第5話「世界にあった能力を選びましょう」(脚本)
〇けもの道
フェミリー・コール(セルの後を、そのまま疑いもせずに付いてきたけど・・・・・・)
フェミリー・コール(どう考えても、この先に果実なんて待ってない!)
荒地というほど荒れてはいない。
けれど、こんなにも可愛いドレスを着て歩くような場所ではないと気づいた頃には既に遅し。
アーロイ・メレディ「セル!」
セル・メレディ「はい!」
アーロイさんが呼びかけると、セルは返事をしてくれる。
セルの姿も確認できる距離にはいるけれど、森の雰囲気が変わり始めていることに私は疑問を抱く。
アーロイ・メレディ「フェミリー、手を」
フェミリー・コール「ありがとうございます」
この先で何かが起きたとしても、女神様から授けてもらったチート能力でなんとか乗り切れるとは思う。
フェミリー・コール(だけど、ドレスが悲惨な状態になるのは間違いない・・・・・・)
フェミリー・コール(嫌われ令嬢街道まっしぐら・・・・・・)
フェミリー・コール(女神様との契約云々の前に、私が婚約者から嫌われてしまいそうです!)
フェミリー・コール(ん?)
フェミリー・コール「リンゴ!」
こんなにも都合よく、私たちの目の前に登場したリンゴ
フェミリー・コール「・・・・・・・・・・・・」
アーロイ・メレディ「・・・・・・・・・・・・」
もちろん私もアーロイさんも、こんなにも不審なリンゴに触れるわけがなかった。
セル・メレディ「拾いなさいよ!」
フェミリー・コール「拾いません」
アーロイ・メレディ「わざわざ、こんなにも怪しいリンゴを拾うなんて馬鹿か」
フェミリー・コール「でも、良かった。セルが無事で」
セル・メレディ「私に優しくすれば、お兄様との婚約がうまく進むとか思わないでください!」
セル・メレディ「アリダイル! そこに、あなたの大好物があるわよ!」
フェミリー・コール(・・・・・・思っていたより、小さい)
フェミリー・コール(見た目ワニの走る速度なんて分からないけど、逃げ切れる自信すら生まれてくる・・・・・・)
フェミリー・コール(アーロイ様は、この事態をどう思って・・・・・・)
アーロイ様の表情を、ちらっと覗き見するだけの予定だった。
けれど、あまりにもアーロイ様の表情に変化がなさすぎて私は思わず凝視してしまった。
フェミリー・コール(よし! ここはワニに退場してもらおう!)
フェミリー・コール(それで、セルと話し合いをしなきゃ!)
特に何か呪文を唱えるわけでもなく、頭に描いた魔法はそのまま現実世界へと具現した。
ワニ型の魔物を直接攻撃することなく、魔法の力に驚いたワニは森のどこかへ去って行った。
フェミリー・コール(チート能力、最高!)
フェミリー・コール「アーロイ様、セル、怪我は・・・・・・」
セル・メレディ「お兄様、これがこの女の本性です!」
フェミリー・コール「セル・・・・・・」
会ったときから私のことを嫌っていたセル。
ほんの一瞬だけ、セルと仲良くなれたような気がしたけれど、それは全部気のせいだった。
セル・メレディ「この女は魔女です!」
フェミリー・コール(ん?)
セル・メレディ「世界を滅亡させるほどの力を持つ、魔女なのですよ!」
フェミリー・コール(んん?)
セル・メレディ「さっさと婚約破棄してしまえばいいんです!」
フェミリー・コール(もしかして・・・・・・もしかしなくても・・・・・・)
フェミリー・コール(私が嫌われている理由は、このチート能力!?)
アーロイ・メレディ「・・・・・・・・・・・・」
まさかの嫌われてる理由に!!!
ここから彼女は挽回できるのでしょうか……?
続きが気になります!