母を肯定できなくてー宗教2世の記録ー

咲良綾

ep8.上京と解放(心のままに生きる喜び)(脚本)

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〇渋谷のスクランブル交差点
  10月、東京での生活が始まった。
  派遣で働き、週一でスクールに通う。

〇女性の部屋
  初めての一人暮らし・・・
  パートナーがいて禁欲的だった
  あの生活とは違う。
  すごい。何やってもいいんだ。
  漫画読んでも、ゲームしても、誰を呼んでも、何時に帰っても、自由・・・
  宗教の干渉も圧も何もない・・・
坂下明菜「自 由 だ ~ !!」

〇渋谷のスクランブル交差点
  東京、すごい!
  派遣の仕事先は大企業だし、
  イベントいっぱいあるし、
  電車で大抵のところに行けるし、
  思い立ったときに遊ぶ人がすぐ見つかる。

〇幻想
綾姫「仕事終わった、新宿周辺で誰か飲まない?」
海月「行くー!」
綾姫「誰かリフレの練習台にならない?」
「はーい!」
綾姫「猫カフェ行こう!」
「行くー!」
綾姫「近場でお祭り、誰か来ない?」
「行くー!」
DOM「バーベキューやろうぜ!」
「肉ー!」
DOM「おでん大会だ!」
「酒ー!」
DOM「行きつけのうまい店に連れて行くよ!」
綾姫「わーい!」
DOM「牡蠣食いたい!オイスターバー行こうぜ!」
綾姫「行くー!いつ?」
DOM「12月24日!」
綾姫「・・・ん?」

〇おしゃれなレストラン
  異性の友達とクリスマスって、普通なのかな?
  恋人がいたら一緒に過ごすっぽいけど
  一般的な感覚がわからん。
  まあ、いいか。
  牡蠣めっちゃうまいし

〇電車の中
綾姫「あ、もうすぐうちの最寄り駅ですけど、 お茶飲みに寄ります~?」
DOM「行くー!」
「あっ、帰ります」

〇駅のホーム
綾姫「・・・んん?」
  何か、くっつけようとする圧を・・・
  感じる・・・?

〇女性の部屋
  いや、2人でいても特に変なことにはならないし、緊張もしないけど・・・
  この人、わたしの事情も知ってるはずだし

〇桜並木(提灯あり)
DOM「みんなで花見だー!」
「飲むぞー!」
「食うぞー!」
DOM「膝枕~っ」
綾姫「ちょっ・・・!おいおい、大丈夫?」
綾姫「寝てるし・・・」
綾姫(DOMさん、お酒回るの早い。顔色悪い)
綾姫(これ、マジで体調悪くない? 最近仕事が激務だったもんな・・・)
綾姫(準備のために無理したんだろうな。 お酒から隔離して寝かせてあげたいけど・・・)
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
  なんかニヤニヤされてる。
  いたたまれない・・・けど心配で放り出せない
  なんだろ、この立ち位置?

〇川沿いの公園
  うーん・・・
  違和感はないけど、やっぱり曖昧なのって良くないよな・・・
  ライバル視してるらしい女の子もいるし
綾姫「・・・あの」
DOM「ん?」
綾姫「付き合ってないのに二人で会うのは、 やめませんか・・・?」
DOM「!」
DOM「・・・それは嫌だ」
綾姫「二人で遊ぶのは楽しいけど、いらぬ誤解を招くというか・・・わたしもどうしたらいいか」
DOM「じゃあ付き合おう!」
綾姫「わたし、家がややこしいの知ってますよね?」
DOM「宗教、綾さんはやめたいんでしょ?」
綾姫「そうだけど」
DOM「じゃあ、それでいいじゃん。 俺は、綾さんのこと好きです」
綾姫「あの・・・わたし、やめても家族に縁は切られたくないから、フェードアウトにしたくて」
綾姫「婚前の体の関係はNGですけど」
DOM「別にいいよ」
綾姫「・・・」
綾姫「じゃあ、よろしくお願いします」
DOM「うん」

〇女性の部屋
  1ヶ月後
DOM「結婚しよう!」
綾姫「早っ!」
  家を出て、7ヶ月。
  わたしの人生は大きく舵を切った。

〇黒
  宗教を離れて、排斥にならない穴がある。
  自然消滅。
  活動に参加せず、
  徐々にフェードアウトすること。
  わたしは一時休憩のような形を取りつつ、
  この自然消滅を狙っていた。
  しかし在籍は解かれていないため、家族の前で教義に反することをすれば排斥に繋がる。
  活動をやめても、
  普通に生きるハードルはまだ高い。
  だがここにも、ひとつの穴がある。
  婚前の性行為は排斥に該当するが、信者でない人と結婚しても排斥にはならない。
  親兄弟と縁を切らず、最も穏便に自然消滅するには恐らく最善の道、それが───
  非信者との結婚。

〇女性の部屋
  結婚したい人がいます。
  宗教内の人ではありません。
坂下明菜「送信・・・」
坂下明菜「お母さん、ごめんなさい・・・」
坂下明菜「はい」
坂下百合子「メール見ました。 明日そっちに行くから、相手の人に会わせて」
  明日!?
坂下明菜「わかった、聞いてみる」
  母が、胸を痛めている。
  胸が痛い。
  でもわたしは、決別する。
  自分を幸せにするために。

次のエピソード:ep9.決別と結婚【最終回】

コメント

  • まさに青春がやってきた!
    こんなことがあったんだなあと、あの頃を思い出して感慨深いです。
    宗教の教義にもいわゆる穴の様なものがあって、そこに嵌まることで自然消滅への道が続いていたんですね。
    自分で選択できる人生って素晴らしい✨

  • おおお、一気に楽しそうで良かったー!
    ポニテの子はやっぱり海月ちゃんだった!
    とすると、もう1人のひとつ結の女性は、肌年齢つやつやのあの人かな?😊
    クリスマスの「まあいいか、牡蠣うまいし♡」は、くすりとしましたw 綾さんらしい…w

  • お母さん行動早い!
    違う意味での修羅場になるのか?
    DOMさんガンバレー!

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