鬼面人の唐紙

キリ

-侍の上司-(脚本)

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〇村の広場
男子「うえええええええんっ!」
男子「お母ちゃああ~~ どこぉ~~~!」
唐紙「泣かないでおくれよ、ほら!べべろばぁ」
男子「お兄ちゃん顔見えないよ~~ うえええええええん!」
唐紙「ああ...それもそうか」
唐紙「いまお侍様が母上殿を探してるから...!」
男子「うえええええええんっ」
唐紙「はわわわっ; ; ;」
「唐紙殿」
環「見つけてきたぞ」
母「っよかった~」
男子「はっ、お母ちゃん!」
  親子は抱擁し、喜びを分かち合った
母「あの、お名前をお伺いしても?」
唐紙「オイラ鬼...」
環「うわわっ!か、唐紙だ!」
母「唐紙さんね、がんばってください!」
環「・・・」
環(子供を、喰わなかったのか...)
環(双方に分かれる必要があったのだが、 母親を見つけに行く側にまわったものの)
環(子供も無事で何より...)
環(そういえば鬼を見たという情報はあったが襲われたという人は居らなかったな)
環(もし、その鬼が唐紙殿だとしたら...)
環(鬼だけを襲う、"共食い鬼" とでも言うのだろうか...)
環「はぁ、唐紙殿」
環「"鬼"だと言うことは、誰にも言わぬほうが 身のためだと思うぞ」
唐紙「あ...」
唐紙「...うん!気を付けるよ」
唐紙「そう忠告されたのははじめてだ」
唐紙「かたじけないな、エヘへっ//」
環「...っ」
  唐紙殿はいま、環の補佐となっている
  それは、花見のあと──

〇桜並木
  唐紙殿は、神にお願いした
唐紙「あ」
唐紙「そうだ はげ、こいつの殺陣を 受けてはくれぬか?」
なまはげ「侍の剣を受け止めろと? それは危ういな...」
唐紙「そんなビビるこたねえ、この通りだ」
なまはげ「・・・良かろう」
環「お、おい、良いのか?」
なまはげ「来い!」
環「では...」
環「タアッ!」
なまはげ「うむ?...」
環「なっ...」
なまはげ「・・・」
なまはげ「かすり傷だな」
唐紙「これがお前の実力だぞ」
環「そんなはずは...」
なまはげ「これでは鬼どころか、人すら斬れぬな」
環「っ...」
唐紙「・・・」
唐紙「その殺陣、上司とやらに 教わったと言ったな」
唐紙「そやつに会わせろ」
環「...可能だが、何をするつもりだ」
唐紙「潜入だ」

〇村の広場
  上司に会うためだけに、
  1日 環の補佐として侍となった
  潜入とは言え、唐紙は堂々と努めていた
上司「お勤め、ご苦労であった」
上司「ほれ、駄賃だ」
唐紙「おお~~✨✨✨✨✨」
唐紙「面白いな~お侍様って♪」
環「駄賃は何に使うのだ?」
唐紙「ん~」
唐紙「ん~~~~」
唐紙「んー ー ー ー」
環「そんなに悩むことか?」
上司「唐紙殿は、趣味とかないのか?」
唐紙「例えば?」
上司「たとえばー...」
上司「"人間"...かな」
唐紙「・・・」
上司「人間観察ってのは、職業病でな 色々あるな~っと」
上司「唐紙殿も、そういうのはねえのか?」
唐紙「・・・じゃあオイラ、」
唐紙「お侍様みたいに、剣を教わりたい!」
上司「ほほうそうか」
上司「では俺が叩き込んでやろう」
上司「覚悟しろよ~」
唐紙「望むところじゃ! ありがとう!上司殿!」

〇広い和室
上司「手は持ち手の部分を掴み、刀は真っ直ぐ 敵の方を向けるんだ」
唐紙「は、はいっ!」
上司「突いてみろ」
唐紙「おりゃ!」
上司「いいじゃねえか」
唐紙「あ!あと、」
唐紙「刀を振りかざすやつ、やりたい」
上司「振り上げか、いいぞ」
上司「じゃあ上に刀をあげて」
唐紙「はいっ!」
唐紙(こいつを)
唐紙(今なら...)
唐紙(殺れるっ...)
唐紙「っ..! ?」
環「つっ...」
  上司の隙を狙い、振り上げた刃を真下に
  勢いよく振り落としたが
  唐紙の刃に歯止めをかけたのは、環だった
唐紙(こやつっ...)
上司「あっぶね...」
上司「唐紙殿、筋がいいらしいな」
上司「その練習用の刀をあげたいくらいだが」
上司「もうちょっと、先になりそうだな;」
唐紙「っ...」
環「...っ」
上司「・・・」
上司「稽古はこれでお開きにしよ」
上司「慣れないことに疲れが溜まったろ」
上司「ゆっくり休め、二人ともな」

〇村の広場
唐紙「ごめん、さっきオイラ...お侍様の上司を」
環「何も言うな」
環「企みがあるのだろ?」
環「だが、実行する時ではない」
環「そう、言葉無しで伝えたまで」
環「許せ」
唐紙「...信じるの?オイラを」
唐紙「オイラはいつか、お侍様を...っ」
環「どんなことが起きても」
環「私は、唐紙殿のことを」
環「信じる」
唐紙「っ! !」
  ほらな
  だから、関わったらおしまいだって
  分かってたろ?

〇黒
  "人間を殺した鬼"だというのに、
  それを知らないやつは、
  みんなオイラを毛嫌いせぬわ

〇村の広場
「うああああああああっっ」
「っはははは...」
「おい!そこで何してる!」
  人を傷つけ、笑いがこぼれている
  シーンを村人に見つかった
  それでもなお、計画通りとでも
  思ったように、ニヤリと笑い、
  人体の一部を喰い契り、
  暗がりに姿を消した━━

〇寂れた村
  翌朝、村の中心に刺さった看板には
  見出しが記載されている
  そこに記載されていた内容は、環の目にも
  止まり、仕事柄読み進めると
  "人体の一部が噛み契られたような傷在り"
  "目撃者が云う 昨夜二本角の鬼が、
  一枚紙を身につけており、笑い顔在り"
環「...?」
環「こ、これは......」
「お侍様ぁ~」
唐紙「おはよぉ~」
環「フッ!」
  寝ぼけ眼の唐紙は、素早く行動した刃の
  スピードに、顔の一枚紙が揺らいだ
  その合間から見える唐紙の頬に、
  一直線の血が流れ落ちた
  地面にしりもちを付いた
唐紙「っ...た...まき...どの...? ?」
環「唐紙殿.......これは...どういうことだ」
  唐紙はなんのことかさっぱりだった
  風が吹き、看板の記事が、用紙になった
  バージョンの記事が、唐紙の顔にあたり
  環が読んだものと同じ内容を読み、
  冷や汗をかいた
唐紙「なにこれ...」
唐紙「違う、これはオイラじゃない! !」
環「嘘を、つくのか...?」
環「鬼は...っ」
環「嘘をつかないと言っていたではないか!」
環「しらを切るというのなら...」
環「ここで"貴様"を斬る! ! !」

次のエピソード:-殺陣-

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