【三人目】目貫き通りは、お見通し(脚本)
〇古民家の居間
紺帯の子「妖刀”菖蒲”」
紺帯の子「ってなに」
草色の帯の男「なんだよ 知らないのか」
草色の帯の男「妖刀”菖蒲”を持つと」
草色の帯の男「”持ち主を 斬り殺しちまう” と言われてる」
紺帯の子「おっかねえな ほんとかよ」
草色の帯の男「本当なわけないだろう」
草色の帯の男「だが ある事件が起きてな 変な噂がたっちまった」
〇屋敷の大広間
"菖蒲"はある夫婦の
祝儀の武具として 拵えたが
その日を境に 優しかった旦那が豹変
嫁に暴力を振るうようになり
とうとう 嫁の首を斬り落としてしまったそうだ
それから"菖蒲"は
”嫉妬深い女の残留思念が残っている”だの
”刀の持ち主を 斬り殺しちまう”だの
言われるようになった
〇古民家の居間
草色の帯の男「そっから尾ひれがついて あることないこと言われてな」
草色の帯の男「おかげで 俺の作った刀はすっかり 売れなくなった 今じゃ包丁職人だよ」
紺帯の子「噂のせいで 仕事がなくなっちまったのか」
紺帯の子「あんた可哀想だな」
草色の帯の男「いや 一番可哀想なのは"菖蒲"だよ」
草色の帯の男「あいつを愛してくれる 人間は誰もいないんだ」
〇古びた神社
紋付き袴の男「あの~スイマセ~ン」
旦那の父親「何か」
紋付き袴の男「あの~この家に菖蒲って女は来ませんでしたかね~」
旦那の父親「知りませんよ どちらさん」
旦那の父親(菖蒲と聞くと あの刀を思い出して身の毛がよだつ)
紋付き袴の男「えはぁ~ あ そーだ そーだ 名前だけ言っても分からんですよね~ 凄くきれ~な女で~」
旦那の父親「何を言ってるのか知りませんが ここは神聖なる山伏が修行をする地です」
旦那の父親「早々にお帰り下さい」
紋付き袴の男「え 山伏?神聖?」
紋付き袴の男「このボロ屋敷が〜?」
旦那の父親「失敬な 元は立派だったんだ」
旦那の父親「しかし妖刀"菖蒲"のせいで」
紋付き袴の男「やはり "菖蒲"はここに来たんですね~」
旦那の父親「帰れ 大事な跡取り息子を失ったばかりなんだ」
紋付き袴の男「へぇ~ そうですか そうですか~」
紋付き袴の男「まあ~ それもしょうがないですよ~」
紋付き袴の男「”菖蒲”は”持ち主を 斬り殺しちまう” 刀ですから~」
〇城下町
菖蒲「それで 次斬りたい男は何処にいるの」
嗚呼 そいつは
赤い着物の男「アッブねーな 気をつけろや」
赤い着物の男「早く行かねーと 始まっちまう」
男装の女「・・・」
男装の女「それで 次の男は」
男装の女「あら」
男装の女「刀がない」
茶色い着物の男「さぁさ 始まるよ 早く 入った 入った」
男装の女「何が 始まるの」
茶色い着物の男「何って へへへ」
茶色い着物の男「わざわざ言わせるタァ あんた人が悪いね」
茶色い着物の男「丁半だよ 丁半博打」
男装の女「ちょっと 押さないで」
〇畳敷きの大広間
賽の目は 丁(偶数)か 半(奇数)か
丁がでるか 半がでるか
よろしゅうござんすか
入ります
さぁ
張った 張った
男装の女(いた さっきの男)
赤い着物の男「えーとえとえと どーれーにしようかなーっとォ」
赤い着物の男(チラ)
緑の着物の女「・・・」
緑の着物の女(視えた)
緑の着物の女(パチ パチ パチ)
赤い着物の男(瞬き三回てことは)
赤い着物の男「分かった サンイチの丁」
丁半 コマ揃いました
勝負
結果は
サンイチの丁
赤い着物のお兄さん ご名答
茶色い着物の男「あの兄ちゃん 当てたぞ」
赤い着物の男「はっはっはぁ 見ぃろぉやぁ」
赤い着物の男「俺の勝ちだ」
緑の着物の女(ほ)
男装の女(人混みで近づけない)
男装の女(あの男から菖蒲を取り返さないと)
みすぼらしいの着物の男「見つけた」
〇古風な和室(小物無し)
緑の着物の女「お客さん この着物とても 大事にしていたのね」
白髪の女「そうなの 娘のでね」
緑の着物の女「この金額でどう」
白髪の女「あら いつも高く買い取ってくれてありがとね」
緑の着物の女「いえ またお待ちしてます」
緑の着物の女(さて今日は店終い)
赤い着物の男「ほれ」
赤い着物の男「あいってえぇ〜」
緑の着物の女「アラ あなただったの」
赤い着物の男「あいててて ってぇなあ〜 もォ」
緑の着物の女「ごめんなさい だって 急に変なところ触るから」
赤い着物の男「うわぁ~ん 着物に傷付いたらどうしてくれんだよ」
緑の着物の女「あら そんなに気に入った? 私があげた着物」
赤い着物の男「おう なんせ前はボロ着てたからな」
赤い着物の男「一生 いや末代まで大事にするぜ」
緑の着物の女「もう 調子いい事言って」
赤い着物の男「えへへへへへへ」
赤い着物の男「・・・」
赤い着物の男「いや〜助かったわ〜」
赤い着物の男「ほんとすごいな あんたの とーしのーりょく?」
緑の着物の女「しーっ 私の透視のことは 言わないでって約束でしょ」
緑の着物の女「誰かに聞かれたらどうするの」
赤い着物の男「い〜じゃね〜か 凄いことだぜ」
赤い着物の男「あんたが賽の目を透視して 瞬きで合図を送る」
赤い着物の男「俺が当てたように 見せて 後で山分け 最高だろ」
緑の着物の女「お金はいらないわ」
緑の着物の女「ね あのね ああゆうことは もう辞め」
赤い着物の男「じゃあ 行くか 餡蜜屋」
緑の着物の女「え いいの」
赤い着物の男「いいのって行く約束だったろ」
赤い着物の男「俺にはお前が必要なんだ 惚れてんだよ」
緑の着物の女「ふふふ」
緑の着物の女(いつも はぐらかせれて 行ったことなかったけど)
緑の着物の女「ん どうしたのその刀」
赤い着物の男「あ これ」
赤い着物の男(ち 透視ってのは余計な事にも気づくから鬱陶しいな)
赤い着物の男「落ちてたのを拾ったんだよ」
緑の着物の女「立派な刀ね ちょっと見せてよ」
赤い着物の男「おわっ 俺の刀に触んなよ」
〇城下町
男装の女(菖蒲 どこへ行ったの)
男装の女(菖蒲)
〇古風な和室(小物無し)
緑の着物の女「あや め」
赤い着物の男「おい おいって」
緑の着物の女「ハッ 何」
赤い着物の男「急にぼーっとするからよ」
緑の着物の女「ごめんなさい 私 物を触るとその持ち主の映像が浮かぶのよ」
赤い着物の男「へえ んな事もできんのか」
赤い着物の男(気持ちワリイ女だな)
緑の着物の女「それよりこの刀持ち主がいるみたいよ 返さなくていいの」
赤い着物の男「いいんだよ もともと俺の刀だ」
赤い着物の男「ほら行くぞ」
男装の女「ここにもいない 声は聞こえたはずなのに」
〇温泉街
緑の着物の女「それでね」
緑の着物の女「ねえ 聞いてる」
赤い着物の男「んが おう聞いてる聞いてる」
赤い着物の男「まあ色々あるけどよ お前と俺が組めばどんなことでもできる」
赤い着物の男「何にも縛られず じゆうに生きようぜ」
赤い着物の男「俺を見ろ こんっなに自由だぜ」
緑の着物の女「そうね」
みすぼらしいの着物の男「なぁおい 久しぶりだなぁ」
赤い着物の男「いひぃ 兄貴 なんでここがわかっ じゃなくて」
赤い着物の男「どこ行ってたんスか 探してたんすよ~」
緑の着物の女「この方は」
赤い着物の男「昔世話になってた 兄貴だよ」
みすぼらしいの着物の男「来い 話がある」
赤い着物の男「うひ」
赤い着物の男「悪い 後でお前の店で会おう」
緑の着物の女「えっ ちょっと」
〇森の中
赤い着物の男「うぎヒ お助け」
みすぼらしいの着物の男「おめぇよぉ その一張羅どうした」
赤い着物の男「勘弁してくれよぉ」
赤い着物の男「あの時のこと怒ってんだろ 逃げたわけじゃねぇ あれは」
赤い着物の男「ぐえっ」
みすぼらしいの着物の男「聞いてもいねえことを 勝手に話してんじゃねえよ」
みすぼらしいの着物の男「おめぇその一張羅どうしたって聞いてんだ」
赤い着物の男「げほぉ これ は さっきの女から貰ったんだ」
みすぼらしいの着物の男「ほお それじゃ こいつもか」
赤い着物の男「これは元々俺の物だったのを 取り返したんだ」
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今回も瞬殺。まさに妖刀に敵なし。
これであと一人。あと一人も気になりますが、(成功した場合の)その後も気になります…
最後の着物に触れるシーン、何も読み取ることができなかったのは彼女の能力の限界なのか、彼が着物に何の想い入れがなかったからなのか…色々と考えさせられました。
残るはいよいよ一人。復讐の先に何が待っているかも楽しみです!
彼の本性に気づかないままお別れできたので、ある意味良かった…のかな😇
それは悪い男ですね〜と噂話しながら、形見の品を彼女本人に売りつけることになるとは…皮肉がきいててシビれました😆
残り1人の男とは!?もしかして…!?楽しみです😆