第14話「多分ずっと もっと前から」(脚本)
〇西洋の街並み
フェミリー・コール(お願い! 女神様!)
フェミリー・コール(私に本物のチート能力を授けてくれたのなら、アーロイ様の居場所を教えてください!)
フェミリー・コール「うん! こっち!」
令嬢らしいドレスから、一般人の女の子が着るような服に着替えて見知らぬ街を駆け回る。
すべての経験が初めてのことだけど、私に備わった魔法が教えてくれる。
フェミリー・コール(アーロイ様が、どこにいるかってことを!)
〇断崖絶壁
フェミリー・コール(まるで、なんとかミステリーが始まりそうな断崖絶壁・・・・・・)
フェミリー・コール(魔法が反応するってことは、ここにアーロイ様が・・・・・・)
足を踏み外して、自分が海に身を投げ出してしまうことのないように。
細心の注意を払いながら、私は魔法を頼りにアーロイさんを探した。
フェミリー・コール「うっ」
波の勢いがあまりにも激しくて、崖の上にいても被害を受けてしまう。
フェミリー・コール(こんなところで、アーロイ様は一体何を・・・・・・)
フェミリー・コール「あっ」
高さのある崖は、私たちが波に飲み込まれないよう身を守ってくれる。
けれど、まるで水魔法で攻撃を受けているかのように勢いある波はアーロイ様にも容赦なく襲いかかる。
アーロイ・メレディ「・・・・・・・・・・・・」
フェミリー・コール「アーロイ様」
水飛沫を浴びた互いの服はびしょ濡れでとんでもないことになっていたけれど、私は躊躇うことなくアーロイ様へと近づいた。
フェミリー・コール「今、乾かしますね」
互いの衣服を乾かして、波の妨害に遭わないように魔法で創意工夫を凝らす。
アーロイ・メレディ「・・・・・・ありがとう」
フェミリー・コール「私は、世界を滅ぼすほどの力を持つ魔女ですから!」
アーロイ・メレディ「その服・・・・・・」
フェミリー・コール「婚約破棄されたので、これを機にコール家を出ることにしました」
アーロイ・メレディ「婚約破棄に関しては申し訳ないと思っている」
フェミリー・コール「謝らないでください」
フェミリー・コール「私の夢は、美味しい食べ物や飲み物を世界に広めること」
フェミリー・コール「貴族という身分を失った方が、いずれ出版する本への信用性が高まると思うんですよね!」
アーロイ・メレディ「・・・・・・自由に、生きてほしかった」
フェミリー・コール「婚約破棄が、私の自由に繋がると思ってくれたんですね」
フェミリー・コール「良かったです」
フェミリー・コール「アーロイ様に嫌われていなくて」
フェミリー・コール「やっぱり、変わり者令嬢の私の夢を応援してくれるのはアーロイ様しかいませんね!」
アーロイ・メレディ「ずっと・・・・・・」
アーロイ・メレディ「ずっと・・・・・・これからもずっと・・・・・・」
アーロイ・メレディ「フェミリー様の夢を応援していきたいと思っていました」
フェミリー・コール「・・・・・・・・・・・・」
フェミリー・コール「え、あの、アーロイ様!?」
フェミリー・コール「お気持ちは嬉しいのですが、喋り方がさっきまでと違うような・・・・・・」
フェミリー・コール「そもそも私、様付けで呼ばれたことなかったですよね!?」
アーロイ・メレディ「ふっ」
フェミリー・コール「今、笑った・・・・・・」
アーロイ・メレディ「そうですね、役作りに必死で敬称に気を遣うことができていませんでしたね」
フェミリー・コール「え、え、アーロイ様!?」
フェミリー・コール「今、とっても素敵な笑顔ですよ!」
アーロイ・メレディ「やっと、自分らしさを出すことができました」
フェミリー・コール「え!? え!? え!?」