エピソード11 【ギゼルside】王都への道中(脚本)
〇草原の道
時は少し遡る。
カイルがギゼルとリリサによりパーティを追放された翌日のことだ。
ギゼル「ははっ。 こんなシケた街ともおさらばだぜ!」
リリサ「まったくだわ! あんな奴が仲間だったなんて、信じられない!」
ギゼル「足手まといがいなくなった今、俺たちを阻むものは何もない。 さっさと王都に行くとするか」
リリサ「ええ。 それにしても、あの男。本当に役に立たなかったわね」
ギゼル「全くもって使えねえ野郎だったぜ」
リリサ「そうそう。 荷物持ちすらまともにできないし」
ギゼル「まあ、いいさ。 次の街では、あいつの代わりになりそうな前衛を探すとしよう」
リリサ「賛成! あの男よりも強い人が見つかるといいけど!」
ギゼル「大丈夫さ。 そんな奴はいくらでもいる。 『格闘王』の俺に『魔術師』のお前がいれば、加入希望者は殺到するだろう」
リリサ「ふふん。それもそうね!」
ギゼル「まずは王都の冒険者に行って、仲間を募ろう」
2人は好き勝手なことを言いつつ、道を進んでいく。
と、そこで、1匹の魔物が現れた。
ギゼル「ちっ。オークかよ。雑魚じゃねえか」
リリサ「しかも単体? ・・・まあいいわ。 私が魔法で攻撃する」
ギゼル「おう。任せた」
リリサ「・・・ウィンドカッター!」
リリサが放った風の刃は、的確にオークの足を切り裂く。
リリサ「今よ、さっさとトドメを刺しなさい! ・・・聞いているの!? カイル!」
ギゼル「バカ! あの野郎はもういねぇよ! ・・・おらぁっ!!」
攻撃後にスキを晒したリリサを、ギゼルがかろうじてフォローする。
そして、オークは息絶えた
ギゼル「ったく。攻撃後に気を抜くんじゃねぇよ」
リリサ「何よ。 それを言うなら、あなたもフォローが遅いのよ」
ギゼル「オークぐらい、一撃で仕留められねえのか」
リリサ「魔力は節約しないと。 また出てくるかもしれないんだから」
リリサ「足を攻撃して動きを鈍らせて、後は近接でトドメをさす。 基本でしょう?」
ギゼル「けっ。それだと時間がかかるんだよ。 もっとこう、サクッっと倒せれば・・・」
リリサ「はいはい。 文句ばっかり。 そう言うなら、あんたが最初から前衛として戦って倒せばいいじゃない」
ギゼル「うるせぇな。 俺はパーティリーダーなんだから、ケガでもしたら大変だろ」
リリサ「何よ、2人しかいないんだからリーダーも何もないでしょ。 女の子ばかり戦わせて、恥ずかしくないの?」
ギゼル「ああん!? 何だと、こら?」
リリサ「何よ、やるの?」
ギゼルとリリサの口論が激化していく。
リリサが弱らせた魔物にトドメを刺していたのはカイルだし、パーティ内に不和が生じたときに宥めるのもカイルが行っていた
しかし、カイルはもういない。
カイルが抜けた穴は、彼らが思うよりもずっと大きかった。
彼らは不穏な空気を纏いながら、王都へ進んでいくのだった。