エピソード17 湖畔デート(脚本)
〇湖畔
エミリア「わぁっ! 綺麗な湖! こんなところがあったんですね!」
カイル「ああ。 ここなら落ち着いて休憩できるだろ?」
エミリア「はい! なんだか、とても落ち着きますね」
カイル「エミリアはいつも頑張ってくれてばかりだからな。 たまにはこうしてゆっくりする時間があってもいいさ」
エミリア「ありがとうございます」
カイル「実は街でクッキーを買ってきたんだ。 食べないか?」
エミリア「え! 本当ですか!」
カイル「ああ。ほら、好きなだけ食べるといい」
エミリア「やった~! いただきま~す!」
エミリアが嬉しそうにクッキーを食べ始める。
カイル「どうだ?」
エミリア「おいしいです!」
カイル「それは良かった」
エミリア「あの・・・、一つお願いがあるのですけど」
カイル「ん? なんだ?」
エミリア「私って、カイルさんの荷物持ちとして冒険者パーティを組んでいるじゃないですか?」
カイル「そうだな」
エミリア「それで、いつもお世話になっているので何かお返しをしたいと思っているんですよ」
カイル「別に気にしなくていいぞ」
エミリア「いえ。 そういうわけにもいかないです。 私にしてほしいことがあれば言ってください!」
カイル「してほしいことか。特にないかなぁ」
エミリア「もうっ! 何かないんですか?」
カイル「んん? それじゃあ、ちょっと俺の肩でも揉んでくれるか?」
エミリア「はい!」
エミリアがカイルの背後に回る。
エミリア「失礼します」
エミリアがカイルの肩を揉み始める。
カイル「おお。気持ち良いぞ」
エミリア「えへへ。嬉しいです」
カイル「じゃあ次は、俺がやってやるよ」
エミリア「えっ?」
今度はカイルがエミリアの後ろに回り、その小さな肩に両手を当てる。
カイル「それじゃあいくぞ!」
エミリア「ひゃんっ! そ、そこ駄目ぇっ!」
カイル「はははっ! 随分凝っているじゃないか」
エミリア「もぉっ! 変な声出ちゃったじゃないですか!」
カイル「はははっ! ごめんごめん。 でも、本当に疲れているようだから、ちゃんとマッサージをしておかないとな」
エミリア「・・・。あの、カイルさん」
カイル「うん? どうかしたか?」
エミリア「私と、これからもずっとパーティを組んでくれますか?」
カイル「もちろんだ。 エミリアの『怪力』で、たくさんの魔物の素材を持ち帰ることができている」
カイル「エミリアに渡す報酬を差し引いても、十分に黒字だ。 それはエミリアも知っているだろ? なぜそんなことを聞くんだ?」
エミリア「だって、カイルさんの『ハキ』スキルはいろんなことができるじゃないですか」
エミリア「いつか、私が不要になる日が来るんじゃないかと思って・・・」
カイル「無用な心配だな。 もし身体能力向上系や収納系の力を手に入れたとしても、エミリアは俺にとって必要な存在だ」
エミリア「えっ? そ、それって・・・」
カイル「ああ。 やはりソロだと何かと限界があるからな。 ゴーレム系の魔物が出たら、今の俺では対処できないし・・・」
エミリア「がくっ。 そうですよねぇ・・・。 やっぱりカイルさんはそういう人ですよねぇ・・・。 鈍感っていうか、なんというか・・・」
カイル「ん? なんか言ったか?」
エミリア「なんでもないです」
エミリア「・・・あれ? 湖の中に建物がありますね」
カイル「本当だ。珍しいな。 あれはなんだろう?」
エミリア「行ってみましょうよ!」
カイル「ああ」
2人は休憩を終え、再びペガサスに乗る。
そして、湖の中にある謎の建物へと向かうのだった。