〇上官の部屋
　　◆あらすじ◆
　　テンセイとの婚約解消に
　　ショックを受けるソウビ。
　　テンセイはソウビに本心を尋ねる。
テンセイ・ユリスディ「お聞かせ願えますでしょうか。 ソウビ殿はいつから、自分のことを・・・」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス「最初からだよ」
テンセイ・ユリスディ「最初？」
ソウビ・アーヌルス「初めて（キャラ絵を）見た時から！」
ソウビ・アーヌルス「初めて（PVで） 動くテンセイを見た時から！」
ソウビ・アーヌルス「初めて（公式サイトのサンプルで） 声を聞いた時から！」
ソウビ・アーヌルス「ずっとテンセイのこと大好きだったよ!!」
テンセイ・ユリスディ「っ！」
ソウビ・アーヌルス「なにを見ても、 思い浮かぶのはテンセイのことだったよ」
ソウビ・アーヌルス「つらい時も、 テンセイのことを思い浮かべるだけで 耐えられたよ」
ソウビ・アーヌルス「私の心の中は、 テンセイへの気持ちでいっぱいなんだよ！」
テンセイ・ユリスディ「す、少しお待ちを！」
ソウビ・アーヌルス「・・・？」
テンセイ・ユリスディ「も、申し訳ございません、ソウビ殿」
テンセイ・ユリスディ「これほど直球に 答えていただけるとは思っておらず、 その、動揺しております・・・」
テンセイ・ユリスディ「・・・ふーっ」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
テンセイ・ユリスディ「罰当たりなことを申し上げます。 自分は今、喜びを感じております」
ソウビ・アーヌルス「婚約を解消になったことが!?」
テンセイ・ユリスディ「違います。 貴女のお心に初めて触れられたこと それが嬉しくてたまらないのです」
テンセイ・ユリスディ「おかしな話です。 長く、婚約者と言う立場でいながら 自分は貴女を知らなかった」
テンセイ・ユリスディ「いや、知ろうとしなかった」
テンセイ・ユリスディ「王女として生まれた貴女が ただ畏れ多くて、 踏み込むのもはばかられて・・・」
テンセイ・ユリスディ「なのに貴女はそれほどまでに 熱い想いを抱いていてくれたのですね。 こんな、まるで面白みのない男に」
ソウビ・アーヌルス「テンセイ・・・」
　　テンセイが跪き、私の手を取る
テンセイ・ユリスディ「先日、宴席に あなたを案内するため手を取った、 その時感じたのです」
テンセイ・ユリスディ「自分は、この人の愛らしさに なぜこれまで気付かなかったのか、と」
テンセイ・ユリスディ「・・・その時にはすでに、ヒナツ王が あなたを欲しておられることを 知っておりました」
テンセイ・ユリスディ「ゆえに自分は、 自らの中に微かにともった炎を 見ぬ振りいたしました」
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿、 あなたをいとおしく思っております」
ソウビ・アーヌルス「っ！ テンセ・・・！」
テンセイ・ユリスディ「ソウビ殿、私は騎士です。 あなたにとこしえなる忠誠を誓いましょう」
テンセイ・ユリスディ「夫婦とは異なる形となりましょうが、 この身は生涯貴女だけのものです」
テンセイ・ユリスディ「この心も、この命も、 全ては貴女と共にあります」
テンセイ・ユリスディ「それを御心に留め置きください」
ソウビ・アーヌルス「テンセイ・・・」
ソウビ・アーヌルス「テンセイ～っ！」

〇西洋の城

〇貴族の部屋
　　──数日後──
ヒナツ・プロスペロ「入るぞ、ソウビ」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
ヒナツ・プロスペロ「お前のために色々持ってこさせたぞ！ え～っと、こちらは・・・」
ヒナツ・プロスペロ「ドレスに」
ヒナツ・プロスペロ「靴に」
ヒナツ・プロスペロ「アクセサリーだ！」
ヒナツ・プロスペロ「さぁ、どれがいい？ どれも一級品の優れものだぞ！」
ヒナツ・プロスペロ「これらを身に着けた美しいお前を 見せてくれ！」
ソウビ・アーヌルス「・・・ハァ」
ヒナツ・プロスペロ「ははは、今日も一瞥すらせんか。 まぁいい、」
ヒナツ・プロスペロ「貢ぐというのは存外楽しいものだな」
ヒナツ・プロスペロ「お前のことをただ想いながら品を選ぶ、 そのひとときの 甘く愛しいことと言ったら」
ヒナツ・プロスペロ「明日こそ お前を満足させるものを用意しよう」
ヒナツ・プロスペロ「なぁに、予算は潤沢にある。 いやぁ、王にはなってみるもんだな！」
ソウビ・アーヌルス「は？」
ヒナツ・プロスペロ「どうした？　 俺からの貢ぎ物を受け取る気になったか？」
ソウビ・アーヌルス「予算は潤沢？」
ソウビ・アーヌルス「まさかと思うけどこれ、 国家予算で購入しているの？」
ヒナツ・プロスペロ「当然だ、俺は王だぞ？ その身内に関する出費は 予算に含まれるものだろう」
ソウビ・アーヌルス「アホなの!? やめて！　今回限りでやめて!!」
ヒナツ・プロスペロ「さぁて、な。 それはお前次第だ」
　　背筋が冷たくなる
ソウビ・アーヌルス（望まないのに、 確実に傾国ルートに進んでる）
ソウビ・アーヌルス（王になびかない愛妾と、 愛妾の気を引くため 国家予算を湯水のように使う王）
ソウビ・アーヌルス（まさかと思うけど、本編のソウビも 今の私と同じだった可能性ない？）
ソウビ・アーヌルス（ただヒナツを拒絶していただけなのに、『王の気を引くためのわがまま』と 解釈された可能性は？）
ヒナツ・プロスペロ「どうした、ソウビ？」
ソウビ・アーヌルス（ヒナツの浪費をやめさせるには、 気に入ったふりして プレゼントを受け取ればいい？）
ソウビ・アーヌルス（でも、それはそれで調子に乗って、 更なる高価なプレゼントを用意し始める 可能性は？）
ソウビ・アーヌルス（どうするのが正解なの!?）
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス「・・・チヨミには？」
ヒナツ・プロスペロ「チヨミ？」
ソウビ・アーヌルス「私へのものと同じだけ チヨミにも贈り物をしたかと聞いてるの」
ヒナツ・プロスペロ「いや？　だがそれがどうした」
ソウビ・アーヌルス「とある国では、 男は複数の女を持つことを許されるけど 贈り物は平等でなければならないそうよ」
ソウビ・アーヌルス「それが出来ない男は、カスだって」
ヒナツ・プロスペロ「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス「あなたがチヨミを大切にしてないのを 見ると思うの。 それはいずれ私がたどる道だと」
ソウビ・アーヌルス「今の地位に就くための立役者たる 女一人すら大切に出来ない男なんて 信用に値しない」
ヒナツ・プロスペロ「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス（さすがにここまで言えば、 愛の戯れの言葉遊びじゃなくて ガチの嫌悪だってわかるよね？）
ヒナツ・プロスペロ「チヨミをやたらに意識しているな。 ひょっとして嫉妬か？」
ソウビ・アーヌルス「はぁあ!?」
ソウビ・アーヌルス（今の言葉のどこをどう受け止めれば、 そんなお花畑な結論に至るのよ!!）
ソウビ・アーヌルス「やってられない!!」
ヒナツ・プロスペロ「ソウビ？ どこへ行く？」
ヒナツ・プロスペロ「・・・・・・」
ヒナツ・プロスペロ「クク・・・ 毛を逆立てて威嚇する猫のようだ」
ヒナツ・プロスペロ「愛らしいものよ」

〇貴族の応接間
チヨミ・アルボル「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス「・・・・・・」
チヨミ・アルボル「ソウビ？　どうしたの？」
ソウビ・アーヌルス「チヨミ・・・」
ソウビ・アーヌルス「どうしたらいい？ 受け容れるわけにはいかないし、 拒絶しても喜ばせてしまう」
ソウビ・アーヌルス「私どうすればいい？ わからないよ・・・！」
チヨミ・アルボル「・・・・・・」
ソウビ・アーヌルス（せっかくこの世界に来れたのに、 頑張ってもテンセイと結ばれず、 傾国からの殺害ルートしかないなんて！）
タイサイ・アルボル「何しに来たんだ、てめぇ」
ソウビ・アーヌルス「!」
　　第六話　ラブラブイベント　──終──
　　
　　第七話に続く