異世界化した街で俺の「こん棒」がエクスカリバーを超えるまで

moon&edge3

エピソード4 魔法剣士アミア(脚本)

異世界化した街で俺の「こん棒」がエクスカリバーを超えるまで

moon&edge3

今すぐ読む

異世界化した街で俺の「こん棒」がエクスカリバーを超えるまで
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇田舎町の通り
小学生「ねぇねぇ!今日もお姉ちゃんのとこでアルバイトしたの?」
小学生「うん!だって簡単な仕事だろ〜? この辺で無意味にウロウロしたり、 変なことしてる人を見たら、 ほーこくする!」
小学生「そーそー。しかも学校の行き帰りとか、遊んでるときちょっと見るだけでもいいんでしょ?」
小学生「それであんな美味いお菓子くれるんだもんな。 あやしーやつを報告したらお小遣いもプラス! 悪くないバイトさ!」
小学生「だよね〜。あたし最近、この辺に住んでる友達も紹介したんだ。窓の外時々見るだけでも、はっけんできるじゃん」
小学生「じゃ、おれ報告に行くぜ。 今日こそほんとにあやしーやつを見つけたんだ!」
小学生「あたしもいく!」
  ・・・
小学生「いたいた! おねーちゃん!」
小学生「あたしもいるよ!」
サリナ「こんにちは! もしかして誰か、 怪しい人を見つけてくれたの?」
小学生「そうだぜ!今度こそ、 ねーちゃんが探してる人だといいな」
  ・・・
  あたしはサリナ。
  消えてしまったT市の謎を調べてる。
  異世界化とやらに巻き込まれた
  トウキくんを救うため。
  学生生活の合間を縫って
  いろいろ調べてみたけど、
  トウキくんと同じゼミや授業にいた子や
  先生も彼を覚えてなかった。
  知り合いと思われる子には
  ほとんど当たり終えた。
  知り合いの線だけでは
  辿るのに限界があるみたい。
  だから、もっと単純で根気のいる手を使うことにした。
  もし他にもメールを受け取ってる人がいたら、T市ののことを気にして、わたしみたいに、こうして調べに来るかもしれない。
  だから、かつてT市につながる主な道だった場所を見張る。何かを探すような、調べるような言動の人がいないか。
  自分が行けないときもあるから、定点カメラを設置したけど、より見つけやすくなるよう、子どもたちに手伝って貰うことにした。
  もし向こうも情報を探してるなら、逆にわたしに違和感を覚えて声をかけてくるかもしれない・・・。
サリナ「何時頃その人を見たの?どこで?詳しく聞かせてね!」
小学生「今さっきだよ!」
サリナ「ほんと?案内してくれる?」
小学生「もちろん!」
  ・・・
  ・・・
小学生「ついたよ!あ、あそこ、まだいる・・・」
サリナ「・・・あの人?」
サリナ(どっかで会ったような・・・)
サリナ「あ!あの!あなたは・・・・・・」

〇霧の立ち込める森
  そしてその頃・・・。
トウキ「うー・・・。またこんな、ウッソウとしたところに来て・・・」
スケルトン「キシシシシッ!」
トウキ「ギャーッ!また出たぁ!」
ゼンリ「オラどけっ!」
スケルトン「カタタタ・・・」
ゼンリ「よしっ!お前の新作のこん棒も悪くねえな。殴ったアンデッド共がホイホイ昇天していくじゃねえか」
トウキ「まぁ、そのために作ったんだけどね・・・。 意図に当たったなら嬉しいよ」
トウキ「その原料はレイの木。 一日中太陽が照りつける草原で、一本きりで育つ。だから光の力を蓄えているんだ」
  そう、一応、俺も研究していた。
  乱暴で強引だけど、たった一人、
  俺を頼ってくれる顧客のために。
  レベル:46
  クラス:中級マイスター
  固有スキル:ウェポンズグレートフェロー【武具ノ貴ナル理解者】
  スキルレベル:52
  ・・・相変わらずこん棒しか造れないけどね。
ゼンリ「でも,オッカシぃなぁ。 オレ様が、お前のステキなこん棒を宣伝してやってるのに、お前の武器屋は相変わらずシケてるよな。」
トウキ「そんなに急には客は増えないよ。 それより、そのせいで、 俺と一緒にあんたまで馬鹿にされてない?」
ゼンリ「別に。 オレはそもそもこんな姿だ。 馬鹿にされることなんざ気にしてたら やってらんねえぜ」
トウキ「そのメンタルが羨ましいよ」
ゼンリ「だろ?」
トウキ「威張るとこじゃないよ、もう・・・」
ワイト「ヒッヒッヒ」
ゼンリ「おめえも笑うとこじゃねえ!」
ワイト「キュー・・・」
ゼンリ「ッタク、油断もスキも。 でも今回のクエストもイケそうだな。 あとは洞窟を見つけて、 「血塗られた銀貨」を持ち帰る、と」
トウキ「ああ。俺は素手じゃあコインにはさわれないからよろしく」
ゼンリ「おめえコインも駄目なのかよ・・・。 徹底してんなぁ。 買いモンとかどうしてんだ」
トウキ「まぁ、特性の手袋でやり取りしてるよ・・・」
トウキ「それより、マイハー森林なんかに来て、大丈夫だったの? ここはゼンリが呪いを受けた場所なんだろ?」
ゼンリ「別になんてことねえよ。 クエストで前にも2、3回来てる。 今回ほど奥に行ったことはねえがな・・・」
ゼンリ「ち、そら、ミノタウルスもいるぜ」
ミノタウルス「グオー・・・・・・。 グルルル。 ガアォッ!」
スケルトン「キケッ!」
ワイト「ヒュー、ドロロォン」
ワイト「ビョエエーーン」
スケルトン「カ・・・タタ」
ミノタウルス「グッグッ、グフゥーッ!」
ゼンリ「フン、さすがタフだな。 だがオレにかなうと思うな!!」
ミノタウルス「ガッ・・・ ガクッ。」
ゼンリ「悪いな。安らかに眠れ。 って言ってもまた蘇るんだけどな」
トウキ「ほんとに他のヤツは喋らないんだな」
ゼンリ「だからオレは人間だっての・・・」
トウキ「とにかく、もうすぐ洞窟の入口っぽいね。地図によるとこの辺・・・」
  その時・・・
  キャーーーっ!!
トウキ「悲鳴?!」
ゼンリ「洞窟の方だな。女の声のようだが・・・」
トウキ「い、行ってみる?逃げる?」
ゼンリ「アホか。逃げてどうする! 先行くぞ!」
トウキ「あ、待ってくれ〜」

〇洞窟の入口(看板無し)
スケルトン「ケケケケケケ・・・!」
  え、エイっ!
スケルトン「カケッ」
  はぁ、はぁ・・・!
アミア「もぉ・・・ うじゃうじゃ湧きすぎ・・・!」
アミア「エイっ!」
ワイト「ヒヒヒっ」
アミア「キャっ!」
アミア「うううーっ!! こ、こんなところで、 このあたしが・・・ 魔法剣士アミアが終わってたまるかぁ!」
ワイト「イッシッシ・・・・・・」
ゾンビオールド「グフフフフ」
アミア「・・・!」
  どけっ!
ゼンリ「どぉりゃ!!」
ゾンビオールド「ゴフッ・・・」
ゼンリ「フンッ!」
アミア「キャッ! 今度はミノタウルス?!」
ゼンリ「ミノタウルスじゃねえ! オレはゼンリだ!」
アミア「ミノタウルスがしゃべった?!」
アミア「と、とにかく覚悟っ! エイーっ!」
トウキ「だっ、だめだよ!! 待ってーー!!」
トウキ「イテッ!! 痛ったーー!!」
アミア「ご、ごめんっ! って誰?!」
トウキ「俺はトウキ。 しがないマイスターだよ・・・。 彼はゼンリ、 ミノタウルスになる呪いをかけられた人間だ」
ゼンリ「だから人間だっつってんだろ。 どいつもこいつもよ」
アミア「まぎらわしいわよ! その姿でここに来ないでよ! し、心臓止まるかと思った・・・」
トウキ「誤解が解けたなら良かったけど。 あー、イテテテ・・・」
アミア「わ、わかった、これ使って」
トウキ「ヒールドロップだね。 ありがとう・・・」
トウキ「うん、まぁなんとか」
アミア「ち、ちょっと高かったんだからね。 感謝しなさいよね」
トウキ「まぁ、殴ったの君なんだけどね。 しかも、助けたの俺たちなんだけどね」
アミア「う、うるさいわね!」
ゼンリ「ところでお前。 さっき、魔法剣士って言ったよな? 魔法剣士アミアとか」
アミア「そ、そうよ」
ゼンリ「じゃなんで「杖」を装備してんだ? 剣士なのに。 しかもゴースト系のワイトに殴り攻撃。 効き悪いに決まってんだろ?」
ゼンリ「魔法剣士ならそこはファイアスラッシュか セントスラッシュだろ? 剣の技だから杖じゃ使えねえけどな」
ゼンリ「スキルツリーによっちゃ杖魔法も使えねえことはねえだろうが、魔法士や召喚士には劣るだろ? なのに・・・」
アミア「そ、それは・・・ あっ!」
アミア「丁度いいヤツが来たわ」
アーマーデビル「ガッシャン、ググーッ!」
アミア「──”不純なる者共は、錆へ還れ!” スキル発動っ!」
アーマーデビル「・・・?!」
トウキ「あれ?魔物の動きがすごく鈍くなったぞ?」
アーマーデビル「ギ・・・ギギ・・・」
トウキ「苦しんでるみたいだ」
トウキ「って、魔物の鎧がサビてる! 持ってる剣もボロボロになってるぞ?!」
アーマーデビル「ギーッ・・・ギーッ・・・」
アミア「こうなったら無力ね。 ほいさっ!!」
アーマーデビル「ギャーーーーッ」
トウキ「・・・!! 崩れ落ちちゃった!」
アミア「あたしの固有スキル 「WASABI」の効果よ」
  レベル:67
  クラス:凖上級魔法剣士
  固有スキル:WASABI
  あらゆる金属を美しく錆びさせることができる(特例を除く)
トウキ「美しく・・・って、 あ、ホントだ。 魔物が、侘び寂びを感じさせる煤竹色の錆に・・・」
トウキ「・・・って」
ゼンリ「まさかお前、その能力、自分にも適応しちまうのか?」
アミア「そーゆーこと。 フツーは美術作品つくるようなスキルなんだけど・・・ あたしのは強すぎるのよね」
アミア「ううん、便利よ? 剣持った敵に囲まれようと、重装鎧着たやつに攻められようと、これ一発でみんなボロボロだからね」
アミア「でも有効範囲が「術者を含む半径5m」なんだよね。つまり・・・」
トウキ「君の剣もボロボロに・・・」
アミア「そ~なのよ! ホント理不尽だと思わない!? おかげでパーティからはハブ・・・ううん、 あたしから願い下げだし・・・」
アミア「能力発動するたびに剣買い替えてたら高いし。鉄素材じゃない剣はどれも攻撃力低すぎだし」
トウキ「大理石の剣とか、水晶の剣とか、ダイヤの剣とかは?」
アミア「あのねえ、水晶の剣とか黄金の剣とかダイヤの剣とか言うのは、全部がその素材じゃなくて、基本は鉄でできてんの!」
アミア「刃の部分とか先の部分とかが、純金とか宝石素材なの。全部宝石だったら、それこそどんだけ高いのよ! あと大理石は重すぎ!」
アミア「だから杖しかないのよ・・・。 杖は木や石でできてても、それなりの性能がある。「木の剣」よりも正直、攻撃力すらもマシ・・・」
ゼンリ「だったら玉鋼と純粋ミスリルは? あれは錆びねえし摩耗しねえ、最強の金属なんだろ?」
アミア「それ一本で家何軒建つと思ってんの?! 王侯貴族じゃないのよ!」
トウキ「はぁ・・・。なるほどねえ それでこんなところでソロでクエストか。 装備錆びさせるから組んでくれる人がいなくて──」
アミア「うるさいっ! あなたこそ、マイスターなのに全然武器のこと知らないわね?」
アミア「っていうか! あたしのそばにいたら、 あんたらの剣も錆びちゃったんじゃない?」
アミア「あたし、スキル使ってないときでも、WASABIエネルギーが体から漏れ続けてて、 寄るだけで金属傷むの早くなるし・・・」
トウキ「あ、それは大丈夫」
ゼンリ「あぁ。オレたち、金属なんざ何一つ持ってねえからな」
アミア「──? どういうこと?」
トウキ「言ったまんまの意味だよ」
ゼンリ「おい、トウキ。 コイツ、準上級なんだったら、 本来はかなりの実力のはずだぜ」
ゼンリ「あんた、もしかしてこの洞窟の「血塗られた銀貨」が狙いじゃねえか?」
アミア「なんであんたたちに教えなきゃいけないのよ!」
ゼンリ「別に。だがこのままじゃ、あんた一人で奥へ行くのは無理だ。 さっきどころの騒ぎじゃねえアンデッド共がいるぞ」
ゼンリ「んで、オレたちはここにある「血塗られた銀貨」が目当てだが、もう一人くらい戦士がいると楽な気がするぜ」
アミア「な、なによう! もしかしてパーティに入れって言ってんの? あ、あたし結構高いわよ!? こーかいするわよ!?」
アミア(今まで散々色んなパーティで迷惑がられてきたもの・・・ この人たちにまで、もし迷惑かけたら・・・)
ゼンリ「なに、タダでとは言わんさ。 お前にふさわしい武器を造ってやる。 このトウキがな」
トウキ「えっ?!」
アミア「はぁ??」
トウキ「ちょっとゼンリ、俺は・・・」
ゼンリ「何いってんだ。 これはお前にしか出来ねえ案件だろ」
  確かに、スキルがうまく食い合わない体質に生まれて、苦労してるところは似てるかもしれない。
  なら、どうしたらいいだろう?
  でも俺はこん棒しか造れない。
  こん棒で魔法剣技は出せるのか?
  いや・・・・・・
  よし、あれしかない。
トウキ「わかった、じゃあいくよ」
アミア「えっ・・・。これ、何・・・?」
トウキ「こん棒だよ」
アミア「ハァッ?!」
トウキ「俺はマイスターなのに金属不可触でね。 こん棒しか造れないんだ」
ゼンリ「そーそー。 だがただのこん棒じゃねえぞ。 オレもこいつのこん棒のおかげで強くなれた」
ゼンリ「試しに戦ってみろよ。 そら、またぞろ来なすったぜ」
アミア「うぇっ! もう、ワイトやだぁ!」
ワイト「ヒッヒッヒ」
アミア「ええと、ええと・・・!もうヤケだぁ! くらえーー!!」
ワイト「──!!」
ワイト「ピョエエーン」
アミア「・・・出た?!」
トウキ「すごいね。 今のが魔法剣技?」
アミア「え・・・でも、なんでよ・・・ こん棒なんでしょ?これ?」
トウキ「そうだよ。それは「剣」の思い出を持つこん棒だ」
アミア「どういうこと?」
トウキ「俺はこん棒しか造れないけど、一応マイスターだし、、武器の力を引き出すスキルを持っているんだ」
トウキ「どうやらそれは、そのこん棒に使われた素材の記憶や環境と関係しているらしい」
トウキ「ちなみに今、ゼンリが使ってるやつは、太陽を浴び続けて育ったから、光の力を蓄えてる。俺のスキルでそれを引き出してるんだ」
トウキ「まぁ、電池みたいなもんかな? 使いすぎると、ちょっと置いとかなきゃ回復しないんだけど・・・」
ゼンリ「そーそー! オレの言ったとおりだったろ? って、なんだデンチって?」
トウキ「そーゆー道具の名前だよ。 ともかく、だから俺はさっき、君のために使える素材がないかアイテムを探したんだ」
トウキ「そしたらあった。 傷だらけのカイの木・・・」
ゼンリ「傷だらけ?」
トウキ「うん。拾ったときは、キコリが下手で傷がたくさんついたのかと思ったけど」
トウキ「ふと思ったんだ。あれは斧の打ち傷じゃなくて、剣の傷じゃないかって」
アミア「・・・」
トウキ「近くに剣術所があったからね。 多分誰かが自主練のために、 毎日毎日その木に打ち込み続けてたんだ。 丈夫だったから」
トウキ「絶え間なく太陽を浴び続けた木が、光の力を蓄えるなら・・・」
アミア「毎日毎日、剣気を浴び続けた木は「剣」の記憶と力を蓄えている・・・」
トウキ「そう。だからそれは「こん棒」だけど「剣」なんだ。もちろん錆びない。そして攻撃力も、そんなひどくないでしょ?」
アミア「確かに、すごい練度と密度で作られてる・・・ あんた、これ作るまでに、 一体どれくらいこん棒作ったの?」
トウキ「数えてないな。 アイテムストックによると・・・ 1128本かな」
アミア「うわ・・・」
トウキ「そんな顔するなよ。 俺にはそれしかできないって言ったろ」
アミア「まぁ、いいわ。 わかった、これをくれる代わりに、 あたしも一緒に洞窟に行ってあげる」
トウキ「ほんと?やった!」
ゼンリ「んじゃ早速行こうぜ!」
  ・・・もしかして、今、俺は、
  二人目の顧客を獲得したのだろうか。
  よし、これからもこの調子で頑張るぞ!
  そしてサリナさんのところに帰るぞ!

〇洞窟の深部
アミア「ここが洞窟の中? 何にも無いみたいだけど?」
トウキ「さあね。でもほら・・・」
ワイト「ウヒヒヒ・・・」
アーマーデビル「ガッシャーン!!」
アミア「やっぱり来たわね! でももう負けないんだから!」
アミア「WASABI!」
アーマーデビル「ギギギ?! ギ・・・」
アミア「からのォ── セントスラッシュ!!」
ワイト「ウリアゲ・・・」
アーマーデビル「ノル・・・マ」
アミア「ふんっ!どんなもんよ!」
ゼンリ「思った以上に強いな。 な、トウキに出会って良かったろ?」
トウキ「ちょ、ちょっと待って! さっき、魔物が何か言わなかった? ノルマ・・・って聞こえたけど」
ゼンリ「さぁな、ここらの奴らは、時たま意味不明な鳴き声を発するんだ」
トウキ「・・・?」
アミア「それよりお宝を探しましょ。 その辺を適当に調べて見て」
ゼンリ「そうだな。手分けして探そうぜ」
トウキ「・・・」
  鳴き声?
  なんでそんな・・・
  ノルマ、それにウリアゲだって?
「おーい、お前も真面目に探せよ」
トウキ「あ、あぁ・・・」
トウキ「ん?壁の隅の方に、なんか出っ張りがあるぞ?」
ゼンリ「どーん!」
トウキ「わっ!!とっ、ととっ・・・!!」
  カチッ
トウキ「なんで急に突き飛ばすんだよ! 出っ張り押しちゃったじゃないか!」
ゼンリ「だって押せって言っても、ためらうだろ? 罠かも〜とか言ってよ。 めんどくせえから押させた」
トウキ「ひどいっ!」
トウキ「わっ!!下からなんかせり上がってくる? た、宝箱っぽい箱・・・と」
スカルドラグマン「・・・」
デスストーカー「クククク──」
トウキ「出た!ヤバそうなモンスター!」
スカルドラグマン「トビコミ・・・イッテコイ」
トウキ「・・・!?」
デスストーカー「ハヤクシンデクレ」
スカルドラグマン「ハヤクシンデクレ」
  また・・・?!
ゼンリ「早く死ねだって?! 上等じゃねえか!」
ゼンリ「おいアミア、そっちの黒くて細い方を頼む」
デスストーカー「トイレハジュウビョウ」
アミア「し、しょうがないわね!」
アミア「とりあえずWASABI!」
デスストーカー「ムヌッ?!」
アミア「腕のカマの先の方だけ錆びたわね。 自分の体から鉄を生み出してるって事? 変なやつ・・・」
デスストーカー「シャーっ!!」
アミア「わっと! それでも無理に斬ってくるわね!」
アミア「お返しよ! バーニングスラッシュ!」
デスストーカー「!!」
アミア「あー!魔法剣技を使えるって気持ちいいわー!!」
ゼンリ「いや、それ普通だろ? 魔法剣士なんだから」
アミア「その普通がすごいの!」
アミア「ライトニングスラッシュ!」
デスストーカー「ウグッ!」
ゼンリ「調子いいみたいだな。 さぁて、オレも頑張るか」
スカルドラグマン「ガゴーッ!」
スカルドラグマン「ブフェッ」
ゼンリ「ただ殴っても体の砂が散るだけか。 しかもすぐに再生しやがる」
ゼンリ「イテッ! 生意気だな、お前!」
ゼンリ「だったらこれはどうだ!」
スカルドラグマン「グ・・・ヌヌ」
ゼンリ「へへ、水を吸って動きにくくなったみてえだな」
ゼンリ「だありゃァあ!!」
  ・・・

〇洞窟の深部
  ・・・
  二人ともすごい。
  強いモンスター相手なのに、
  イキイキと戦ってる。
  俺の武器で・・・
  ずっと【ウェポンズグレートフェロー】を発動し続けて、ちょっとしんどいけど・・・
  なんか嬉しいな。
  でも、さっきから聞こえる言葉のような鳴き声はなんだ?
  ウリアゲ。ノルマ。
  トビコミイッテコイ。ハヤクシンデクレ。
  トイレハジュウビョウ──
トウキ「・・・ノルマとかトビコミとか言うのは、 営業職の言葉か?」
トウキ「でも「早く死んでくれ」・・・」
トウキ「マイハー森林・・・ マイハー・・・ どこか・・・で」
  ──ん?!

〇大学の広場
トウキ「・・・それでさ、 インターン体験をどこにするか 迷ってるんだ」
サクラダ・トモアキ「ふーん? でも、気をつけたほうがいいよ」
ヤマナカ・ミユ「そーそー。 中にはヤバい企業のくせに、 しれっと募集出してるとこもあるからね」
サクラダ・トモアキ「このニュースとか見た?」
トウキ「何何? 『「My Heart生命」の社員○○さんが自殺したことに対し、遺族は社内いじめやパワハラが原因だとして・・・』」
トウキ「『毎日のように「早く死ね」と罵られ、「昼飯は一分」「トイレは十秒」といった制限をされ、超過すると叱責や暴力、恫喝・・・』」
ヤマナカ・ミユ「うわ、怖。 My Heartって「EIZO◎JAPAN(イイゾージャパン)」の系列会社なんでしょ? 親会社もそうなのかな」
トウキ「ひどい話もあるもんだな。 俺もイイゾーの系列はやめとこ」

〇洞窟の深部
  ・・・コレだ。
  マイハー森林は・・・
  My Heart生命なんだ。
  名前が微妙に違う、でも大きくは変わらない・・・
  それに「エイゾー遺跡の西の魔王」・・・

〇闇の要塞
  アンデッドや闇の魔物を率いる吸血魔王・・・

〇洞窟の深部
  吸血。
  人の生き血を吸って太る。
  早く死ね。
  死んでも働け・・・
トウキ「イイゾーの社長の名前は、えっと、えっと──」
  ・・・道元太朗(ドウゲンモトアキ)・・・
  この異世界は、例のメールの主のイメージを反映して作られている。
トウキ「西の魔王がドウゲンモトアキだとしたら・・・ この変な鳴き声を出す魔物たちは」
トウキ「──まさかMy Heartの社員たちか?!」
  ・・・
  魔物たちも・・・元は人間?
  モンスターはダンジョンに住み、
  何度倒しても一定時間で再び蘇る。
  そして繰り返し殺される・・・
アミア「やーっ!」
デスストーカー「グギャア!」
ゼンリ「ふんぬー!」
スカルドラグマン「ググッ!!」
  それじゃ、魔物たち、
  いや、魔物に転生させられた人たちは・・・
トウキ「まるで地獄だ──」
ゼンリ「行くぞアミア! 協力してとどめさすぞ! 手ぇ貸せ!」
アミア「指図しないでよ! もー、しょーがないわね!」
アミア「連撃ファイアスラッシュ!」
ゼンリ「ぶん回し竜巻殴り!」
スカルドラグマン「ガホッッ」
デスストーカー「グフッッ」
  撃破アイテムを手に入れた
  漆黒の鎌×1
  幽冥の核×2
  ゼゼの木材×5
  竜骨×1
  硬質砂×10
アミア「ヤッターっ! ついに倒したわ!!」
ゼンリ「あとは宝箱の中身を回収だな! 開けてみろ、トウキ!」
トウキ「う、うん・・・」
ゼンリ「なんだ?浮かねえ顔してよ」
トウキ「なぁゼンリ。 呪われる前の記憶って・・・ ないんだよな?」
ゼンリ「あぁ。ここに来ても全く思い出せねえ。 なんか知りたいことでもあったか?」
  魔物は何度も殺され、
  クエストの賞金首や、素材集めの標的にされる運命。
  俺なら誰かをそんな風にしたいと
  思うだろうか。
  もし、あの記事で自殺した本人や
  遺族なら思うかも。
  つまりあのメールの主は、
  My Heart生命の関係者かもしれない。
  アンデッド系と、ミノタウルスや鎧魔。
  種類の違うモンスターは、
  My Heart生命の2つの側面・・・
  ゴツい系の魔物は恫喝、暴力。
  あるいは料金取り立ての部署か?
  ともかく・・・ ここで呪われたというゼンリは・・・
  関係者の可能性がある。
  もしかしたらメールの主とも。
トウキ「なんでもないよ。でも、もし何か思い出したら教えてくれよ」
ゼンリ「おう」
トウキ「じゃ、宝箱開けるよ・・・」
アミア「罠ではなさそうね」
  ・・・
トウキ「これが呪われた銀貨?」
ゼンリ「そうらしいな。 ジャラジャラ入ってるぜ。 クエスト報酬として1割くれるんだっけか? ま、後で武器にでも埋め込んでみるか」
トウキ「・・・?待って。 何か別のものも入ってる」
トウキ「骨のかけららしいものの入った小瓶だ。 何か書いてある」
  この瓶を見つけた者は、我が墓に捧げよ。
  魔王の血とともに。
  永久に呪われよ、魔王ドルゲン。
  ・・・?
ゼンリ「そいつは無理に近い注文だな。 ドルゲンに一太刀あびせろってか。 そこらの魔物じゃねえんだぞ」
アミア「そうね、500倍は強いわね」
トウキ「500倍?!」
ゼンリ「まぁ──よっぽどなんかねぇ限り そいつはそっとしとけよ」
トウキ「まぁ、じゃあとりあえず持っとくよ」
  友の墓?それはなんだ?
  どこにある?
  俺の考えたことが正しければ・・・。
ゼンリ「よっしゃーっ! クエストクリアだ。 街に戻るぞ、アミア」
アミア「だから指図しないでって! あ・・・そうだ」
アミア「トウキ」
トウキ「何??」
アミア「──ありがと。 これ、まぁまぁのこん棒じゃない。 あんたをマイスターって認めてあげるわ」
アミア「だから、また、もっといいの作りなさいよね」
トウキ「・・・うん!よろしく」

次のエピソード:エピソード5 メッセージ

成分キーワード

ページTOPへ