは思ってましたがまさか怪しげハンネとそう結びつくとは……シンプルにうおえ?!(謎悲鳴)となりました
いやー 矢継ぎ早の展開ですごいです!
推理物を考える頭はないので、全く尊敬しております!!
トリックにしろ 聖書の知識にしろすごいものですね〜!
全くわからないので、 ただただ感心して見守るしかないです🙇💦
あれ…? 7人のうち4人脱落ということは、
もう犯人ナナコさんだけ?と思ったら共犯のようですね。
ヒビキもなんだか怪しいし、遅れてやってきたシノグも……😂