エピソード7 スキルレベル4(脚本)
〇森の中
カイル「おっと。 俺の4つ目の力を見せようと思ったが、今は見せられないな・・・」
エミリア「発動に条件が必要なタイプの能力なのですか?」
カイル「ああ、そうだ」
カイル「本来はこの森のような場所がうってつけなのだが、つい先ほどまでの狩りであらかたの魔物を狩ってしまったせいだな・・・」
エミリア「ということは、4つ目の能力も3つ目と同じように、植物系の魔物に有効なスキルなのでしょうか?」
カイル「いや、そういうわけじゃないんだ。 見せた方が早いと思ったんだけどなぁ」
エミリア「そうですか・・・。 それにしても、カイルさんの『ハキ』って、いろいろな能力がありますよね。 規則性がないというか・・・」
カイル「ああ。 どうやら、一言で『ハキ』と言っても、異国か古代の言語では様々な表記方法があるようなんだ」
カイル「確か、象形文字とかいうやつだな」
エミリア「へえ? つまりカイルさんは、今後も規則性のない様々な能力を得る可能性があるってことですね!」
エミリア「何だか凄いことのような・・・」
カイル「希少性があるのは確かだが、凄いと判断するのは早計だ」
カイル「実際、スキルレベル1と2の能力はほとんど使い道がないし。 3は植物系の魔物に特効があるから有用だけど」
カイル「そして、スキルレベル4は・・・。 おっと、使い時がやってきたようだ」
エミリア「え?」
カイル「エミリア。俺の後ろに隠れていろ」
エミリア「ど、どうしてですか?」
カイル「いいから早く」
エミリア「は、はいっ!」
俺はエミリアを自分の後ろに隠す
カイル「おらよっ!」
俺は剣を一振り。
目の前に現れた鳥型の魔物を真っ二つにした。
エミリア「こ、これは・・・!?」
カイル「ハインドイーグルだな。 気配を消して獲物を襲う魔物だ」
エミリア「え、ええっと、私には全然見えなかったのですが・・・」
カイル「そりゃそうだ。 こいつの攻撃を事前に知覚できるのは、索敵系のスキルを持っている奴ぐらいだ」
カイル「ま、Bランク以上の上級冒険者なら、素で見切って攻撃できるかもしれないがな」
カイル「エミリアと同じEランク冒険者でも倒せない魔物ではないが、初撃は受けざるを得ない」
エミリア「そ、そうでしたか。 ・・・あれ? でも、それならなぜDランクのカイルさんが知覚できたのですか?」
カイル「いい質問ですねぇ。 『ハキ』スキルレベル4の『把危』を使ったんだ」
エミリア「把危? って、私には読めない文字ですが・・・」
カイル「俺も読めん。 だが、何となく推測はできる。 おそらくだが、危険を把握する能力なんだと思う」
カイル「この能力は、魔物の不意打ちを察知する感覚を鋭くさせる力なんだ」
エミリア「ええっ!? それって、かなり凄くありませんか!?」
カイル「凄いさ。 それも、攻撃系スキルと両立できるのがいい。 普通、索敵系のスキルの持ち主は、戦闘能力が低くなりがちだからな」
エミリア「さすがはカイルさんです! もう無敵ですね! ・・・これなら、私の祖国の件も・・・」
カイル「ん? 何か言ったか?」
エミリア「あ、いえ。 何でもありません」
カイル「そうか。 まあ、このスキルもまだまだ完璧ではない」
カイル「索敵能力を得たと言っても、本職に比べると少し劣る」
カイル「戦闘系の能力があると言っても、今のところは植物系の魔物に対してだけだ」
カイル「ゴブリンやハインドイーグルぐらいなら、素の戦闘能力で何とかなるが・・・」
カイル「さすがにゴブリンキングやゴーレムが出てきたら、勝てる気がしない」
エミリア「なるほど・・・。 そこで私の出番ですね! 私の『怪力』スキルで、カイルさんを守ります!」
カイル「はっはっは。 それは心強いな。頼りにしているぞ」
カイル「て、意気込むのはいいが、俺の近くで素振りをするな! エミリアの力と不器用さだと・・・」
エミリア「え? あっ」
カイル「ぐふぅっ!!」
エミリアのスイングにより、俺は盛大にふっ飛ばされたのだった。