母を肯定できなくてー宗教2世の記録ー

咲良綾

ep5.ネット友達(別コミュニティの救い)(脚本)

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〇女の子の一人部屋
坂下明菜「源氏物語解説サイトに平安紋様サイト・・・」
坂下明菜「素敵~!感想伝えたい」
坂下明菜「ハンドルネーム・・・平安ぽく綾姫にしよう」
  しかし、距離感がわからん・・・
  信者同士だといきなり0距離で、親切をあてにするのが常識だもんな
  男尊女卑が激しくて男女交際に厳しいから、特に男性への感覚が掴めない
  とりあえず褒め言葉をかけてたら
  間違いないよね
  普段交流のない人の色んな意見が面白い
  同調したり、驚いたり、首をかしげたり
  まだ違う見解を見るたびに揺らいで自分の意見がわからないけど、探していける気がする
  聖書の真理じゃない、自分の真理。

〇レンタルショップの店内
坂下明菜「パソコンソフトコーナー、色々あるんだな」
坂下明菜「ん?何これ」
坂下明菜「『恋愛SLGツクレール』?どきどきメモリアルみたいなゲームが作れるってこと?」
坂下明菜「うわー、作ってみたい!」

〇女の子の一人部屋
坂下明菜「うーん、マニュアルが不親切でわからない。他に同じソフト使ってる人はいないかな」
坂下明菜「お、いた! すごい、この人もうRPGの完成品もある!」
坂下明菜「このJunoさんっていう人に質問してみよう」
  これが、運命の出会いだった。

〇女の子の一人部屋
坂下明菜「ゲーム完成おめでとうございます!」
Juno「ありがとう~♪」
  ゲーム制作を企画して、完成まで持っていけるのはごく一部。
  Junoさんは完成力がずば抜けて高く、姉御肌で反応もまめなので慕う人が多い。
  世間知らずのわたしはすっかり頼りにして、後輩として可愛がられていた。
Juno「ゲームの声優やってくれた劇団の子たちが、 今度舞台やるんだよ」
坂下明菜「いいな、舞台って見てみたい! 熊本でそういうのあんまりないんですよね」
坂下明菜「わたし次の仕事が見つかるまで暇だから、この機会に旅行とかしてみたくて」
坂下明菜「東京、行きたいなぁ・・・」
Juno「綾りんが来るならうちに泊まってもいいよ」
坂下明菜「えっ!?本当ですか?」
  そのままトントン拍子に東京旅行が決定した。

〇女の子の一人部屋
坂下明菜「Junoさんのところに遊びに行くって言ったら、Aさんが街を案内させてくださいって」
坂下明菜「Junoさん、どうしましょう?」
Juno「・・・綾りんが行きたいなら行ってください。わたしは行きません」
坂下明菜「え?わたし、何か失礼なことしましたか?」
Juno「綾りんじゃなくてAさんに怒ってます」
Juno「綾りんはうちのお客様なのに! 無断で横から誘うなんて」
坂下明菜(え・・・えええええ? わたしを取られて、怒るの!?も、もしかして)
坂下明菜(Junoさん、わたしのこと大好き!?)
坂下明菜(旅行に行くわたしを世話するの、 めっちゃ楽しみにしてくれてる!?)
  常に自分は取るに足りない、罪深い存在だと思い続けていたわたしには衝撃だった。
  情けをかけられ存在を許されるのではなく、まるで宝物みたいに扱われる感覚。
坂下明菜(・・・・・・ あ・・・う、嬉しい・・・)
坂下明菜「Junoさんの方が大事なので、 Aさんにはお断りしますね」
坂下明菜「・・・」
坂下明菜「あ、返事きた」
Juno「やっぱりAさんに案内してもらってください」
坂下明菜「え?」
Juno「妊娠が判明しました」
坂下明菜「ええええええええ!?!?」
  Junoさんは既婚で、夫婦二人暮らし。
  長らく待ち望んだ、待望の第一子だ。
坂下明菜「じ、じゃあ、負担かけるから中止した方が」
Juno「泊まってもらうのは大丈夫。ただあちこちウロウロするのは控えたいから」
坂下明菜「あああああ・・・! おめでとうございます・・・!」
Juno「ありがとう!」

〇駅前広場
坂下明菜「Junoさんですか?」
Juno「綾りん? きゃー!いらっしゃい!」
坂下明菜「今日はお世話になります! ご懐妊おめでとうございます~!」
Juno「うん、赤ちゃんここにいるよ~!」
  ネットの友達と本格的に仲良くなって、
  オフでも繋がり始めた。
  わたしが素のまま過ごせる世界が
  広がっていく。

〇女の子の一人部屋

〇幻想
Juno「次はねー、戦隊ものの恋愛ゲームにしようと思ってるの」
綾姫「何それ、面白そう!」
  あれからわたしもゲームを完成させ、共同製作作品も作った。
  交流はどんどん活発になっていた。
Juno「コミュニティサイトのマクシィ、面白いよ!綾りんも招待するね」
綾姫「わー、日記とか書いて交流できるんだ。 サイト巡るより楽でわかりやすい!」
くさかなこ「マイ友お願いします」
綾姫「あ、Junoさんのところでよく見かけるくさかなこさん。お願いします!」

〇女の子の一人部屋
坂下明菜「あっ・・・男性にマイ友申請された。 どうしよう」
坂下明菜「・・・Junoさんと繋がりがあるのか」
坂下明菜「それなら大丈夫かな」
DOM「マイ友承認ありがとうございます。 DOMといいます!」
坂下明菜「なんだこの人の日記、めちゃくちゃ面白い!」
坂下明菜「ちょっと下品だけど」
Juno「綾りんはピュアなんだから、 セクハラしたら許さないよ!」
坂下明菜「ふふ、Junoさんのガード、頼もしい」
  宗教の他に居場所ができた。
  組織の外は、怖い場所じゃなかった。
  この人たちを滅ぼす神なんていらない。
  そもそもずっと信じてなかった。
  ハルマゲドンは来ない。
  地上の楽園での永遠の命なんてない。
  でも、母は心から信じてる。
  わたしは母を愛してる。
  もう、決めてるんだ。
  母を悲しませないために擬態して、
  隠れてほどほどに趣味を楽しんで、
  わたしは人生を棒に振る。

次のエピソード:ep6.恋愛シャットダウン(認知の歪み)

コメント

  • 繋がりがある人々の歴史を見た!って感じです💕
    いい出会いが誰かを救う事ってあるんですね。

  • あ、出てきたw
    交流会の姿のまんまでwww
    Junoさんとラブラブじゃないっすかwww
    そうかー、Junoさんとはエーデルからだけど、綾さんとはマクシィからでしたっけ…ちょうど、「綾さんとはいつから交流があったっけ?」と思っていたです。
    東京旅行は親からの反対とかありませんでしたか? そこだけ不思議です。

  • うおー、嬉しい! 恋シミュが繋いでくれたご縁! あの時は本当にヤキモチ焼いたんだよね。「こっちが案内したくて色々お店とか調べてたのにあのやろー、横からかっさらっていきやがって!」ってw かなりプンスコして言葉も荒かったの反省です(^▽^;
    見覚えのある名前もいっぱい出てきた♪

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