エピソード4 怪力(脚本)
〇西洋風の受付
カイル「お礼と言われてもなぁ・・・」
少女「何か困っていることはありませんか? 私にできることであれば何でもします!」
カイル「そう言われても、別に困ってることなんて・・・」
受付嬢「話は聞かせてもらいましたよ!」
カイル「うおっ!?」
受付嬢「あら? 驚かせてごめんなさいね」
カイル「い、いや。 こちらこそ、大声を出してすまない」
カイル「それで、今の話を聞いた上で、何か用か?」
受付嬢「ええ。カイルさん、ちょうどいいじゃありませんか」
受付嬢「困っているというほどではありませんが、手伝ってほしいことがあるのではありませんか?」
カイル「え? あ、ああ。そういうことか」
カイル「でも、あれには腕力や体力がそれなりにいるのだけど・・・」
少女「あの・・・?」
カイル「ああ。その前に、自己紹介をしておこうか」
カイル「俺の名はカイル。Dランク冒険者さ」
少女「Dランクの方だったのですか?」
少女「金貨3枚をポンッと出せるのだから、もっと上のランクなのかと思いました」
カイル「あはは・・・・・・。正直な子だね」
カイル「ま、この調子なら近いうちにCランクに上がってもおかしくないけど」
ビッグトレントは上級、トレントは中級の魔物だ。
当然、ランクアップ査定においても大きな意味を持つ。
受付嬢「カイルさんは、魔獣狩りを中心に活動されていますからね」
受付嬢「護衛依頼や討伐依頼をいくつか達成すれば、Cランクに上げることができますよ」
少女「そうでしたか。それは失礼しました」
カイル「それで、君の名前も教えてほしいのだけれど」
少女「あっ。す、すみません。 私の名前はエミリアです」
エミリア「Eランク冒険者になりたての、駆け出し冒険者です」
カイル「へえ、Eランクなんだ」
カイル「武器は何を使うんだ? って、聞くまでもないか」
エミリア「は、はい。私はこの剣で戦っています」
見れば、なかなかに高価そうな剣を持っている。
さっきの冒険者も、目をつけていたな。
カイル「ちょっと大きくないか? 君にはサイズが合っていないだろう」
エミリア「はい・・・。でも、これは・・・。 その・・・」
カイル「何やら訳ありか。まあいいさ。 それで、君のスキルは?」
エミリア「ス、スキルは、そのぉ・・・」
カイル「・・・人に言いたくない類のスキルか。 わかるよ。俺もそうだったからな」
受付嬢「エミリアさん、カイルさんなら大丈夫ですよ」
受付嬢「あなたのスキルをバカにしたりはしません」
エミリア「は、はい。 私のスキルは・・・『怪力』なのです」
カイル「ふむ。なるほど。 悪くなさそうなスキルじゃないか」
カイル「同じスキルを持っている知り合いはいないが、力が強くなるスキルなんだろ?」
エミリア「その通りですが・・・。 副作用として、力加減ができなくなるのです」
エミリア「そして、そのせいで、今まで何度も失敗をしてしまいました・・・」
カイル「なるほどな。 確かに、その力は使いどころが難しそうだ」
エミリア「はい・・・」
カイル「よし。そんな君に提案がある」
エミリア「提案ですか?」
カイル「ああ。 俺の荷物持ちとして働いてみないか?」