ep4:デート対策は妄想武装(脚本)
〇女の子の一人部屋
川波静音「・・・・・・」
新規のトーク画面のトップに、秋夜くんのアイコンとメッセージか燦然と輝いている。
須崎秋夜「彼女になってくれてありがとう! これからよろしくね♪」
川波静音「・・・・・・・・・・・・」
マジか。これは現実なのか。
わたしが、秋夜くんの、彼女・・・?
川波静音「ひーっ!!!」
恐ろしい、恐ろしすぎる!
わけのわからない重圧に
押し潰されそうになる。
ピコン
新しいメッセージ。
美味しそうなスイーツ写真だ。
須崎秋夜「川波さん、甘いもの好き? 今度これ食べに行かない?」
・・・えっええええ!?!?!?
デデデデートっすか?
早速もういきなり、デートなんですか!?
公衆の面前にモブと王子の並びが
晒されるんですかー!?!?
いや、わ、わかってるよ、自意識過剰だって。
みんなそんなに周囲のカップル気にして
見たりしてないよね。
改造しないといけないのは、
わたしの頭の中身の方なんだ。
そ、そうだ。
こういうときこそ妄想だ。
頭の中で皮を被って、美女のつもりでいれば、
キョドらずにデートできるかも。
うん、いける。
美女のつもりになれば、
秋夜くんと並んでも・・・
〇店の入口
川波静音「秋夜くん。 ごめんね、待った?」
須崎秋夜「そんなに待ってないけど・・・ 良かった、俺が先で」
川波静音「どうして?」
須崎秋夜「こんな可愛いの1人で待たせてたら、 ナンパ野郎に絡まれちゃう」
川波静音「えっ・・・」
須崎秋夜「はぐれないように、俺の手、握ってて」
川波静音「秋夜くん・・・」
もやっ
〇女の子の一人部屋
川波静音「ん? 今の何?」
なんだか、もやもやする。
気のせいかな。
〇テーブル席
川波静音「おいしい~!」
須崎秋夜「あはは、幸せそうな顔しちゃって。 ちょっとこっち向いて」
川波静音「ん?何?」
須崎秋夜「クリームついてる」
川波静音「あっ・・・やだ、恥ずかしい」
もやもやもやっ
〇女の子の一人部屋
川波静音「うっ・・・何これ。 なんか、なんだか・・・」
違う。
美化したわたしはわたしじゃない。
・・・わたし、妄想に嫉妬してるの?
そんな・・・じゃあ
〇テーブル席
須崎秋夜「俺のも一口食べる?」
川波静音「う、うん」
須崎秋夜「はい、あーん」
〇女の子の一人部屋
川波静音「ぎゃあーーー!!!」
川波静音「やっぱり無理無理自分の姿で妄想は 耐えられない!!ひいいいい」
じゃあ、どうしたらいいの?
もう妄想で楽しむことはできないの?
〇テーブル席
須崎秋夜「おいしい? 俺にもちょうだい」
須崎秋夜「あーん」
〇女の子の一人部屋
あっ、こ、これならなんとかいけるかも・・・
主人公顔グラフィックなしの乙女ゲーム目線!
ていうか、なんで妄想してるんだっけ?
いつの間にか目的を見失ってるような気が
ピコン
川波静音「はっ。 そ、そうだ、メッセージ放置しちゃってた!」
須崎秋夜「ごめん。俺、わりと夜よわくて・・・ 眠くなってきちゃった。もう寝るね」
川波静音「あ、ああ・・・ああーっ!」
川波静音「どうしよう、妄想してるうちに デートのお誘いをスルーしちゃった、 バカバカバカ!!」
川波静音「妄想じゃなくて、現実の秋夜くんをちゃんと 見たいって言ったのに。何やってんのわたし!」
ピコン
須崎秋夜「また明日ね。おやすみ」
川波静音「ええと、ええと、 「すぐ返信できなくてごめんなさい、また明日学校で」・・・」
シュポッ
川波静音「あ、まだ入力中なのになんか届い・・・」
川波静音「・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・えっ」
いやいやいやいやうそでしょなにこれ
さすがイケメン、躊躇なく自撮りを送るパリピしぐさにカルチャーショックなんですけどちょっとそれにしても待って待って待って
自室で
部屋着で
おねむで
とろんとしたお顔で
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
川波静音「さよなら・・・地球・・・・・・」
〇地球
〇カラフルな宇宙空間
次回へ続く
ああ…ついに地球がビッグバン…
妄想に嫉妬する静音ちゃん、かわいいw
キャパオーバーww
しかしなかなか複雑な心境になってまいりましたね。恋愛初心者のもだもだがめっちゃ伝わってきます。