第11話「異世界転生すると決めたなら、それ相応の覚悟を持って挑みましょう」(脚本)
〇洋館の玄関ホール
〇巨大な城門
〇洋館の階段
〇綺麗な部屋
フェミリー・コール「毎日毎日、同じパターン・・・・・・」
フェミリー・コール(さすがに飽きちゃった・・・・・・)
魔法の力を使って、事態を収束させるのは簡単な話。
それでも私が今日も魔法の力を行使しないのは、死罪ルートを免れるため!
フェミリー・コール(でも、いつまでもこんな毎日を過ごしてはいられない)
フェミリー・コール(私と親しくしてくれているアーロイ様を、危険な目に遭わせるわけにはいかないんだから!)
フェミリー・コール(とは言っても、アーロイ様と一緒にいるときに視線は感じても攻撃はされることはない)
フェミリー・コール(大丈夫だとは思うけど、念には念を!)
フェミリー・コール「とりあえず、今日こそは犯人と対峙してみせる!」
〇綺麗な部屋
フェミリー・コール(狭い・・・・・・)
狭い狭い狭~いクローゼットに、私はひっそりと身を隠した。
お金持ちの貴族が使うようなクローゼットではないと明らかに分かる狭さは、私の心にまで窮屈さを与えてくる。
フェミリー・コール(アーロイ様との出会い以外は、特に良い出会いがなかったなー・・・・・・)
恵まれた人間関係が存在しないのなら、好かれる努力をしようと思った。
私が好かれることで、婚約者のアーロイさんの価値が高まる。
フェミリー・コール(そう思っていたんだけど・・・・・・)
物語のヒロインのように、現実は理想通りに進まない。
異世界に転生してから今日までずっと、私は貴族らしからぬ狭いクローゼット付きの部屋のまま。
自分なりに好かれる努力をしてはみたものの、それはあくまで自己満足の努力だったと気づかされる。
私を好いていてくれる人が現れない異世界生活は、正直寂しい。
フェミリー・コール(一緒にご飯を食べたり、一緒に勉強をしたり、一緒に遊びに出かけたり・・・・・・)
夢を膨らませることは得意でも、その夢を叶えてくれる相手は婚約者のアーロイさんしかいない。
フェミリー・コール「アーロイ様がいなかったら、私は異世界でひとりぼっち・・・・・・」
フェミリー・コール「独りは寂しい・・・・・・独りは・・・・・・」
その日、徹夜で犯人を待ち構えるはずが私は寝落ちしてしまった。
犯人が部屋を訪れたかもしれないし、それともこの日は何も起こらなかったかもしれない。
いくらチート能力を授かったとしても、自分が眠っていたときの出来事を映像として魔法で映し出すのは不可能。
自分を狙っているのは、一体誰なのか。
深い眠りに陥った私に、犯人の顔を確認することはできなかった。
「・・・・・・・・・・・・」
〇西洋の城
そして、今日も私は無事に目を覚ますことができた。
〇洋館の階段
フェミリー・コール「今日の朝食は何かな~」
自分が狙われているといっても、狙ってくる方法がパターン化されてしまえば避けるのは簡単。
授かったチート能力をなるべく使わずに済めば、恐らく死罪ルートの回避に繋がる!
フェミリー・コール(私は魔女じゃない・・・・・・私は魔女じゃない・・・・・・)
フェミリー・コール「よしっ」
フェミリー・コール(自分が人間離れした能力を身に着けつつあることが末恐ろしい・・・・・・)
適当な歌を口ずさみながら、私は朝食が待つ広間へと足を運んでいた。
メイド「お嬢様」
フェミリー・コール「はいっ」
メイド「旦那様が、お呼びです」