エピソード3 美少女の涙は見過ごせない(脚本)
〇森の中
1週間が経過した。
カイル「せいやああぁっ!!!」
「ぎいいいぃっ!!」
俺の『葉切』を受け、トレントが倒れ込む
カイル「ふう。今日も順調っと。 それにしても、狩りが楽になったなぁ」
カイル「さあ、魔石を回収っと。 死体を放置せざるを得ないのはもったいないが、仕方ないよなあ」
俺は今日の狩りを終え、冒険者ギルドへと戻る
〇西洋風の受付
冒険者「ふざけてんじゃねえぞ! ああ!?」
少女「ひっ!? す、すいません・・・」
冒険者「謝って済む問題じゃねえだろうが! お前がどうしてもって言うから、俺たちのCランクパーティに入れてやったんだぞ!」
冒険者「それを何だ!? 役に立たないどころか俺たちの邪魔ばかりしやがって!」
少女「本当に申し訳ありません・・・」
冒険者「もういい! 有り金全部置いて出ていけ!」
少女「そ、それは・・・。 勘弁してください・・・」
少女「明日生きるためのお金なんです・・・。 これがないと、私は・・・」
冒険者「御大層な剣があるじゃねえか! 本来それは俺たちCランク冒険者でも手が出ないほどの高級品なんだぜ?」
冒険者「Eランクのお前には釣り合ってねえ! それを売って金を作ればいいだろうが!」
少女「そ、それだけは・・・。 私の命と同じぐらい大切なものなのです・・・」
少女「どうか、お許しください・・・」
冒険者「ちっ、こうなりゃ力ずくで・・・!」
カイル「そこまでにしてもらおうか」
冒険者「ああん!? なんだテメエは!?」
カイル「通りすがりの冒険者だ。 恫喝はよくないな。 まずは冷静になろうぜ」
冒険者「うるせえ! 部外者は引っ込んでやがれ!」
カイル「そうはいかない。 美少女の涙は見過ごせないからな」
冒険者「ちっ! やろうってのか!?」
カイル「落ち着け。 聞いたところ、その娘があんたに迷惑を掛けたみたいだな。 何があった?」
冒険者「こいつが魔獣にビビって陣形を崩しやがったんだよ。 パーティメンバーに怪我人が出た」
冒険者「治療費と諸々で、金貨2枚は貰わねえと納得できん!」
カイル「金貨2枚か・・・」
成人男性が1~2か月生活できるぐらいの金額だな。
パーティメンバーに怪我人が出たなら、その治療費と逸失利益でそれぐらいにはなるか
冒険者「部外者のお前が払えるような額じゃねえだろ? そいつの剣を没収して売り払うから、邪魔してくれるな」
少女「ひいぃっ!! た、助けてぇ・・・」
カイル「ふむ。これでいいか?」
冒険者「なっ!? き、金貨3枚だとぉっ!?」
カイル「ああ。2枚分の損失が出たんだろ?」
カイル「俺が立て替える。1枚はサービスさ」
トレント狩りでかなり潤っているし、これぐらいは全く問題ない
冒険者「お、おう。本当にいいのか?」
カイル「問題ない。 さ、この子が怖がっている。 早く立ち去ってくれないか?」
冒険者「あ、ああ。じゃあな。 嬢ちゃんも、怖がらせて悪かったな」
冒険者「怪我人の件はこれで水に流すから、そっちも忘れてくれ」
男はそう言って去っていった。
残されたのは、俺と少女の2人。
カイル「じゃ、俺も行くから・・・・・・」
少女「ま、待ってください! あなたは私の恩人です!」
少女「ぜひお礼をさせてください!!」
少女が目を輝かせながら、ぐいっと詰め寄ってきたのだった。