第4話「嫌われの理由」(脚本)
〇森の中
セル・メレディ「お兄様は、この女に騙されています!」
フェミリー・コール「えっと・・・・・・セル様?」
セル・メレディ「未来のお義姉様に、様付けで呼ばれたくはありません!」
フェミリー・コール「・・・・・・・・・・・・」
アーロイ・メレディ「情緒不安定か」
セル・メレディ「痛っ!」
フェミリー・コール「アーロイ様! 暴力はよくありません!」
アーロイ・メレディ「弟と妹限定」
フェミリー・コール(確かに、そのご家庭の教育方針というものはあるけれど・・・・・・)
フェミリー・コール「セルは、どんなお菓子が好き?」
セル・メレディ「果実を使った物が好きです!」
フェミリー・コール「では、フルーツタルトはいかがでしょうか?」
セル・メレディ「・・・・・・・・・・・・お願いします」
フェミリー・コール「お任せください」
セル・メレディ「では、特別な果物を見つけなければいけませんね!」
アーロイ・メレディ「食料調達だけでも大変なのに、妹の面倒まで見てもらって・・・・・・本当にすまない」
フェミリー・コール「いえ、とても可愛い妹ができたみたいで楽しいですよ」
アーロイ・メレディ「そう言ってもらえると、救われる」
私が、どうして嫌われ令嬢として扱われているのかは今も分からない。
1つだけ判明したことは、アーロイさんが嫌われている理由。
フェミリー・コール「アーロイ様は、ときどき笑みを見せてくださいますね」
アーロイ・メレディ「・・・・・・・・・・・・?」
フェミリー・コール「とても素敵です」
アーロイ・メレディ「・・・・・・君は、変なところを見ているんだな」
フェミリー・コール「私は、アーロイ様の笑顔を見ることができて嬉しいですよ」
アーロイ・メレディ「・・・・・・・・・・・・」
アーロイさんが嫌われている理由は、至ってシンプル。
メレディ家の六男。
理由は、ただそれだけ。
六男として産まれたアーロイさんは、この世界では忌み嫌われる存在。
けど、メレディ家は育児放棄をすることもなく、暗殺を企てるわけにもいかなかった。
だから、アーロイさんは今日も生きている。
貴族には見えないような衣類しか身に着けさせてもらえなくても、アーロイさんはアーロイさん。
私の婚約者であることに変わりはない。
フェミリー・コール(私が嫌われている理由は、アーロイ様の婚約者ってところにあるのかな)
フェミリー・コール(どうせ六男が嫌われている理由なんて、6が呪いの数字とか悪魔の数字とか、そんな感じでしょ?)
フェミリー・コール(アーロイ様の性格に難さえなければ、なんとかやっていける自信がある!)
フェミリー・コール(私には恋愛禁止っていう制約があるんだから、本気にならないための材料や素材は大歓迎)
フェミリー・コール(大歓迎・・・・・・)
アーロイ・メレディ「フェミリー?」
フェミリー・コール「セルの姿を見失わないように、目を配っているだけですよ」
アーロイ・メレディ「・・・・・・そうか」
フェミリー・コール「はい」
フェミリー・コール(こんなにも私に優しくしてくれる人を、好きになったらいけない・・・・・・)
フェミリー・コール(それが、32085番さんとの・・・・・・)
フェミリー・コール(私を転生させてくれた女神様との約束・・・・・・)
フェミリー・コール「え?」
アーロイ・メレディ「果実を探すだけでも大変だと思っていたが」
アーロイ・メレディ「君に似合う花が見つかるとは幸運だな」
フェミリー・コール(また笑ってくれた)
フェミリー・コール「ありがとうございます」
フェミリー・コール(この人を、好きになってはいけない)
アーロイ・メレディ「綺麗だ」
フェミリー・コール「そうですね」
アーロイ・メレディ「・・・・・・・・・・・・」
フェミリー・コール(こんなにも穏やかな時間が)
フェミリー・コール「ずっと続けばいいのにな・・・・・・」