入れ替え令嬢になる条件は恋愛禁止を貫くことです?

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第15話「物語の始まりを教えてくれたのは」(脚本)

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〇メイド喫茶
女神D「食堂が閉まってしまった・・・・・・」
女神D「いえ、食べる物があるだけよしとしましょう・・・・・・」
女神D「ではでは、いただきまー・・・・・・」
女神G「ちょっと相談に乗ってもらえるかしら?」
女神D「え?」
  私とアーロイさんとの出会いは、実は私が女神だった頃から始まっていたのでした。

〇中庭
29983番さん「・・・・・・・・・・・・」
女神D「29983番さん」
29983番さん「女神様・・・・・・」
女神D「異世界転生後に、希望する能力を授ける業務を担当している女神Dと申します」
29983番さん「さっさと転生しろって言いに来たんですよね・・・・・・」
女神D「半分は正解ですけど、もう半分は29983番さんとお話してみたいなーと思って」
  アーロイさんの前世である29983番さん。
  彼は不慮の事故で亡くなったという現実を受け入れられずに、女神界に長いこと魂が滞在していた。
29983番さん「異世界に転生させる力があるなら、元の人生をやり直しさせてほしいんですけど」
女神D「たまにあるお願いごとなんですけど、それは残念ながら叶えることができないんですよねー・・・・・・」
29983番さん「はぁ」
29983番さん「ん?」
女神D「まずは、腹ごしらえですね」
女神D「便宜上、幽霊って呼んでいますけど」
女神D「ちゃんと食べて、ちゃんと飲まないと、本当の本当に幽霊になっちゃって、転生すらできなくなってしまいますからね」
29983番さん「・・・・・・いただきます」
女神D「はい、召し上がってください」
29983番さん「死んでも、味・・・・・・感じるんですよね」
女神D「美味しいですか?」
29983番さん「食べきれないから、女神様にもあげる」
女神D「え」
29983番さん「変な顔」
女神D「実は、まだご飯を食べていないんです・・・・・・」
29983番さん「どうぞ」
女神D「いえ、これは私からの差し入れですから」
29983番さん「はい」
女神D「・・・・・・・・・・・・」
女神D「いただきますっ」
  これが、私とアーロイさんの正しい出会い。
  このときが、私たちの初対面だった。

〇断崖絶壁
アーロイ・メレディ「思い出してもらえて良かった」
フェミリー・コール「こっちは頭の中が大混乱中ですよ!」
アーロイ・メレディ「うん、でも・・・・・・」
アーロイ・メレディ「あれだけ多くの相手をしていたので、俺のことなんて忘れちゃっただろうなって」
フェミリー・コール「私が29983番さんのこと、忘れるわけないじゃないですか!」
アーロイ・メレディ「俺、問題児幽霊でしたからね」
フェミリー・コール「問題児なんかじゃなかったですよ」
アーロイ・メレディ「・・・・・・・・・・・・」
フェミリー・コール「異世界転生したあとに、どんな夢を叶えようか」
フェミリー・コール「毎日夢探しを頑張っていた、とっても素晴らしい優等生さんでしたよ」
アーロイ・メレディ「・・・・・・・・・・・・転生前と変わっていませんね」
フェミリー・コール「私は私、みたいです」
フェミリー・コール「夢は・・・・・・見つかりましたか?」
  私たちは時間が合えば、一緒にご飯を食べる仲になっていた。
  くだらない話も真剣な話もするようになったけど、最終的に29983番さんの転生をお手伝いしたのは私ではなかった。
アーロイ・メレディ「見つかりました」
フェミリー・コール「それは良かったです」
  亡くなる前の人生に未練があった29983番さんは、そのまま転生することなく成仏の道を選ぶ可能性すらあった。
  でも、こうして異世界転生したあとの世界で巡り合えたということは・・・・・・
アーロイ・メレディ「女神様」
  29983番さんことアーロイさんは、新しく生まれた夢を叶えるために異世界に転生したということ。

次のエピソード:第16話「人生を面白くするためには、ほんの少しの嘘を混ぜてみましょう」

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