第13話「誰かと誰かが手を取り合う世界だとしたら」(脚本)
〇綺麗な部屋
フェミリー・コール「とりあえず、必要最低限の荷物だけを持って・・・・・・」
フェミリー・コール「っていうか、どうして貴族の屋敷にリュックサックがあるの!」
フェミリー・コール(私が家を出て行くってことを、お父様たちは知っていた・・・・・・)
フェミリー・コール(知っていたどころか、私が出て行くように仕組んでいたのかなー・・・・・・)
フェミリー・コール「家を出たとしても、私のやりたいことに変わりはない」
フェミリー・コール「これからも私は、世界の美味しい食べ物や飲み物を探しに行く!」
フェミリー・コール「そして、将来的には本を出版して・・・・・・」
フェミリー・コール「・・・・・・・・・・・・」
フェミリー・コール「アーロイ様・・・・・・」
令嬢らしくない私が抱いた夢を、アーロイさんは呆れもせずに応援してくれた。
自分の夢を応援してもらうって、こんなにも幸せなことだったんだと気づかされた。
自分の夢を応援してもらえるって、こんなにも日々に活力を与えてくれるんだと初めて知った。
フェミリー・コール(全部、アーロイ様が教えてくれた・・・・・・)
部屋の窓硝子が割れない程度の強さで、1個の石がバルコニーへと投げ込まれた。
フェミリー・コール(もしかしたら、アーロイ様が・・・・・・)
私を攻撃するために投げ込まれた石なら、今頃は窓硝子が悲惨なことになっているはず。
でも、窓硝子は割れなかった。
もちろん、私も無事だった。
私は石を投げ込んできた人物を確認しようと、急いでバルコニーへと足を運んだ。
そこに待っていたのは・・・・・・。
フェミリー・コール「どうしてここに・・・・・・」
セル・メレディ「さっさと出てきなさい、世界を滅ぼす魔女!」
久しぶりに会ったセルは相変わらずの仏頂面だったけれど、彼女の声には確かな意思が宿っていた。
フェミリー・コール(私に何か伝えたいことがあって、セルは駆けつけてくれた・・・・・・)
都合のいい考え方かもしれないけれど、そう思った。
私は感じるままに、自分の直感を信じて行動することにした。
〇華やかな広場
フェミリー・コール「セル!」
セル・メレディ「元気そうね」
フェミリー・コール「おかげさまで」
セル・メレディ「お兄様との婚約が破棄されたと聞いたわ」
フェミリー・コール「ええ、そうみたいです」
セル・メレディ「どうして笑っていられるの?」
フェミリー・コール「こう見えてセルが来てくれるまでは、泣きそうになっていたんですよ」
セル・メレディ「・・・・・・・・・・・・」
セル・メレディ「お兄様が、メレディ家を去ったの」
セル・メレディ「その顔を見ると、あなたがお兄様の家出に絡んでいるわけではなさそうね」
フェミリー・コール「残念ながら・・・・・・」
フェミリー・コール「私も、これから家出をしようとしていたところです」
セル・メレディ「まさか駆け落ち・・・・・・」
フェミリー・コール「いえいえ、違います!」
フェミリー・コール「私はアーロイ様の居場所すら知りません!」
セル・メレディ「・・・・・・・・・・・・」
セル・メレディ「このままだと、本当に婚約を破棄することになるわよ」
フェミリー・コール「それがアーロイ様の望みなら、それを叶えるのが元婚約者の役目です」
セル・メレディ「・・・・・・魔女は、いい子ぶるのが得意なのね」
フェミリー・コール「お褒めに預かり光栄です」
セル・メレディ「・・・・・・お兄様を見つけることができたら、私が2人の間を取り持ってあげる」
フェミリー・コール「私のことを嫌っているのでは?」
セル・メレディ「まだ、魔女の作ったお菓子をいただいていないから・・・・・・」
フェミリー・コール「ふふっ、そうでしたね」
セル・メレディ「くっ・・・・・・とにかくお兄様のことは伝えたから!」
セルはアーロイ様が行方不明になったことを私に告げると、遠くに控えていた従者を連れて去って行った。
フェミリー・コール(私にできること・・・・・・)
フェミリー・コール「私が、アーロイ様のためにできること!」