消える探偵2

ゆきんこ

消える探偵 前編(脚本)

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〇スーパーの店内
霧子(きりこ)「久しぶりの早番は、眠いな〜」
霧子(きりこ)「朝から万引きするひとなんて、居ないよね〜!」
インカムの声「1番お願いします! 南口出たすぐのところです。 至急、援護願います!!」
霧子(きりこ)「1番!?緊急案件ね」
霧子(きりこ)「もうっ、朝からダッシュとか、カンベンしてよ〜!」

〇スーパーマーケット
千鶴(ちづる)「離しなさい!これは、私のものよ!!」
千鶴(ちづる)「だれかあっ、助けて!!」
南(みなみ)「だから、これは未精算カゴですって!いい加減、離してください!!」
客「おばさんが、若い男に襲われてるぞ!誰か、警察に電話しろ!」
霧子(きりこ)「マズイ!お客様に誤解されてる」
霧子(きりこ)「南くん!こちらがマルタイ?」
南(みなみ)「そーなんスけど、この人ボケてるみたいで、」
南(みなみ)「未精算のカゴごと商品持ち出そうとしているのに、自分の財産だって聞かないんです!」
霧子(きりこ)「それでカゴを引っ張り合っていたのね!」
霧子(きりこ)「おはようございます、お客様」
千鶴(ちづる)「あなた、誰?この人を止めてくださらない!?」
霧子(きりこ)「あらっ?奥様、本日はどちらからお越しですか?」
千鶴(ちづる)「わっ、私?北町だけど・・・?」
霧子(きりこ)「偶然ですね!私も北町です!」
千鶴(ちづる)「え?北町のどの辺かしら」
霧子(きりこ)「私は北森です」
千鶴(ちづる)「じゃあアナタ、佐川さんとこのお孫さん?」
霧子(きりこ)「そうです!」
霧子(きりこ)「いや〜、こんなところでおばあちゃんの知り合いに会えるなんて、奇遇ですね!」
千鶴(ちづる)「私も嬉しいわ!! 良かった、知り合いがいて」
南(みなみ)「え?霧子さんの知り合いなの?」
霧子(きりこ)「こんなところでお話しするのもなんですから、中でお茶でもしませんか?」

〇事務所
霧子(きりこ)「最近は、徘徊老人や痴呆老人の万引きも多いのよね」
南(みなみ)「霧子さん、店長と警察に連絡しました」
南(みなみ)「でも、知り合いなら、警察を呼ぶ必要は無かったんじゃないですか?」
霧子(きりこ)「知り合いじゃないわよ」
南(みなみ)「えっ!?だってさっき、あんなに盛り上がって喋っていたじゃないですか?」
霧子(きりこ)「大学でね、介護の講座を受けたんだけど、痴呆の人にむやみに不安をあおるような言葉は禁物なの」
霧子(きりこ)「自分が何をしているか、どこにいるのかも分かっていない人には、」
霧子(きりこ)「私が害のない人間ですって認識を持ってもらって、心に寄り添うことが、大事なのよ」
南(みなみ)「すげえ!勉強になります」
店長「まーた万引きって、」
店長「あらやだ!」
店長「二階堂さまじゃないですかあ〜!」
南(みなみ)「店長もマルタイに寄り添ってるんですか!?」
店長「なによ、寄り添うって!」
店長「この方はね、ここら一帯の大地主でツーエフ不動産会社の会長さまよ!」
店長「ご無沙汰しておりました、大奥様。 このスーパーの店長・上野です」
千鶴(ちづる)「あなたは誰?私、知らない」
店長「そんなあっ!」
千鶴(ちづる)「ねえ、佐川さん。あなたが下さったこのお茶とたい焼き、とても美味しかったわ」
千鶴(ちづる)「ひざ掛けまで貸してくれて・・・アナタ、ホントに親切な方ねえ」
霧子(きりこ)「私の10時のオヤツだったけど、まあ良いか」
店長「三年前に息子さんが亡くなってから、痴呆が酷くなって表舞台からは退いたと噂では聞いていたけど、」
店長「本当だったのね・・・おかわいそうに」
霧子(きりこ)「そういうことだったのね」
新(あらた)「お待たせしました!北町交番勤務の飯島巡査です!・・・って」
新(あらた)「また霧子かよ」
霧子(きりこ)「お疲れさま新。でも、もう今回は出番なしかも・・・」
新(あらた)「はい?」
店長「さすがに二階堂さまを警察につき出すわけにはいかないわ」
店長「この件は、アタシが責任を持って処理するから、皆さんご内密にお願いね!」
霧子(きりこ)「良かったですね、二階堂さん!」
千鶴(ちづる)「佐川さん、よくしてくれて、どうもありがとう」
千鶴(ちづる)「また、お会いしましょう」
霧子(きりこ)「まだらボケなのかな?今はしっかりしてそうなんだけど・・・?」

〇都会のカフェ
南(みなみ)「霧子さんて、スゴイッス」
霧子(きりこ)「なによ、いきなり?」
南(みなみ)「だって今日は自分1人じゃ、どうしようも出来なかったから」
南(みなみ)「見てくださいよ、この腕」
霧子(きりこ)「え、あの二階堂さんに噛まれていたの?」
南(みなみ)「女だから殴るわけにもいかないし、話しも通じない人も居るし」
南(みなみ)「万引きGメンって、大変ですよね〜!」
南(みなみ)「だから今日の霧子さんの対応見て、感動しました!」
霧子(きりこ)「どうしよう・・・恥ずかしくて消えたい・・・」
霧子(きりこ)「な、なんにもスゴくないよ」
南(みなみ)「またまた!謙遜する姿が素敵だなあ」
南(みなみ)「あれ、なんか目が霞むな・・・」
「もう止めて、南くん・・・」
南(みなみ)「今日は助けて貰ったお礼に俺に奢らせてくださいね!」
霧子(きりこ)「危ない危ない。もう少しで消えちゃいそうだったわ」
霧子(きりこ)「あれ?あのパトカーに乗ってるの、新?」
新(あらた)「・・・!!」
霧子(きりこ)「あれ、手ぇ振ったのに、行っちゃった」
霧子(きりこ)「窓越しだから、気づかなかったのかな?」

〇スーパーの店内
霧子(きりこ)「今日は何事もなく、平和に1日終わりそう♪」
霧子(きりこ)「あ、スミマセン!大丈夫ですか!?」
千鶴(ちづる)「・・・」
霧子(きりこ)「二階堂、さん?」
千鶴(ちづる)「佐川さん!探していたのよ」
霧子(きりこ)「ぶつかって、ごめんなさい。お怪我はないですか?」
千鶴(ちづる)「そんなことより、この前のお礼がしたいの。ぜひ、家に遊びにいらして下さらないかしら?」
霧子(きりこ)「このハガキの写真と住所が、二階堂さんのお宅なんですか?」
千鶴(ちづる)「息子が亡くなってからというもの、自分でもよくわからない行動をしてしまうことがあってね」
千鶴(ちづる)「人様に迷惑をかけるなと、亡くなった主人にも言われていたのに、情けないわ」
千鶴(ちづる)「アナタが良ければ、お友達とご一緒にどうかしら?」
千鶴(ちづる)「美味しいケーキと紅茶を用意するわ」
霧子(きりこ)「この前と全然違う人みたい!今日は普通に話ができるし、自分のことも分かっているみたいだわ」
霧子(きりこ)「ご主人も亡くされていたんだ」
霧子(きりこ)「きっと、寂しいよね。話し相手になるくらい、良いかな」
霧子(きりこ)「日曜日の午後でも良ければ・・・」
千鶴(ちづる)「良かった!ありがとう。 では、日曜日の午後にお待ちしていますね」

〇白いバスルーム
霧子(きりこ)「あれ?ハガキの裏に、小さく何か書いてある」
霧子(きりこ)「んんん?」
霧子(きりこ)「記号?御札に書かれている文字みたいね。 あと、カタカナで・・・」
霧子(きりこ)「ワタシカンハンサレテイマス」
霧子(きりこ)「どういう意味?カンハン?」
  洗面台の鏡に何気なくハガキを立てかけた私は、ハッと息を飲んだ。
霧子(きりこ)「この御札の記号みたいなの、半分にすると──」
霧子(きりこ)「タスケテ」
霧子(きりこ)「じゃあ、このメッセージの意味は・・・!」
霧子(きりこ)「新に電話!」
  ワタシカンハンサレテイマス
  ヒント:ハガキに書かれた文字

〇黒
  ・・・tobecontinued

次のエピソード:消える探偵 中編

コメント

  • 前回の殺人事件から一転、今回は資産家の認知症がテーマなのですね!前回で距離の縮まった霧子ちゃんと新くんの関係が進展するのか楽しみで仕方ないですね!

  • 何だかんだで厄介事に巻き込まれる霧子さんの続編ですね。また見られて嬉しいです。認知症の描写がとてもリアルで頷いてしまいました。

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